🟣冒険ロマン『紫卵』第四章 アメジストを目指して⑨

第四章 アメジストを目指して⑨

車をかっ飛ばしているんだがよう…この感覚がマジで久しぶりだ。ずっと鶏どもの世話だったからなぁ。

「でもよう、光ちゃんよう。それ、持ってても、そんなに意味なくね?」

つうのが、俺は持ってたけどすぐ飽きちゃった。

「ハァーッ!」

ウワッ!言うんじゃなかった!怒った!

「豚に真珠って知ってるわよね!生憎様、わたしは豚じゃないの!」

ワオ…

「そりゃあ、悪い事言いました。ごめーん」

面倒臭えなぁ、もう。

「本当、信じられない!何であなたみたいなのが、アメジストの瞳を一時でも持ってたのかしら⁈豚が真珠持ってたみたいなものよ!」

「ちょっと待て!」

何だよ、その“豚”ってのは?

「おい。そこまでは、ちょっと言い過ぎだろう?」

「だってそうでしょう?あれの価値が何にも判らず盗んだんでしょう?」

「そ!それは…」

その通りです…俺、何であんなもんパクっちまったんだろ?すっげえ後悔。だーからこんな面倒臭ぇ事に…あれ?でも…

①アメジストをパクった(できごころで)。

②爺さん所で手伝いする事になった。

③仕事は仕事だったけど絵ぇ描いたり美味い鶏料理や卵料理、沢山食えた。

④光が来た。うるせえけど超美人。満更でもない。

⑤シェンを救けに行く事にした。シェンは陰で俺に危害が加わらない様にしていてくれてた。

⑥小田と連絡が取れた。仲間に誘ったらブツブツ言いながらも加わってくれる事になった。

何だ、あれパクってから良い事ばかり起こってんじゃん。

「光ぅ、いや!光ちゃん、そのう、あれだ!アーッハッハッハ!」

「…」

光、俺が突然笑い出したので、引く。顔色がサッと。

「あれの価値?って、んまあ、そりゃあよう、アーッハッハッハ!それはその、はい、知りませんでした」

ハッハッハッ、と…あれ?マズいな。かけっぱだったドアーズが、そろそろ“ジ・エンド”になるな…あれはマズい。何か流して掛けておく様な曲じゃない。消そっと。手を伸ばす。

「ハァーッ…でも、そういうものかもね」

「ん?どういう事?」

手が止まる。あれあれ!“ジ・エンド”に入っちまう。

「そんな無関心でやったんだから。あのアメジストに関して。それって、沢田、怖い事よ」

「はい?」

何だよー、光ー。急にシリアスになんなよな。

「そっか、あなた、記憶喪失なんだもんね。でも幾ら記憶喪失でも…もっと自分って大事にしない?そこら辺が…沢田って不思議よね…何だろう?わたし、記憶喪失の人って会った事ないから判らないけど…そういうものなの?」

ってドッキリ!言葉も意味深なんですけど、その…表情がぁ…弱いなぁ、チックショー!

「俺だって知らねぇし、判らねぇよ。てめえ自身の事ではあるんだが、てめえの事ってよく判らねえよ。自分を大事に?ってか…うーんとよう、光ちゃん。あの、僕って自分、大事にしてません?」

光があんまり難しい事言うから、訳判んなくなっちまった!クソったれ!

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