19、🎋 映画監督 布施理恵子の手帳　『かぐや姫』製作記　第二部

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「おーい、布施ー！そりゃあお前、何だ？」

さすがのオジンもあっきれがおー！あ、ここ、“あったりまえー”のイントネーションでね。

「何だも何もないんでおじゃる。そのまんまなんでおじゃるですことよー！つまり“かぐちゃん”がそのまんま軽路さんちに住んでたって話ー。“かぐちゃん”がガッコ終わってウチ帰って来たって話ー。あったりまえー！」

ね？ミケ。

「…ン、んとー、で、でも、まっ、いっか！高間さん！ンーな感じだったのはワタシも目撃です！ン、ンー…でも、マジで理恵子が言った通りめで…今は理恵子の言ってる事の方が事実めなんです！ンー…でもヘンテコリン…でも高間さん！」

「あんだよー、はい！三田さん！何ですか？」

やだ…オジン、ニッコリ。何でだろう？とても不思議。でもオジン、とても楽しそう。

「“事実はしょーせつよりも奇なり”、エーガもエーガで事実はエーガん中よりもっと奇かも知れません！とゆーかです、エーガってー、エーガのメイキング、制作過程のお話って、きみょーな話や出鱈目な話って多めじゃありません？だったら今！ワタシ達が見てけーけんして来た事って…エーガになるひつよーじょーけん爆満たしてません？やばい、わたし、言ってる言葉が理恵子みたい！」

ホッホッホッホッホッホ…

…何きゃ少し引っ掛かるにゃ。ま、いっか。

「三田君、しかしよ」

ギラーン、オジンのザ・ぷろでゅーさーな目、黒光りしました。何かヤな事ゆーわないでよー、オジーン。

「はい！」

「その子のインパクトってのは判った。だがよ、こちとら、おい、ホンモンの映画作る会社だ。ビジネスだよビジネス。えっ？どうだい、例えばよう、その子フツーの女子高生なんだろう？えっ？映画作ってる段階で臍曲げられたりされた日にゃあ、おい、俺達も責任取れねえよ？素人さんの学芸会じゃねえんだ。興行打って、面白い面白くねえ、お客さんに判断して貰ってよう、成り立ってる訳だ。そりゃあ興行だから当たるも八卦当たらぬも八卦、おうよ、そりゃあ誰も判りゃあしねぇよ。けどよ、あれよ、てめえ達でよう、出来る限りはしっかりしたモン作りましたーってよう、言い切れなけりゃしょうもあるめえ？その子にそれ、理解出来んのかね？心配だねぇ、俺は。おう、そりゃあ第一印象は良かったっつぅけどよう、ちとその子には荷が重すぎるとはぁ、おう、フツーのお嬢さんだもんよ、出来るかねぇ？おう、布施！そうだろう？」

俯くフセミケ…何も言い返せない…とっても厳しい…でも、高間さん、やっぱあったかい。言葉は乱暴で厳しいけど、凄く諭される、穏やかで冷静なトーンでした…

「高間さん、大丈夫です」

ありっ⁈ミ、ミケ⁈

「ンー？…」

高間さんの不敵な笑み。

「わたし、美香ちゃんの登板について全責任取ります」

「何を言ってるの！ミケッ！」

…わ、わわわ、わたし怒鳴っちゃった…

「…理恵子、いーの。美香ちゃんの『かぐや姫』、わたしがゼンセキ取る」

「ミケッ！駄目っ！意味わかんない‼︎」

わっ、わっ、わたし…血が顔面に奔流しまくり…何を言い出すのか自分でも崩壊！

「おいっ‼︎お前らよう‼︎タッハッハッハッ‼︎」

高間さんの笑い声がクーキ切った…

「わーった‼︎わーったよう‼︎おう‼︎わーった‼︎そこまで言うんならよう、おうっ‼︎わーった‼︎おうっ‼︎おめえらよう、何だか近頃の野郎より腹ぁ座ってるじゃねぇか？おーう‼︎こりゃあよう、この『かぐや姫』、乗らなきゃよう、おうっ、男が廃るぜ‼︎わーった‼︎ケッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘッヘ‼︎布施君、三田君、ここは一つ見せて貰おうじゃねぇか‼︎よう‼︎俺も一肌脱がして貰うぜ‼︎何でも言ってくんな‼︎こっちも、おうっ‼︎やったろうじゃねぇか‼︎『かぐや姫』のこの博打、大当たりさせてみせるぜ‼︎いっただきぃーっ‼︎かぁ⁈このヤロ‼︎」

キャーッ！オジーン！ホンキになったのねー！よーし！皆んなで燃えるよー‼︎