安心に向かって

scene1


きっと、ゴーストバスターズに出てくるような機械を背負っているのだろう。
わたしの部屋の窓にはカーテンがない。音と振動でシェイクされながら、わたしは窓に背を向けて寝っ転がっていた。窓の方を向けば、掃除人と目があってしまうだろう。
頭痛薬に手を伸ばすこともできない。
気が付かれたら、わたしまで吸い取られてしまいそうだ。そんな気がする。


scene2


いつもの陳列棚には、半額シールが貼られたBLTサンドが一つしか置いていなかった。時間が悪かったのだろう。わたしは諦めて、最後のBLTサンドを購入した。
住宅街の中に申し訳程度に存在する公園の、唯一のアトラクションであるベンチにわたしは腰掛けた。
半額シールを真ん中で分断する形でBLTサンドの封を開け、一口かじった。
レタスがしなっている。BLTサンドの値段とレタスのしなり度は反比例するのかもしれない。
BLTサンドを食べ終えた後、喉が渇いたので公園の水を飲もうとしたら、蛇口が盗まれていて飲めなかった。この公園にアトラクションはもう一つあった。


scene3


夕方の帰宅を促すチャイムが街に鳴り響く。帰らせたいのは子どもだけ。大人たちは、
これからが遊ぶ時間だ。学校やビルや駅から、人々がどんどんと吐き出されていく。
子どものようで大人なわたしは、日が沈む頃、道路から延びる地平線に飲み込まれた。


scene4


まだ吐き出されていない。

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