ユネスコ職員 林川眞紀さんに聞く「ユネスコとわたし」(前編)
ユネスコ未来共創プラットフォーム事務局では、2024年1月15日(月)~2024年1月21日(日)にかけて「ユネスコウィーク2024」を開催中です!なお19日(日)は「国際シンポジウム」、20日(土)は「ユネスコスクール全国大会」、21日(日)は「ユースフォーラム」を開催します。
「ユネスコウィーク2024」の一環として、19日~20日の各イベントにてモデレーターやファシリテーターとして活躍してくださる林川眞紀(はやしかわまき)様に「ユネスコとわたし」というテーマでインタビューをしました。今回はインタビュー前半をお届けします!林川様は現在ユネスコジャカルタ事務所の所長として勤めておられます。
林川様のご経歴は以下の通りです。
≪ご経歴≫
1993年アソシエート・エキスパートとして国連教育科学文化機関(UNESCO)パリ本部教育局識字成人教育課に勤務。ユネスコ北京事務所、ユネスコ・バンコク事務所、国連児童基金(UNICEF)東アジア太平洋地域事務所(バンコク)にて、ノンフォーマル・識字教育、ジェンダー・女子教育そして幼児発達教育などを中心に「万人の教育(EFA)」推進プログラムに従事。2011-2016年、ユネスコ・パリ本部教育局にて基礎教育課、学習と教員開発課、及びジェンダーとインクルーシブ教育課の3課長に就任。2016年4月よりユネスコ・アジア太平洋地域教育局(バンコク事務所)インクルーシブ教育と教育の質セクションのチーフとして勤務。2020年9月-2023年6月ユネスコ本部教育局Education 2030部部長を経て、2023年7月よりジャカルタ事務所の所長として着任。
以下、インタビュー(前半)です!
Q:林川様、お忙しい中、インタビューにご協力くださり、誠にありがとうございます。まずは簡単に自己紹介をお願いします。そして、ユネスコジャカルタ事務所での所長としての業務を教えていただけますか。
2023年7月にユネスコの本部からジャカルタにある「地域」事務所に所長として着任しました。ジャカルタ事務所は開設から55年間、自然科学のアジア太平洋地域事務所として活動してきましたが、昨今のフィールド事務所改革により、2023年に東南アジア5カ国(インドネシア、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、東ティモール)を管轄する地域事務所へとステータスが変わりました。これにより、今後はユネスコのプログラムの5分野すべて(教育・科学・文化・社会人文科学・情報通信)において、管轄する5カ国で事業を展開していくことになります。
私は事務所の所長であるとともに、管轄5カ国へのユネスコ代表という役割も担っています。各国の政府のカウンターパートとして協議・協力し、また国連チーム(UN Country Team)にはユネスコ代表として出席し、ユネスコが国連共同事業に参加・協力・貢献できるよう事務所を率いています。
事務所にいる時の典型的な一日として、出勤後まずメールのチェッㇰをするのが習慣ですが、その後は特に決まった日課があるわけでもなく、事務所運営に必要な書類に目を通し順次捌いたり、同僚との打ち合わせや外部のカウンターパートとの会議(リモート含む)、更にはパリ本部との会議などであっという間に夕方になってしまいます。事務所外での会議やイベント参加も頻繁にあり、出張にも毎月2-3回入っているので、事務所に落ち着いて終日いるという事は意外と少ないかもしれません。
Q: 詳しくお答えくださりありがとうございます。林川さんは以前ユネスコ本部(パリ)で勤務されていたと伺いましたが、本部とジャカルタフィールドオフィスでの業務に違いはありますか。
ユネスコ本部には3度ほど勤務した経験があります。ユネスコにアソシエート・エキスパートとして採用された時も配属はパリ本部でした。本部とフィールド事務所の一番の大きな違いは、やはり仕事の具体性と直接加盟国の教育開発に貢献出来ることだと思います。現場に近い分、成果も見えやすいですし、フィールド事務所ではプログラムの担当官が自分一人しかいない場合もあり、ジュニアなポジションでもかなり責任のある仕事をさせてもらえる(せざるを得ない)点が本部との大きな違いだと思います。
Q:なるほど。林川様のご経験から、ユネスコを他の国際機関(UNICEFなど)と比較して何か大きな違いはありますか。また、ユネスコ職員として働くなかで、メリットを感じることは何ですか?
ユネスコは専門機関として、かなり専門性が強い機関だと思います。それぞれの分野の専門家集団で技術支援や規範作りと啓発活動は長年の強みですが、現場での大規模なオペレーション、特に現場での緊急時の人道支援はユニセフなどと比べ組織的にどうしても制限があります。また、加盟国によるガバナンスが強く、事務局は加盟国の意向に沿ったプログラムを実施することが期待され、その為、時折技術支援が政治化することがあります。
一方、ユネスコは他の機関と比べて大変文化に富んでいて、民族的にも多彩です。ユネスコは世界の縮図そのものだと思います。現在所長として世界文化・自然遺産の現場視察する時は一般の観光客などが入れないような場所にも行くことが出来る事があるので、それはちょっとした贅沢だと思います。
インタビュー後半は次回掲載をお待ちください!
林川様には1/19~1/21の国際シンポジウム、ユネスコスクール全国大会、ユースフォーラムでご登壇いただく予定です。みなさま奮ってご参加ください!ご参加をお待ちしております!
詳細や参加申し込みは「ユネスコウィーク2024」特設サイトをご覧ください:
https://unesco-sdgs.mext.go.jp/unesco-week-2024
※イベントにより、すでに申込を締め切っている場合があります。ご了承ください。