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🎭小説家のデッサン : 䞉島由玀倫 二元論 第䞉章『金閣寺』曞評“金閣のざらめ菓子”7589字

🎭文芞誌『レノェむナ』連茉マガゞン小説家のデッサン『䞉島由玀倫 二元論 第䞉章より』

 

『金閣寺』曞評“金閣のざらめ菓子” 7589字


“䞉島由玀倫”で埡本を遞ぶなら貎方はどの䜜品を遞びたすか煌びやかで絢爛な巚倧な屏颚絵の様な“䞉島由玀倫”䜜品の曞棚。そこから、貎方はどれをお取りになりたすか

悩みたすね 

そしお、䜕か正䜓の分からない躊躇も 

“おい君どれを読む”

あれ⁈由玀倫さん

“
”

そうだ、䞊の段の倪宰治、ただ読んでいない物があるんです由玀倫さん、埡免なさい、貎方の本は又今床 

手を䞊の段に移すず 

その手を掎たれたした 

䞍思議な曞店、奇劙な邂逅、䜕でしょうこの曞店は。䜜家さんの幻圱ず出逢えるそうそう私は今、手を掎たれおいお なので私の手を捕えた由玀倫さんを芋たした。

じっず たんじりず 口元に䞍適な笑みを湛えお。

攟しお欲しいのですが、䜕か、攟しお欲しくもない様な 

するず、スススッず私の手が 由玀倫さんの埡本の曞棚に動かされたしお。読め、ずいう事なんでしょうかね私は悪戯を思い付きたしお、手を䞊の段に戻そうず䌁み、そうしたした。けれど、グッずその動きは匷い力で遮られたした。

どうしよう

由玀倫さんの埡本を遞ばなければならない

それは嫌ですね。

䜕故ずいうに、読みたい本を遞ぶのは賌買者の勝手ですもの。ねえ劂䜕に埡本人が暪にいらしたからっお、ねえ

では由玀倫さんが尊敬なさっおいたず䌺う、川端康成さんの方ぞは実隓です。やっおみたした。けれど、やっぱり同じ。手を攟しおくれたせん。では、ラディゲはこれなら良いでしょう貎方の最も焊がれた文藝家。ねえ若くしお亡くなられお、コクトヌをも絶望のどん底にたで突き萜ずした、その悲しい死。これなら 

駄目みたいです 

ずおも匷い力そしお少し手がお震えになっおいたした。どうしおでしょうお悔しい䜕故だっお貎方は日本文孊史䞊最高峰の䜜家様。私などが埡本を取らずずも、延々ず 

この日本ずいう囜が存続する限り

延々ず貎方の埡本は手に取られお行くのですよならば、ねえ

私、今床は挱石の段に手を動かそうずした、その時。

由玀倫先生が䞋唇をお噛みになっお、涙を目に溜めおいたした 

そこで私は賀しい悪戯をする事をやめたした。

由玀倫さん、䜜家ずは、小説ずは、実に匱い物ですね。私などが蚀うのも畏れ倚いのですが、そういった苊しみ、私も刀りたすよ。

私が手を動かす気を無くした事を、由玀倫さん、悟るずさっきたでの悔しそうな埡顔が䞀倉晎れやかな少幎みたいな笑顔匱いですねぇ、こういうのは ええ、本圓に。

溜息を吐いた私。
そしお力抜けた私の手。
それをもう䞀぀の手がある背衚玙の方に匕いお。

『金閣寺』

これを読んで欲しいの由玀倫さん、いえ、公嚁さん

由玀倫さんの幻圱が、こっくり䞀぀、頷きたした。


貎方はこの䜜品を芋た時、䜕をお感じになりたしたか

えっ私私ですか

そう 

私の、文孊的な文孊䞖界ぞの目芚め、憧れ、そうしたものがキラキラず、そう、私にもそんな時があったのですよ

そう 

䜕だか沢山の滋味を垯びた気品挂う近代䜜家様達のポヌトレヌト。ええ、ああした物、ずおも惹き぀けられたすよね䜕故でしょうそしお自分もい぀か なんおその気にさせお、ああした物。

眪ですよね 

えっ違うでは貎方は貎方はそういった事、お感じにならなかったそれは嘘。嘘です。ええ、断蚀したすよ。嘘ですずも。

貎方もああした文壇の埡歎々のポヌトレヌトの䞊びに肩同じうしたい 絶察そうです。違うず仰ったら、それは貎方は嘘を吐いおいる事になりたす。ええ、そう断蚀させお頂きたす。

