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私とストラップシューズ

ファッション・雑貨のフェリシモさんより美術館に履いていきたい靴というものが発売されました。
静かな館内でも足音の響かない素材、長時間耐えられるクッション性のある構造、3㎝の少しだけ高くなった踵でおしゃれも楽しめるスタイルは美術館や展示会に行きなれた方ならではの発想だと感動しました。

そして足の甲までホールドして歩きやすく、足をきれいに見せてくれるTストラップ。

私は靴がとても好きです。
服に合わせて選ぶことはもちろん、お散歩のときはその日の気分や考え事に靴を合わせたり足音を楽しんだり。
ここ数年は新海誠監督の言の葉の庭の影響からDIANAのヒールがお気に入りでクロコのパンプスを愛用しています。

今でこそシンプルなスタイルを好むようになった私ですが、実はストラップシューズとそれに似合うフェミニンな装いがとにかく大好きなのです。
特に足の甲をベルトやバックルで華やかに飾るあの王道スタイル!
エレガントかつ清楚で愛らしい少女性を含んだストラップシューズは幼いころから私を魅了してなりませんでした。

私がストラップシューズに憧れを抱いたのは小学校低学年の頃でした。
ある日、結婚式に参列する際子ども用のスーツを着せてもらった時の事です。
Tシャツと短パンで野山を走り回っていたうに少女はかっちりとした綺麗なスーツでおめかしして、まるで大人のお姉さんになったような自分の姿に鏡の前でくるくると踊りました。
そこで履かせてもらったのは革のローファー。
今思えば目を離した隙にサイズが変わる子供靴なのに本当にいい物を揃えてくれたのだと感謝しきりですが、当時のうに少女はとっても不満だったのです。
だって私が履きたかったのはイオンの靴屋さんに売っているピカピカのエナメルにレースとパールとグログランリボンで飾られた爪先の丸いストラップシューズだったから。

少女時代にストラップシューズを履くことが叶わなかった私の趣味嗜好はまんまと靴に囚われていきます。
おでこ靴の似合うロリィタに傾倒した時期、ロッキンホースに憧れていた時期、とにかくヒールの高さこそ攻撃力だと思っていた時期、清楚な細いストラップで女子アナ風だった時期。
足の甲にあのベルトが存在しないファッションはないのかという程でした。

ひとしきり満足した私が飾りを減らしたシルエット重視のシンプルな靴に魅入られるのはまた別のお話。
(この別のお話って締め方とても古の小説サイトを彷彿とさせますね)

でもきっと靴擦れやヒールの痛みを知り大人になった私が自分の子にスーツを着せる時、どんな靴をあつらえるかと言われたら歩きやすくてすっと履けるローファーなのでしょう。
痛みを我慢しても背筋を伸ばしたいおしゃれに出会った時は、その時には夢のストラップシューズをお履きなさい。

靴擦れとは無縁そうな素敵なコンセプトのストラップシューズを見かけてふと思い出した昔話でした。

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