イメコン受けたら人生変わった
自分が望むスタイルに向かうのが本当にベストな自分への近道なのか
パーソナルカラー診断の是非について語る前に少し私のお洒落観について触れておきたい。
(パーソナルカラー診断受診後の話だけ読みたい方は<自分に無いものを諦めた途端、手元にある武器の強さを知る>からお読みください)
診断以前の私は声優沼やアニメ・ゲーム沼にどっぷり浸かった後打ち上げられた鯨のようだった。自分が生き返るようなコンテンツを持たず、日々を消化する毎日だった。
かなりのコスパ厨で「同じような見た目の物なら安価な方で良い」「人の手に渡った中古で良いから安く手に入れたい」「プロにしか見分けがつかないならそれっぽく見える安物で良い」「高くても使うのを躊躇うものなら手が伸ばしやすくて酷使したくなる安物が良い」「新品を買うならポイントが溜まる店でポイントが溜まる日に買いたい」などととにかく安く済ませたいドケチであった。
デパートコスメに挑戦しようと思ったのも「自分にあった良い物を一通り買えば一生それだけで済むんじゃねえか?」という安直な発想だった。(今の私がテネットよろしく過去の自分に会いに行けるとしたら「デパコスは流行りの最先端だし、季節によって出したい質感やニュアンスも全然ちがうから一個買ってそればっか使っててもずっとお洒落でいれる訳ではないんやで^^」と優しく諭すだろう。)
無いものを補うためのお洒落、ちぐはぐな結果
私は身長が177センチあり、都営大江戸線に乗ろうものなら電車のドアの天井に頭をぶつけそうになるクソデカのっぽである。ずっとバスケをやっていたことも相まって無駄にハキハキしていて声が通り、挙動もデカい。渋谷での集合はハチ公近くの私前集合である。(知らない人が「今おっきいお姉さんの隣にいる」と目印にするほどである。)
普段は看護師として働いている。多忙なあまり先を急ぐ傾向にあるため上記の特徴と相まって「あの看護師さんは怖い」「優しくしてくれない」などと患者さんから恐れられていたのがコンプレックスを増大させた。
高身長のため老けて見えることもあり(ランドセルを背負っているのに子ども料金で改札に引っかかったことがある)、自分の年齢と趣味に合わせて可愛い服を着ても若作りしたオバサンのようになってしまうのも悩みの一つだった。
更には『彼ウケ』『女ウケ』『モテ女コーデ』など、誰に見せるためのお洒落なのかによって対策が異なるという事実が私を翻弄した。
似合ってるか似合ってないかだけでなく、TPOに合わせて場や相手に合わせる必要があるのがお洒落の難しいところだった。
自分に無いものを諦めた途端、手元にある武器の強さを知る
パーソナルカラー診断では上記のような悩みやなりたいイメージなども問診で聞いてくれる。必ずしも自分の理想が似合うスタイルとマッチしているとは限らないが、だからこそミスマッチだった時の魅せ方が重要になってくる。
今までイエローベース(黄みを含んだ色味、及びそれが似合う人のこと。必ずしも黄みがかった肌や色黒の人を指すわけではない。)の暖かみがある色は優しさを補ってくれると信じて選んできた私だったが、イエベ色が優しさを強調する訳ではないと知った。
診断結果は1stクールウィンター、2ndクールサマー。ブルーベースの中でも彩度が高く、青みの強い色が似合う、理想とは真逆の属性だったのである。
くすみ色やマット系との相性は悪いが、ツヤやラメとの相性が良いとのこと。
それらにより元の目鼻立ちをよりハッキリさせ、凛とした印象が美しさを引き立たせる効果があるようだ。
そうしたイメージに近づけることで優しさや穏やかさとは離れるかも知れないけど、自分の持ってる武器は活かしてあげなきゃ可哀想だな、と一念発起して助言を元に研究を重ねた。
ネイビーのアイライナーで元々強い目力を強調したり、ツヤを出した黒髪で洗練さをプラスしたり。
結果、キツそうで近寄りがたいクールビューティーが完成した。
