エースが登板することは集客に繋がるのか
1.はじめに
2012年にセリーグでも予告先発制度が導入されてから早8年、かつての偵察メンバーなども過去のこととなり、試合の前日に先発投手が誰かわかって当たり前となっています。
予告先発制度の目的は、当時、多くの球団が観客動員数に苦しみ、先発投手にエース投手が分かるよう告知することで集客数を上げることでした。
各球団の努力もあって、2019年は26百万人以上の観客動員数となり4年連続で最多観客動員数を更新。1試合平均30,929人の動員と、プロ野球観戦は一大エンターテイメントとなっています。
チケットが入手困難になるチームもある中で、かつて予告先発制度を制定した際の目的である、エースの登板日の観客動員数を調べてみようと思い立ちましたので、ご興味あればお付き合いください。
2.エース登板日の動員数
まず、ホーム球場の動員数で計算することを前提として観客動員数は見ます。エースの定義は難しいですが、観客の心理として行くからには勝ち試合を見たいですよね?
ということで、単純に直近3年間で最も勝ち星の多い先発投手をここではエースとして定義します。2019年の動員数で調べるため、2019年在籍投手の中で見ていきますね。
まず、各球団の"エース"はこちら。
さて、彼ら12人のホーム球場登板時の観客動員数とその平均値を出し、ホーム球場の平均観客動員数と比べてみましょう!
12球団中、8球団で平均よりも多くの客数を獲得することができています。特にマリーンズの石川歩投手登板時は平均より4000人以上多く動員があり、前半戦は日曜日にローテーションが組まれていたことを差し引いても多くの観客が入っています。
毎年人気の阪神、巨人、そして近年は常に満員近く動員のある横浜、広島の4球団も、3球団が平均よりも多く動員していました。
逆に動員数が減っている中でも、オリックスの山岡選手の登板デーは平均よりも1000人近く少なくなっています。要因としては、神戸での試合が2試合あり、ともに15,000人程度しか動員できていなかったのが響いています。しかし、ホーム平均にも神戸は入っていますので、比較的フラットな状態で比較はできていると考えています。
3.まとめ
エースの登板日が休日かどうか、など観客動員数の変動要因は多々ありますが、単純に平均で割り出すとエース登板日は通常よりも多くの球団で多くの客数を獲得できています。
平均客数30,000人を超える人気6球団でも4球団は動員でプラス、横浜の今永選手もほぼ横ばいで、エースの登板はやはりファンを惹き付けていると言えそうです。
予告先発制度が導入されて8年、NPBの思惑は見事今に至るまで成功しており、プロ野球人気に寄与しているんですね。
調べ始めた当初は、これだけ各球団多くの動員があるのでエース登板日もほとんど客数変わらず、予告先発をまた無くす年を作ってはどうでしょうか、と言おうと思っていたのですが…笑
結果を見れば、予告先発制度はあったほうが動員に直結していると言えることが分かりました!
こういう仮説検証もたまには面白いですね!お読みいただきありがとうございました。
■出典元
・nf3
・プロ野球FREAK