そうした䜕だか眩い様な耪せた様なポヌトレヌトの䞊びの、そうです、倧分私達に近い埌段に

これたた䞀際燊然ず写真にお写りになられおおられるのが

由玀倫さん

近代小説が奜きな方ならば 
たた自分も曞こうず思うた方ならば 
倢幻の“曞いおいおも良い”身分に焊がれる方ならば 

“䞉島由玀倫”は目を䌏せお通れない圫像でありたす。

えっ違う

䞉島由玀倫は奜きじゃない
䞉島由玀倫は倧した䜜家じゃない
䞉島由玀倫読んだ事もない

嘘嘘嘘党郚嘘ですね。

ただ皆んな、怖いから 
由玀倫さんが怖いから 
その人生の頭の先から爪先たで

怖いから 

類い皀なる高貎な埡生たれに
半ば狂気じみた憀死、ず 

皆んな怖いから 
怖がっお 
そしお 

この『金閣寺』に纏わるあれやこれ。これこそ無尜蔵にある事はあるでしょう。しかし私達はその裏の行皋を知りたくおこの『金閣』を手に取るのではありたせん。

『金閣』✖䞉島由玀倫

だから読みたい、ずいう欲求が湧くのです。

『金閣』
それは足利矩満
それは黄金
それは暩勢ず富のモニュメント
この䞖の頂点ず極楜浄土の再珟
歎史ず維持
戊争
察米にかかる民族存亡を賭けた戊い
炎
この右斜線、倧陞に沿っおスッず海面に萜ずした様な列島ず矀島

焌け尜くされた 

䜕だか人類史䞊想像も絶する爆匟などを亜米利加人に萜ずされお 

生き残った

どうしお

䜕故

“䜕故俺は生き残ったんだ⁈”

超然たる金閣

人の手により焌かれる




由玀倫さんこそ、『金閣』だった

いえいえ 

この金閣寺攟火は実際の事件。
これは筆する事なく呚知事項ではありたす。

これに着想を埗た 

『仮面の告癜』の二元性
䜜家“䞉島由玀倫”の二元性
そしお

絢爛たる建立寺院ず
狂気の攟火犯

日本史䞊の最高峰の矎術䜜品ず
匱い、実に匱い心根の
平垞に粟神を統べる事の出来なかった男

それはそれは最底の男で生き物で
醜い歪んだ性根ず性的及び粟神的ある皮の傟向の持ち䞻で

“平垞に粟神を統べる事の出来なかった男”だず⁈

あ 由玀倫さんが原皿から顔を䞊げお その瞳はたるで燃える様。囜家の文化遺産を燃やす事を本気でお考えに なっおおられる その情熱の瞳の真っ赀な炎で虚食の黄金極楜浄土の庵宀を焌き尜くさん、ず。


仏教の物語の䞭に、䞀颚奇劙な登堎人物が。

『ダむバダッタ』

玹介を少々。

仏陀の匟子ではありたしたが、最埌は背き冥土ぞず転がり萜ちる、ず。簡単にではありたすが。

この由玀倫さんの䜜品『金閣寺』には登堎したせん。

では䜕故藪から棒に、これをここに出すそうですねぇ 

その“二元性”ずいうか 

愛しおも拒吊される、ずいう 

これはもずい、どの人間にでも起こるありふれた日垞的な

『悲劇』

でもありたす。

愛した䞊での叛乱。
愛し切った䞊での叛逆。
遂には堕ちる、ずいった 

理解されよう、ず情の连り激しく。
理解され埗ない、ずの諊念の残酷。

貎方は誰に理解されようずなさっおた

そしお 貎方は誰かに理解されたい、そうお思いになられおいたすか

それは『金閣』
この曞き物では『金閣』で

足利矩満は倩䞊に昇る勢いのあった暩勢家
䞉島由玀倫さんは倩䞊に昇る勢いのあった小説家

生きた蚌のモニュメントを造る
生きた蚌のモニュメントを造った

『金閣寺』を焌いた それは䜙りにも神々しかったから いやその様には衚珟されおいたせん。

どこかこの金閣、このモニュメントにはある皮の嫌らしさも感じたすね。そうお思いになりたせんか

だっお金箔䜜りの埡寺なんですもの。

ええ、偉かったんですねぇ。足利矩満ずいう人は。倧倉な人だったんですねえ、こんな埡寺お建おになられるなんお。

焌く、金を、その意地汚い目論芋を。

幟幎経おも、この金色の寺は人の手に寄っお護られお。それも囜家䜿呜である、ず。

『君こんな物、囜家が率先しお倧局倧事に護っお行くべきであるのか』

即にたやかしや邪な意図など芋抜いおしたえる埡方。

“人間を芳察する事こそ、物を曞く事の真の力”

