バルセロナから夜行フェリーでイタリアのサルデーニャ島へ
スペイン・バルセロナからフェリーを駆使しイタリア、ギリシャ、トルコ、ブルガリア、ルーマニア5カ国の旅。前回の記事はこちら↓
バルセロナからはクルーズ船のほかに地中海の島や地中海沿いの街までいくつかフェリーが出ていて、スペインに引っ越して来てから他国へフェリーで行ってみたいと思っていました。個人的に一番惹かれるのはアルジェリアですがビザ取得がややこしいので今年は断念し、イタリアへ行くことにしました。
バルセロナからイタリアへのフェリー
バルセロナからイタリアへは、ローマ近郊のチビタベッキア、ジェノヴァ、サルデーニャ島のポルト・トレスへのフェリーが運行されています。今回イタリアはシチリア島をメインに行きたかったので、まずはサルデーニャ島のポルト・トレスに行くことにしました。
バルセロナからサルデーニャ島までのフェリー
サルデーニャ島のポルト・トレスまではイタリアのグリマルディ・ラインが運行をしていて、夏季は週に4便程度、それ以外は週に1便程度とそう多くはありません。出発した5月はまだ週1便のみでしたが、一人片道€35という魅力のチケット価格でした。
5月の便のバルセロナ出港はなんと午前2時半で、到着は同日午後4時半でした。ポルト・トレスを経由してチビタベッキアまで行くフェリーです。シーズンの夏場はもうちょっと出港時間が早いようです。
バルセロナのフェリーターミナル
グリマルディ・ラインのフェリーは旧市街からそう遠くないバルセロナ港の専用ターミナルから出ています。
メトロがまだ運行していたのでランブラス通りの終わりにあるコロンブス像の近くのDrassanes駅から歩いて行きました。徒歩20分くらいです。ターミナルが見えてくる前に今回乗船する巨大なフェリーが見えました。このローマ号は2,500人の乗客を収容できる大型フリートです。
出港の1時間45分ほど前にターミナルに到着しました。
まずは受付でチェックイン。びっくりすることに徒歩で搭乗する人はほとんどいないよう。外を見ると車、オートバイ、自転車で乗る人々が待っているのが見えます。
2階の待合室はガラーンとして特に何もなく、1階にバーがありますが、すでに閉店していました。「ちょっとショボいな」と思ったのですが、実は今回多くのフェリーに乗りましたが、ターミナルの建物がある港は他になく、外やプレハブのような小さい待合室で待機するところがほとんどでした。いかにバルセロナの港が整備されているかが後で分かりました。
搭乗はいつなのか受付で聞いてみると「もうできますよ。」とのことで慌てて搭乗ゲートへ。セキュリティチェックのブースはあるものの検査も何もなく船に乗り込みました。出港の1時間半前くらいにはもう乗船できるようでした。
いざフェリーに乗船!
いざフェリーに乗り込むと特に広い玄関もなく、キャビン(ベッドのある個室)の案内をする受付があります。
受付の奥の廊下にキャビンが並んでいるのが見えました。
座席の種類
夜行フェリーは初めてでよく分からなかったので今回は一番安いDeck Passageというチケットを購入しました。
自由席のようなことが書いてあったので、自由席の座席エリアがあるのかと思っていました。ところが乗ってびっくり、バーやラウンジエリアなどの公共エリアで過ごせということ!ラウンジにソファーはあるものの数は少なくあまり寝心地も良く無さそう…中にはレストランのボックス席を陣取っている人も。荷物も置くところがないので移動する度に荷物を持っていく羽目になりました。
一ランク上の指定席(Pullman Seat)がガラガラなのでそちらを使えばいいということを聞いたので行ってみると、リクライニングにもならず肘掛けも上げられない座席でした。とは言っても飛行機のエコノミークラスの座席よりは随分ゆったりしているので結局夜の間はこちらで過ごすことにしました。
びっくりしたのは、恐らく何度も乗って知っている人などは、私達のようにDeck Passageのチケットで寝袋を廊下に敷いて雑魚寝をしていました。
個室はキャビンとスイートがあります。今回乗船したローマ号のキャビンは2人部屋はなく4人部屋のみでした。他の乗客との相部屋はないので、1人だと4人部屋のキャビン1室分を支払う必要があります。4人部屋を2人で泊まるのはやはり割高なのですが、船旅を終えてやはり予約しておけばよかったと後悔しました。グリマルディ・ラインのキャビンはサルデーニャ島カリアリからナポリへ行くときに利用したのでまた追って詳細を書く予定です。
いよいよ出港!
出港するときはバルセロナの夜景が見えるだろうと思い、船最後尾のデッキへ。トラックの乗船に時間がかかり出発が遅れていましたが、やっと出港です!
