【香水連載】香はかく語りき② Cleopatra
毎月香水からインスピレーションを受けた文章を綴る本連載。
今回も思わず嗅いでみたくなるような小説を目指しました。
第二回目の香水はTOCCA Cleopatra。
彼女に初めて会った時、はっきりした目鼻立ちとその名前からプライドの高さを感じた。
自信に満ちあふれた発言は気高さを孕み、近寄りがたささえあった。
夕暮れ時、ひとり窓際に佇む彼女を見た。
落ちていく日の光に包まれた横顔は、何かを見守っているように思えた。
目線の先を追うことは憚られて、ただ日の温かさを感じる。
長くのびた影が私の足元に届いたとき、振り返った彼女の美しさに息をのんだ。
「他人からどんなに羨まれたって、人は等身大でしか生きられないの。私は私の大きさで、私の人生を生きるだけ」
彼女の言葉は凛々しさをまとっていたが、すれ違いざまに微かな憂いを覚えた。
そうして彼女は自分の信じる道をまっすぐ進み、遠くに行ってしまったのだった。
煤けた記憶の埃を吹き飛ばして貴女を想えば、夕暮れに照らされた長いまつ毛が目に浮かぶ。
決して背伸びしない大人の女性が、そこにはいる。
遠藤ジョバンニさんも同じ香水で文章を綴ってくださっています。
合わせて読むと面白いです。
前回はこちら。
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