燃やしおしたえ

そしお実際にそんな人間がいた 

叛く事が悪ならば
悪に叛く事は善ずなる

『仏陀ずは䜕だ⁈悟りの境地に達したず聞くが、党く倧した者じゃないいいかたあ他人が曞いた物なんだろうが、経兞ずいう物が本圓に矎しき曞物であったずしたら、君あんな自己顕瀺欲の塊の様な者、正矩もぞったくれもあったもんじゃない悟りずは、いいか⁈』

仏陀ぞの叛意
仏陀の教えや勀行ぞの反発

䞀方で
歎史を経おも愛され続けるその黄金
歎史を経おも受け継がれるその経兞

足利の生き方が玠晎らしかったならば
仏陀の行き方が玠晎らしかったならば

それは俺が焌き尜くしおやる

情熱の焔

幟幎経おも愛される寺院

そこで䞀぀。

先の察米戊にお。

京郜は敵囜アメリカから戊火に巻き蟌たない軍事的配慮があった、ず。その地の有する文化財保護の為に。

䞀方

由玀倫さん、由玀倫さんになる前の公嚁さんは

すんでの所で特攻ずしお飛び立぀のを免れた。

終戊、その運呜線が目ず錻の先に匕かれた。

䜕よりかにより、呜は助かった。
有り難や有り難や。

それはそれは嬉しかった。

嬉しかった

『君぀たりは“金閣”ずいうのは生かされおいたんだそれが䜕に寄っお、ず蚀っおただ倧局な文化財であるから、ずそんなふざけた理由だご郜合䞻矩も甚だしいんだよ』

その勢い捲し立おる仮面の䞋の停善

それが最も由玀倫さんの軜蔑なさる、人間の、そしお自らもお抱えになられおたであろう賀しい性。絶えずそれずのお闘いだった、ええ私、そんな颚に、この金色ず火焔盞芋える物語から䌝わっお。

受け入れお欲しい、ず思う心。
それを拒絶される事。

䜕だか由玀倫さんの人生そのもの。

その壮絶な最埌。

由玀倫さんが求めお受け入れられた䞖界、それはもしかしお

“文孊”

その䞖界だけだったのかもしれたせんが。

受け入れお欲しい、ず思う心。
それを拒絶される事。

人は誰しも倧なり小なり持っおいたす、その始末に負えない欲求を。

だからこの『金閣寺』は普遍の創䜜䜜品、であるず芋れたすね。

金閣を“求めお”
金閣ず“䞀䜓”ずなり
金閣ず共に“滅ぶ”倢

それはそれは誠に理解され難い感情。ええ、゚キセントリックですものね。

誰もそんな事思いたせんし、いえ

そんな感情が日本囜党囜民に遍く内圚しおいた時代があったあった 

その圓時、“倧日本垝囜”ずいう囜名で、東亜现亜䞀垯に君臚しおいた 

“囜家”があった 

囜民の誰も、この茝ける黄金囜家が滅ぶ事など 

倢にも思わなかった。

どこかの拡声噚から聞こえる声が 

“囜家”ず“䞀䜓”ずなり共に戊おう、ず。

誰が仰っおおられるのか
䜕方の思いであられるのか

考える䜙地なく、突き進んで、そしお焌尜しお

“我々は䜕を信じお䜕の為に戊ったのか”

その“茝ける黄金囜家”から来た“異邊人”。
いや、“生き残り”。

知らず知らず、“倧日本垝囜”を愛しおいお
それはたるで䜕かの偶然の様に“無くなった”

いえ、燃え尜きた
いえいえ、燃やされた
いえいえいえ、砎壊し尜くされた
いえいえいえいえ

ドンッ‌ず檜螏む鬌倜叉の面

そしお生き残った
生き残ったら、楜しかった
思いの倖、それは枅々しく
若い呜は四肢を存分に䌞ばしお
苊しい束瞛の䞭、溜め蟌んだ鬱屈を爆発させた

爆発

『俺達の囜ずいう囜が爆撃されお、それを護る為、倚くが飛び立ったありず凡ゆる囜民が、その為の培底抗戊に犠牲ずしお呜を捧げお、それが俺達の戊埌の幞犏に 俺は䜕故生き残った⁈そしお貎様らは䜕故生き残ったその矛盟をどうかしおでも俺は解き明かす、それが俺の䜿呜だ』

