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沈む夕日が綺麗だった
バイトが終わって。
家に帰って休んでいたら。
バイト先から電話。
トラブルが起きたから。
対応してくれと言われ。
渋々向かう。億劫。
なんとか対応して。
無事に終わってホッとする。
帰りの車を運転する。
夕日が真っ赤だった。
綺麗だな。
灯台の公園の駐車場に。
車を停めた時はもう。
半分沈んでしまっていた。
スマホで写真を撮る。
隣でおじさんも撮っていた。
観光客のカップルや。
犬の散歩の人も。皆。
沈む夕日を見ていた。
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沈み終わっても。
しばらくボーッとしていた。
皆はどこかへ行ってしまった。
それぞれの場所に戻るのだろう。
見ようと思えば毎日見られる。
私はここに住んでいる。
散歩をやめたら。
また10キロ太ってしまった。
毎日動いているはずなのに。
すぐに夜はやってきて。
私は家に着く。
夕食の。
春巻きの手伝いをした。
父は降りてきて食べて。
いつも10分で上がっていく。
妹に散歩の靴を。
買ってもらったのに外に出ない。
母の勤めている店舗は。
今月で潰れる。
母は履歴書の。
証明写真を撮ってきた。
一生懸命働いていたのに。
かわいそうだ。
他のスタッフも全員クビ。
本部の人だけ生き残る。
私たちの人生。
どうするんですか?
と問い詰めたら。
申し訳ない。だって。
私がバリバリ働いて。
母に楽させりゃいいハナシだ。
俺は何をやっているんだろう。
こんなハズじゃなかった。
こんなハズじゃなかったハズなんだ。
就職した方がいいだろう。
けど。できないだろう。
できても続けられるか?
またダメになってしまったら?
結婚はできないだろう。
急に覚醒して。
ビジネスで一儲け。
みたいな事も訪れない。
今日もどうせ寝て。
明日もバイトで日が暮れる。
その繰り返しの人生の中で。
手を伸ばして掴み取らなくては。
沈んでしまう前に。
何を上手い事かけたみたいに。