好きな料理マンガとそうでないマンガ、その要因
好きではない方
『異世界居酒屋』『異世界食堂 洋食のねこや』
上記2作はアニメ化もされている「人気作」に違いない。
他方、私はかなり強く物足りなさを感じていた。
以下、その要因を箇条書きにする。
主人公はプロの料理人で、出される料理もちゃんとした料理店で出るもの
料理の原料の異世界側ではなく現代世界側で調達する
調理の過程が描写されない
上記要因が重なり、主人公は調理の過程で苦労しない
結果として、なぜ主人公が料理を作るのか、異世界を舞台とする理由があいまいになっている
好きな方
『聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました』
『異世界でカフェを開店しました』
まず『聖女じゃなかったので……』を読んで上記不満点が明確になり、
同じ要素を持つ『異世界でカフェを開店しました』を読んで問題点を確信できたという次第。
以下、良かった部分をこちらも箇条書きにする。
主人公はプロの料理人ではない
共通して料理が趣味なので知識はあるが、プロではない
原材料はすべて異世界側で調達する
というか、現代世界に帰る手段がない
異世界側は当然、現代世界と勝手が違うため、原材料集めや調理器具からして苦労する
そのため、実の所私達はどのように料理していたのかが改めて示される
作る料理は家庭で作る簡単なものや、家庭で使う身近なもの
具体的な所だとパン、マヨネーズ、ドレッシング、揚げ物
2作とも異世界に飛んで最初に、異世界側のパンの硬さに辟易して酵母の作成に取り掛かるのは意味深
こうした普段目にする料理を現代の調理器具なしで作るのはそれ自体興味深く、楽しいこと
主人公は異世界から現代世界に帰れないので、生きていく手段として料理にのめり込んでいく⇔そもそも現実世界から異世界に「顔出し」し、業務時間以外が終われば異世界と接点がなくなる前2作
主人公の調理の過程で常に異世界側の料理方法も提示される。要するに、主人公が作るような行程(パンの酵母作り等の下準備)がないこと、またそうした習慣がないことも明らかになる
なぜ調理に凝る習慣がないかも簡単にだが触れられている
以上の要因が絡み合い、上記2作は異世界ものである必要があり、調理を通して異世界側と同時に現代世界側も描いている。
前2作はこうした「関連性」を持たない。主人公は異世界と本当の所関係がないし、なぜ主人公が異世界の住人に料理を振る舞うのか、その理由もない。
この前提があるので、主人公の料理に喜ぶ「うまい」というセリフの意味も変わってくる。異世界と接点があるなら主人公の友人であったり、敵と言ってもいい人との関係が変わるセリフである。
逆に異世界と接点がない作品においては「客」が主人公の料理にただただ「うまい」というだけである。そこからの変化は起こり得ない。
ということを総合して私は「異世界料理もの」に好き嫌いが生まれているのだなぁ、ということ。
随筆なので文章はこれでおしまい。