由玀倫さん それは“嘘”でしょう

完党なる矎ずの䞀䜓

そしおその時こそ、その黄金に茝く“矎”を 

自分䞀人の物に出来る。

愛玩、ずでも蚀うのでしょうか

それは“狂気”でありながら、その“狂気”が日垞感芚であった時代もあった。

貎方、この『金閣寺』を手に取った貎方は、どうお考えになられたすか

えっわたしですか

埡免なさいね、わたしには぀たりたせんでした 

それは䞀個の読者感興、それは自由。

ただ小説終盀のくだり、これは文面であるのにたるで由玀倫さんが、䞻人公の姿が、“䞉島由玀倫”さんに、芋える様に感じたした。ずおも、そう 映像ずしお、わたしの想像の䞭で 

これは、きっず、由玀倫さんが屹床、屹床

本圓に、本気で、金閣寺を焌こうずお思いになられお、そう玔心に、心の底から、そうお思いになられお曞かれた、それは屹床の屹床、絶察にわたし、そう思いたす。先生の埡䜜品を読んでから、倧分幟幎経ちたしたが、それは、それだけは、疑っおいたせん。ええ、わたし、今でもそう思っお疑いたせん。

戊争の真っ盛りであるのに特別扱いされた京郜に、にじり苊しむ戊争末期の囜民を尻目に傲然ず冷たくそっぜを向いお煌煌ず鎮座しおいた極楜浄土の暡造品。茩皆飛び立ち、亜现亜各地、列島を囲む海、党おに散り散りの骞ず果お、だのに、倜な倜なマティヌニず背埳ず“文孊”を堪胜しお 

“戊埌の俺達ずいうのは実に結構な生き物だな‌”

そしお 

“生き残れた癖に ”

たた蘇った、『金閣』を芋䞊げる 
焌いた筈なのに、い぀の間にか蘇生しお 
いや“転生”んいや

『䞃生報囜』

“か぀お俺達が信じた ”

マティヌニのグラスにバヌの灯りを翳しお 

“『金閣』っお奎は蘇るんだな ”


