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この春までの私的「観るぞ!」ラインナップ12作品(新作予習のためのおさらい作品情報つき)

今年の映画館初めは、ユーロスペースさんで『ほかげ』『枯れ葉』をハシゴ。いずれも素晴らしく心に残る作品で、最高の2024年映画ライフの幕開けとなりました。映画部の宮嶋です。

今年もワタクシ的に期待しかない映画が続々と劇場公開されるので、もう鼻息荒くスケジュール帳に公開予定日を書きこむ日々です。

というわけで、この春までに公開される作品の中から、とりわけ楽しみにしているものを自分のための整理も兼ねてリストアップさせてください。100%私の独断と偏愛による、1月後半からこの春までの映画鑑賞ロードマップをどうぞ!



1月26日公開『哀れなるものたち』(配給:ディズニー)

ヨルゴス・ランティモス監督最新作!2023年のベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞。「大人の体を持ちながら新生児の目線を持つ女性の成長物語」的なストーリーとのことですが、ランティモス監督のことなのでまた何か変で異様なサプライズ(誉めてます!)が仕込まれているはず!だってR18ってもう怪しさしかないではないですか!

おさらい作品としては…設定の異様さとジャンルを超えた作品ということでランティモス監督の『ロブスター』を復習しておこうかと!


2月9日公開『夜明けのすべて』(配給:バンダイナムコフィルムワークス、アスミック・エース)

三宅唱監督の作品を観ないという選択肢はないのですが(大好き!)、PMS(月経前症候群)の女性とパニック障害の男性の“恋人でも友達でもない同志のような特別な感情”という繊細なテーマの上に繊細な描写を要する関係性を重ねたような物語を、三宅監督はどう語るのか…今週発表されたベルリン国際映画祭フォーラム部門への正式出品のニュースに期待が高まります!

おさらい作品としては…どこにでもいそうな若者たちの日々を繊細に描いた作品、という意味で、三宅監督の『きみの鳥はうたえる』(大好き)。


2月9日公開『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』(配給:東宝東和)

ここ数年で洋画ホラーは観られるようになった(邦画はまだちょっと怖いですが…)ので、調子に乗ってブラムハウスプロダクション作品を観まくっています(笑)この作品はビジュアルの毒々しい色彩とキモ可愛いマスコットたちに興味津々です。

おさらい作品としては…このジャンルに詳しくなさすぎてあまり思い浮かばないけれど、同名ホラーゲームが原作ということで『返校 言葉が消えた日』をピックアップしておきます。


2月9日公開『瞳をとじて』(配給:ギャガ)

実は観たことがないビクトル・エリセ監督…。スペイン映画ウォッチャー(自称)としてお恥ずかしい!『瞳をとじて』でエリセデビューを果たします!!長編第1作で代表作でもある『ミツバチのささやき』(1973)では5歳で主演を務めたアナ・トレントが本作にも出演とのこと。

おさらい作品としては…もちろん『ミツバチのささやき』と言いたいところですが、未見であるうえにまさかの配信がありませんでした…!すみませーん、どなたか権利者さまはいらっしゃいませんかー!?(配信したい!!!!!)


2月16日公開『ボーはおそれている』(配給:ハピネットファントム・スタジオ)

アリ・アスターという異論の余地のない“奇才”による、たぶん期待を裏切らない異様映画。予告編を観ても「ホアキン・フェニックスやっぱり最高だな~」と思いつつ(大好き!)、結局どういうジャンルでどういう気持ちで観ればいい作品なのかさっぱり分かりません。そしてスコセッシやポン・ジュノ、デル・トロという作家性の強い名監督たちからのこの上ない絶賛。混乱と圧倒の179分になる予感!

おさらい作品としては…“アリ・アスターの頭の中”ということで、『ミッドサマー ディレクターズカット版』。


2月23日公開『落下の解剖学』(配給:ギャガ)

ジュスティーヌ・トリエ監督による、昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門パルムドール受賞作!女性監督でパルムドール受賞は3人目とのことで、作風に性差が関係するかどうかはともかく、男性の多い映画産業で女性が活躍されているのは嬉しいことです!ちなみに1人目と2人目は『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン監督、『TITANE/チタン』ジュリア・ルクルノー監督。また、先日のゴールデン・グローブ賞では最優秀脚本賞と最優秀非英語映画賞を受賞!私の持論に、「(一般的に映画賞において)脚本賞と外国語映画賞はときどき作品賞クラスの面白さだから見逃すべからず」というのがありまして、この2部門を受賞されたからにはもう期待しかないのです。

おさらい作品としては…すっかり見逃していたトリエ監督の前作『愛欲のセラピー』を観てみます。2019年のカンヌのコンペティションに出品されています。


3月1日公開『52ヘルツのクジラたち』(配給:ギャガ)

