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夢の国の焼きハラス

木金と休日を取り、土日も含めて四連休した私は、13時すぎからがくっとやる気を無くしてしまった。
滅多に電話に出ない取引先がたまたま出たので2ヶ月埃を被っている依頼ごとのリマインドをしたらゲンナリされた。

さっき終わらせた仕事の残りのやる気でできることを少しだけやる。
フレンチ料理の皿に残ったバルサミコ酢をパンになすりつけて食べるみたいに、捨てても変わらないようなやる気を舐め舐め事務処理を終えた。

午後の訪問前に何か食べなければ。
目につくのが中華ばかりで、1km戻って定食屋に入った。

どんなふうに生きたいかわからない。
数日前はディズニーシーにいて、まさに夢のようだった。
最愛の夫とのめくるめく日々。
夫とずっと一緒にいたい。

そんなことを考えていたら涙が出てきた。
どんな感情かも自分でよくわからない。
お茶を飲もうと顔を上げると、サーモンハラス定食が目の前に置かれた。
今日からダイエットするので脂っこいものは避けようと思っていたのに、最も脂の乗った部分を主菜に招いてしまった。

泣いていても仕方ないので、鮭に箸を入れる。
身は柔らかく、皮は春巻きのCMみたいにパリッと聞こえた。
今日、一番心が震えた。
私、今からこれを食べられるんだ、と思った。
口に運ぶ。
脂が押し寄せる。
身も皮も骨も心も全部ぐちゃぐちゃになって踊っていた。
みんなの歌にありそうな版画じみた映像が脳裏に浮かぶ。

あまりに美しくて、撮った。

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