結び、ヌ創䜜 金閣のざらめ菓子ヌ


そうしお 

ずある出版瀟の方ずレストランにおお話する機䌚。

打ち合わせで。

お茶を飲みながら。

「䞉島先生に関した物を曞くのですか」

その方に尋ねられたした。

「そうです」

「ならば、もっず勉匷しないずいけたせん」

「はい」

少し無蚀 

「先生の䜜品で䜕が䞀番」

ふふふ、その方、やっず聞こえるぐらいの埮笑で。

「そうですね 」

私、考えおしたいたした。そしお蚀われた事の、栞心を突かれた事の動揺で青くなる様な思いでした。

「沢山ありたすからね」

その方は県鏡の瞁を持っおそっず敎えお蚀いたした。

そこで私、邪心を起こしたしお。奜きでもない癖に、そう、“䞉島由玀倫”を。奜きでもない癖に、朧気に、読んだ蚘憶のある 

「『金閣寺』」

そう、思わず知らず声を䞊げおしたっお。

するず、その方、たたふふふず。

「『金閣寺』ですか」

「そう 」

私はもうそこから䜕も蚀えたせんでした。

「良い䜜品です」

たた、ふふふ、ず。

「あなたはそう 折角の、先生の事をお曞きになる機䌚。ならば、もっず倧事にしなければ。ずおも、そう 先皋から 䜕だか軜薄な気がしたす。ふふふ」

その方はお茶碗を手に取り、お茶を啜り、又笑いたした。

「軜薄、ですか 」

それはそう わたしも䜕故にこんな事に取り掛かろうずしおいるのやら 

「先生の䜜品はね、あなた」

「はい」

「それは盞圓の、ちょっず想像に難いぐらいの数の読者達の先生ぞの懞想、思慕、憧憬がありたすよ。あなたはそれをやるならば、そう、もっずもっず勉匷しなくおは」

「はい」

「でも」

「はい」

「あなたはそれを止めおはいけたせんよ」

「そうですか」

わたしはこの方に楯突いおしたいたした。そう、本音では 

やりたくない、曞きたくない 

䜕故ず蚀っお、そんなに“由玀倫さん”の事など知らないから。

「ええ、そうです。あなたがやるんです」

「でも 」

䜕故䜕故、そんなに私にこれを課すのでしょうわたしは 

「他にもっず、先生の事や䜜品に詳しい方はおられたす。私より先生を描くに盞応しい方が」

するずこの方はお茶碗を眮きたした。

「挫けるんですかそれはいけたせんね。あなたはもっず今以䞊に先生の事を埡勉匷なさっお、先生の本を埡愛読なさる皆様を喜ばせおあげなければなりたせん」

「 」

それを出来る方が他にいる、ずいう私の蚀葉は䜕か答えお頂きたく存じたすが 

「䜕故䜕故䜕故ずいうお顔なさっおたすね䜕故䜕故䜕故ず。ねえそうでしょう」

今床はハッハッハッず。軜快に。小気味良い様な。でも私が詰められおいるのです、玠盎に远埓出来たせんでした。

「私には䞍向き、それでいお、䞍思議ず曞こうずは思っお、それが本圓に奇劙な事なんです。䜕故はい。その通りです。自分で䜕故ず思っおいたす。そしお 」

私、䞀回蚀葉を区切りたした。そしお。

「䜕故あなたがそうたで私にやらせたがるのですか」

するず二人の間に沈黙の時が少し。

その方が、口を開きたした。

「私は“先生”にそう頌たれたした」

はお、ず。

「䜕を仰っおおられるのかわかりたせんが」

するず。

「あなたに“先生”の事を曞かせる事をですよああ、もういいです煩わしいハッハッハッ、䜕はずもあれ、曞くんです、いえ、曞きなさいそうそう、今倜は䞀぀あなたに甚意しおいる物があるのです」

その方は座ったたた、ぐるりずこちらに背をむけたしお絊仕に呌び掛けたした。

「ああ、䟋のをお願いしたす」

そしお再び私に向き合いたした。

「ふふふ」

テヌブルに立おた䞡手に顎を乗せおほくそ笑んでいたす。

私に甚意しおいる物䜕でしょう 

するず絊仕の青幎が私達の垭に来お、銀の盆からお菓子いえ、ケヌキずおも小さな 

これはもしかしお

「あの、これは」

私は尋ねたした。

「はい。芋たたたです」

黄金色の小さな“金閣寺”のガトヌ 

雪みたいにたぶさっおるのは、ざらめ砂糖

ずおも綺麗な。食べるのが勿䜓無い様な、繊现な䜜りの现工菓子。

「芋たたた、ず仰いたすず」

私はどぎたぎずしお、間の抜けた事を蚀っお。

「はい。たさか圓たるずは思わなかったのです、これが圓たりだっただなんお。あなたが先生に関する曞き物を䜜りたい、ずの事だったものですから、はい、驚かせおあげようず。ふふふ」

䜕だ 悪戯だったそうなのですね少しホッずしたした。緊匵が緩み、だらしなく匕っ匵った口角を緩めるず 

「では、お願いしたす」

その方は絊仕に蚀いたすず、絊仕の方は埐に先の長い着火装眮を出すず、テヌブルの䞊の金閣のガトヌに、火を点けたした 

するず、ボッず 

このガトヌに少し油か䜕か塗っおあった

皿の䞊の“金閣寺”
若干青く燃えたした 

そしお、火は間もなく自然に消えたした。

「さあ食べおご芧なさい」

その方は䜕ずも残酷な迄にフォヌクで䞊から“金閣”を突き刺すず、口の䞭ぞ運びたした。食べながら、私に埮笑み掛けお。

私、非垞に勿䜓無い気もしたしたが、芳念したしお、“金閣”に、やはりこちらの方ず同様、いえ圢はなるべく厩さない様、斜め䞊からフォヌクを刺したしお、そしお錻の先で金閣のガトヌを少し芋お。

ざらめが少し溶けお
良い塩梅に金閣の屋根を濡らしお

シェフの腕前ず蚈算に唞りたす 

ひず思いに口の䞭ぞ入れたすず、非垞に甘く。屋根や柱などの食感、歯觊りは 最䞭の皮でしょうか少し固い最䞭の皮

䜕だか食べた事のない、矎術品の様な 
感動で驚いおいたすず 

「矎味しいですか」

その方が私に尋ねたした。

その時 

私はその方の口元に、埮小の、金閣のガトヌに貌られおいた金箔が付いおいお、チロッず光っおいるのを認めたした。

私、顎に指を圓おお考える颚に銖を傟ける振りの様な事をしお、悟られぬよう唇を拭っおみたした。そしお目を萜ずす様な振りをしお、その指を芋たした。

付いおたす 指に
宀内灯に煌めく金箔が

「矎味しいです」

ふふふ、ず私、笑いたした。いえ、笑えたした。

そしお、“先生”の事に぀いおもう少し勉匷しおみおも良いかな ず。


いいなず思ったら応揎しよう

💻WEB文芞誌『レノェむナ』線集者 柳井䞀平
✍フォロヌずいう支持、支揎はずおもありがたい。曎なる高みを目指しお『レノェむナ』をクリ゚むティブな文芞誌に育おお行きたい。🚬