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Day.8 熱性けいれんの診療メモ【総合診療トピックゼミ】


<もし痙攣が止まってないなら>

PALSに従ってください。気道確保(とりあえずは体勢を整える+吸引でいいでしょう)、酸素投与を行いつつ、抗けいれん薬を投与してください。
けいれんは、ABCを担保しつつ、見たら迷わず止めましょう。
◇ミダゾラム0.15㎎/kg

<肉眼的にけいれんしてなくても>

見かけ上は体がぶるぶる震えていなくても、けいれんが続いている(というか脳の異常発火が続いている)場合があります。
意識レベル:呼びかけに反応する、合目的な行動がある、従命がとれる
瞳孔:共同偏視がない、瞳孔の左右差がない、散大していない
筋緊張:左右差がなく、筋肉に力が入った感じもない
……のであれば、けいれんは止まったと考えてよいでしょう。
意識レベルが悪くて、目は一点を凝視し、片方だけ筋肉に力が入っていたりなんかすると、十中八九止まっていないので、抗痙攣薬を使用してください。

<けいれんが止まっていれば……>

状態が安定していて発熱も伴っているなら、頻度も考えて熱性けいれんとして動き出します。
ちなみに熱がなければ、この段階で以下を考え始めます。
◇てんかん
◇胃腸炎関連けいれん
◇低血糖
◇電解質異常
◇代謝異常
◇頭蓋内病変
◇細菌性髄膜炎

<意識状態も良さそうなら……>

下記の条件が満たせるなら、帰宅での対応でよいでしょう。
◇けいれん時間が30分未満
◇1回の発熱エピソード内のけいれんが1回だけ
◇けいれんが止まって30分経過した後の意識状態がほぼ清明
けいれんが15分以上継続していたり、何らかの再発リスク(家族に熱性けいれんやてんかんの既往がある者がいる等)が複数あったりする場合には、下記の処方も検討してください。
◇ジアゼパム座薬 0.5mg/kg/回
37.5℃以上で1回使用。8時間後に発熱継続していればさらに1回使用。
もちろん、アセトアミノフェンなんかの解熱薬も処方してあげてください。
*ジアゼパム座薬を入れてから30分おいて、アセトアミノフェン座薬を使用してください。そうしないと、吸収量が下がります。

<Column>

熱性けいれんに関わらず、けいれんはABCだけ確認してもらって(というのが、致死性不整脈+痙攣や、血圧が低すぎて抗痙攣薬が使えないというパターンが稀にあるので)、とりあえずで止めてOKです。
というのが、けいれんが神経細胞の異常発火によるものなので、要するに頭の火事みたいなものだからです。火事と考えると消火が遅れるほど火が広がって消しにくくなり、消えたとしても、焼け野原になってしまった面積が広がってしまうからです。けいれんも、続けば続くほど止まりにくくなりますし、止まっても被害を受ける脳細胞が増えてしまいます。だから、けいれんを見たらABCをさらっと確認して、問題なければとりあえず止めてOKです。

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