同じボートでも水流に沿って漕げば驚くほど加速するように、自分の強みを活かしたメイクは少しの工夫を加えるだけで狙ったイメージに近づけることができた。
「こんなに進む!凄いすごい!」とはしゃぎながら今までと逆方向に美しさのボートを漕ぐ私を夫は笑顔で応援してくれた。
結婚して『彼ウケ』や『モテる女』などと人が示す指標に迎合する必要はなくなった私だったが、唯一気にしていたのは『夫ウケ』だった。しかし夫は「君が楽しそうなのが一番嬉しくて可愛い」という一言で私の杞憂を綺麗さっぱり吹き飛ばした。私は私の美しさを求めて邁進するんじゃい!!そう思えた。
そこからは人がどう思うかではなく自分が愛せる自分かを最優先するようになったのであった。
お前が消えて喜ぶ者にお前のオールを任せるな。
中島みゆきは14年も前からイメコンの真髄を語っていたのだ。
外見のイメージチェンジと同時に内面の変化を決意する
背が高いのもしょうがない。顔がキツいのも仕方ない。それらを受け入れた時、もともと求めていた優しさや穏やかさを外見で繕うのはやめて、きちんと内面から変わっていこうと思った。小柄な人と同じことを言っても怖く見えるんだったら、自分の心の余裕を作る努力をして柔らかいイメージで伝えられる工夫をするべきだ。そうして私は二年前に講習を受けたきりそのままになっていたアンガーマネジメントの勉強を再開した。
いままで培ってきた強固な自我はそう簡単に覆るわけもなく未だに恐れられることはあるが、「あなたにしかこんなこと言えない」と言って患者さんに頼ってもらえることも増えてきたように思える。
最終的にデカくて強そうだけど根は良いと評判の看護師さんになれるよう精進していきたい。
お洒落の世界から見えた景色と偏見を持った自分
Diorのアイシャドウを定価で買うようになった私は百貨店もコスメカウンターも怖くなくなっていた。お洒落にお金も手間も割いていない自分はひたすらダサく、見下されているに違いない、と嫌煙していた世界は思ったより暖かく自分を受け入れてくれた。馬鹿みたいな質問にも優しく答えてくれて、製品やサンプルと同時に知識やブランドへの愛着も受け渡してくれるのだ。
最近やや背伸びした場所に意識して行くようにしているのだが、客に恥をかかせない、というのも一流の接客のうちの一つなのだと思う。客として尊重した態度で、だからといって気負わせず、押しつけず、「ご提案はしますが、選ぶのは貴方自身ですよ」と一歩引いたところで見守ってくれる。そんな接客からは学ぶことも多い。
それと同時にどれほど自分がお洒落を楽しむ人々に対して偏見を持っていたかということを痛感した。六千円の眉毛サロンに言ったことをオタクだった頃の私が聞いたら「眉毛の雰囲気を整えるのに五千円以上かけるなんて、どれだけ自意識過剰で高飛車な女なんだろう」と恐れおののき、「違う世界の人間はあっち行って鏡だけみててくれ」と唾を吐かれてしまうかもしれない。
(メイク変えないでこんなに印象違うんだから最高だろ眉毛サロン。良い投資です。)
唾を吐くまでは言い過ぎだが、別世界の住人だと思っていた人たちはちゃんと自分の領域と地続きに存在していて、人生を謳歌しているだけだと気付く。
お金をかけて良い物を身につけたり、見た目をアップデートしようとする人たちへの偏見を自覚すると同時に、自分がそう後ろ指を指されたとき、下手に傷ついたり苛立ったりせず、「自分もそう思っていた頃があったな」と冷静に受け止められるんじゃないだろうか。
そしてその経験を経た私は、自分の理解に及ばない趣味を持った人たちのことも、人生を謳歌する地続きの仲間として解釈できるようになったのである。
似合うイメージを知った結果物事の見方が代わり、自分の人生も好転してきているように思える。
ありがとう。イメージコンサルタント。
ありがとう。コスメオタクのお姉様(@vifcosmetics )。
来週顔タイプ診断と骨格診断を受けに行ってきます。
待ってて、新しい私。