Day.27 胃薬選択の診療メモ【総合診療トピックゼミ】
<上腹部症状とその鑑別>
〇心窩部痛
〇胃痛
〇胃もたれ
〇膨満感
〇胸やけ
……。こういった症状はまとめて、上腹部症状と呼ばれます。原因として多いのは
〇消化性潰瘍
〇胃食道逆流症
〇機能性ディスペプシア
等でしょう。鑑別のための検査のスタンダードは、上部消化管内視鏡です。これらの症状がある場合には、薬剤処方も考える一方で、胃カメラをお勧めします。あとは、ピロリ菌除菌やNSAIDs潰瘍の鑑別も忘れずに。
<PPI:プロトンポンプインヒビター>
上腹部症状に対してまず選択される薬剤です。消化性潰瘍、胃食道逆流症に対する第一選択です。
◇エソメプラゾール(ネキシウム)
◇ラベプラゾール(パリエット)
◇ランソプラゾール(タケプロン)
◇オメプラゾール4(オメプラール)
<P-CAB:カリウムイオン競合型アシッドブロッカー>
同じく上腹部症状に対してまず選択される薬剤であり、消化性潰瘍、胃食道逆流症に対する第一選択です。胃酸の影響を受けにくく、作用持続時間が長いというメリットがある一方で、やや高価なのが難点です。
◇ボノプラザン(タケキャブ)
<H2RA:ヒスタミンH2受容体拮抗薬>
上記2剤が何らかの理由で使用できない場合に使用する立ち位置の薬剤です。
◇ファモチジン(ガスター)
◇ニザチジン(アシノン)
◇ラフチジン(プロテカジン)
◇ロキサチジン(アルタット)
<防御因子増強薬>
ここまでは、攻撃因子を抑える薬剤でした。一方で、防御因子を抑える薬剤もいろいろあります。ここでは1剤だけ。
◇レバミピド(ムコスタ)……NSAIDs潰瘍予防効果が報告されています。
<Column>
上腹部症状に対してシンプルに考えるのであれば、
1)消化管の症状以外(心臓や胸郭など)でないかを確認する。
2)胃カメラする。
3)カメラ所見も踏まえつつ内服薬を調整する。
の3ステップが王道でしょう。まあ、内服薬の調整にピロリの除菌とか、吐気止めや漢方まで含めて考えるので、情報量的にはまだまだ多いのですけれど。