仲間のクジラが聞き取れないほど高い周波数(52ヘルツ)で鳴く、孤独なクジラ。届かないかもしれない声を、それでも発し続ける人たちの物語です。実は弊社も製作委員会に入れて頂いていて、すでに拝見しています。とにかく隅から隅まで登場人物に血が通っていて…観ていて辛くなるような要素もあるので、演じられる方はどれほど心をすり減らされたかと思うのですが、それでも声はきっと誰かに届いている、という希望が胸に残る映画です。

おさらい作品としては…杉咲花さんの素晴らしいお芝居という点で、配信はまだなのですが『市子』!まだ劇場で上映中だと思いますので、未見の方はぜひ。家庭の事情で搾取される若い女性という切り口の中での演じ分け、キャラクターの構築が見事です。


3月15日公開『デューン 砂の惑星 PART2』(配給:ワーナー・ブラザース映画)

壮大・雄大・ダイナミックなPART1を観てしまったら、続きを観ないわけにはいかないPART2がいよいよ!前回後半で登場したゼンデイヤ、ハビエル・バルデム、私のお気に入り俳優さんたちでもあるので、本格的なメインキャラクターとなってくるのも嬉しいところ。あとはもう、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の作りあげる世界にどっぷり浸かりにまいりましょう。

おさらい作品としては…もちろん『DUNE/デューン 砂の惑星』(PART1)。余裕があったら1984年のデヴィッド・リンチ版『DUNE/砂の惑星』も!


4月5日公開『パスト ライブス/再会』(配給:ハピネットファントム・スタジオ)

恋愛映画をこんなに楽しみにしているのは久しぶりかもしれません!とにかく私の知る限りの前評判がすこぶる良い。そして評価の面でも、アカデミー賞前哨戦であるゴールデン・グローブ賞でしっかり5部門ノミネート。しかもドラマ部門最優秀作品賞、ドラマ部門最優秀主演女優賞(グレタ・リー)、 最優秀監督賞と最優秀脚本賞と最優秀非英語映画賞まで候補になっている監督 セリーヌ・ソンはこれまで演劇の世界で活躍されてきた方で、まさかのこれが初長編映画とのこと!これからが楽しみ。

というわけで監督軸でのおさらい作品はないのですが、主演のひとりユ・テオさんが主演されている『LETO -レト-』は好きな作品なのでこれを機会におススメしたいです…!アジア系男性が主人公の、ロシアの音楽映画なのです。映像表現がカッコいいんです。


4月19日公開『異人たち』(配給:ディズニー)

中学生の頃、地上波テレビで放送されていたのを何気なく観て、終わるころには大号泣していた大林宣彦監督の『異人たちとの夏』。大人になり、孤独な少年と相棒の馬の旅路に胸がぎゅっとなりながら観た『荒野にて』、そして映像から伝わる体温に心つかまれた『WEEKEND ウィークエンド』。まさか、昭和の名作ファンタジーを、お気に入り監督のひとりであるアンドリュー・ヘイがリメイクするのを劇場で観られる人生になるとは!感涙です。

おさらい作品は、もちろん『異人たちとの夏』。11月に亡くなった山田太一さんの遺された作品としても必見の一本かと。


4月22日公開『四月になれば彼女は』(配給:東宝)

ミュージックビデオの監督として「いいなぁ好きだなぁ」と思っていた山田智和さんがついに長編映画を…!ということで大注目しております。というのも、数年前にYouTubeで短編映画を公開されているのを拝見したのですが、温度や湿度、空気の動きまで含めたその場の風景をすべて取り込むような映像を撮られる方だなぁと思っていて。原作も以前拝読していて、世界各地の「土地の空気感」みたいなものを大切にされている物語だと思っているのですが、予告編をみるとそれもしっかり反映された作品になっているようで、期待度UP中です。

というわけで、おさらい作品は…劇場映画ではないですが、山田監督の短編映画『Somewhere In The Snow』。なお、この短編の主演は現在上映中の『PERFECT DAYS』で注目のアオイヤマダさんなのもチェックポイントです。


4月26日公開『悪は存在しない』(配給:Incline)

国際的な評価を不動のものとした濱口竜介監督の最新作は、ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀熊賞(審査員グランプリ)受賞をはじめ、国内外の映画祭ですでに高評価!カンヌ国際映画祭で監督賞など3部門、アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』で音楽を担当されたシンガーソングライター・石橋英子さんのライブ映像制作をきっかけに書き下ろされた脚本とのこと。監督と石橋さんの小さなプロジェクトがここまで大きくなった、という感じなのでしょうか。すごいことですね!

ということでおさらい作品は…『ドライブ・マイ・カー』の復習は必須で、もし可能なら、神戸の市民参加の小さなプロジェクトから生まれ、結果的にはロカルノ国際映画祭ほか国内外の映画祭で複数受賞という2015年の監督作『ハッピーアワー』がまた劇場で観られたら嬉しいなぁ!



以上、私の独断と偏愛によるラインナップ12本でした。

とはいえ、まだ発表になっていない作品や急きょ公開が決まるケースもあり得ますし(何と言っても『オッペンハイマー』公開日未発表!)、引き続き新作の公開情報をウキウキパトロールしていきたいと思います。

皆さまも、2024年も素敵な映画ライフを!



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