モンジュイック城、灯台、バルセロネータ付近のWホテルなどが望めます。
コンテナ埠頭、サイロ、下水処理場なども見えます。
住んでいながら今まで見たことのない風景が楽しめました。
船内のアメニティ
ローマ号はグリマルディ・ラインが所有している中でもかなり大きなフリートなのでアメニティも充実しています。
ラウンジ
ラウンジは低いテーブルと椅子やソファがあり、ソファはDeck Passageのチケットの人たちが一番に目指す場所のよう。椅子席の方はバーのドリンクを飲んでいる人たちが目立ちます。朝方ソファが空いていたので寝転がってみると、何故か手前が沈むので落ちそうに…それほど広いエリアでないので快適さはあまりありません。
レストラン
船内にはダイニングが3つほどあり、一番カジュアルなのがバーガー店。お昼時でも比較的空いていました。
一番需要が多いのがセルフサービスのカフェテリア。
今回は夜中から午後4時半の船旅なので食べる必要があるのは朝食と昼食。朝食は元々それほど食べないのでパンを持参しました。昼食はカフェテリアのスタンダード・セットメニューが事前に予約しておくと半額(€15)ということでした。セットメニューは恐らく量が多いだろうし美味しくないと思うので、どうしてもランチをしっかり食べたいというパートナーの一人分だけチケット購入時に予約しました。
どのようなチョイスがあるのかウェブサイトには書いてありませんでしたが、実際に行ってみると、パン、Primi、Secondi、フルーツ、飲み物(ワインやビール可)でした。
ラザニアにチキン・シュニッツェルという組み合わせを選んだパートナー。ランチ開店と同時に行ったのに、どれもビックリ冷めていました!そして、まずい!しかもシュニッツェルはナゲットのようなチキンのすり身でした…このランチを食べて、「もうフェリーでご飯は食べない!」と誓いました。良かった点は、かなり量が多かったので二人で食べて丁度の量でした。
そして、テーブルクロスが敷いてあるアラカルトのレストランがあります。普通の洋食のようでしたが立ち寄ったときは閉店していたので様子は伺えませんでした。
バー
バーだけは時間に関係なくノンストップで営業しています。コーヒーやちょっとしたスナックなどもこちらで買えます。価格はイタリアのバー(スペインよりは高い)とそれほど変わらないかなというくらいでした。全てイタリアで積んでいるようなのでビールもワインもイタリアのものでした。
プール
プールも併設されているのですが、時期が早いので閉鎖され、左右のデッキの一部も修理改装しているようで、アクセスできるデッキはほぼ最後尾のみ。全部開放されていればもっと開放感があっただろうに残念…
ナイトクラブ
クルーズ船ならともかくとして、フェリーにクラブという発想は日本人ではなかなかないと思います。出発前は開いていましたが出発後結構すぐに閉めてしまい、楽しめる時間は短かったようです。
ギフトショップ
一応暇つぶしに覗いては見たものの大したものは売っていませんでした。かなり小さく営業時間も昼間だけなので利用者もあまりいないようでした。
スポーツジムとジャグジー
追加料金でジムやジャグジーが利用できます。ジムは受付の裏にあるので確認できませんでしたが、ジャグジーは最後尾デッキから丸見え!何人か女子が入っていたので写真は撮りませんでした。写真だと海が一望ですが、実際は人がすぐ外に立ってタバコを吸っていたり、窓もかなり曇っていました。
カジノ
こちらも閉まっている時間のほうが長くあまり利用者はいないようでした。隣にはゲーム機などもありました。
ドライバーズ・ラウンジ
トラック運転手のラウンジとのことですが、単なる喫煙室でした。
ペット同伴
車で乗船する人が多いので犬を連れて乗る人も多数いました。デッキには犬のトイレエリアもあり、キャビンは€10の追加料金を払えばペットも泊まれるそうです。
ネット環境
EU圏内の携帯はイタリアを含むEU諸国でのローミングがある容量まで無料なのですが、国際水域の海上は莫大な料金がかかります。船内では、サテライトのWIFIサービスが有料で使えるということでした。ただ、サテライトはかなり不安定なようで、購入した人のレビューも良くなかったので、WIFIなしで過ごすことにしました。
前もってダウンロードできるものはダウンロードしていたのでそこまで苦痛ではありませんでしたが、パートナーがどこか行って帰ってこないなど、広い船内でコミュニケーションを取るのにSMSくらい使えたらなと思いました。
船内での過ごし方
航海中はお天気は良好で揺れることもほとんどありませんでした。結局、Pullman Seatの席ではほとんど寝れませんでした。床に寝ていた人が誰かに踏まれたのか大声を上げて、それからみんな起きてしまい、それからしばらく会話が聞こえたりしました。
そして、朝7時過ぎには電気が付くので目が覚めてしまい、昼間は主にラウンジエリアで過ごしました。それからは時間があっという間に過ぎてしまい、それほど退屈することもありませんでした。
びっくりしたのが、乗客はそのほとんどがイタリア人!バルセロナに多くのイタリア人が住んでいるというのもあるのでしょう。大半の人がローマまで行くようでした。
サルデーニャ島を望む
到着2時間前ほどになるとサルデーニャ島が見えてきます。サルデーニャ島の北に位置するフランス領土のコルシカ島も見えました。
サルデーニャ島ポルト・トレス到着
出発が遅れた分、ポルト・トレスには少し遅れて到着しました。下船は比較的スムースで、バルセロナ港の時とは異なり、船内のエスカレーターで一番下の階まで降り下船します。
港では鉄道の駅と町の中心までの無料バスが待機しています。今回の旅で無料バスのサービスがあったのはここだけでした。
14時間に渡る旅、寝れなかったこともありかなり疲れましたが、ポルト・トレスは特段見どころもないので、電車で少し行ったところにあるサッサリ(Sassari)を目指します。
初めての夜行フェリーの旅、知らないことが多く最初はかなり戸惑いました。そして、もうちょっとフェリーの知識があればもっと快適に過ごせただろうなと思いました。次回のサーディニャ島南部カリアリからナポリまでのフェリーも同じくグリマルディ・ラインなのでその時の大きな参考にはなりました。
次回の記事は、サッサリです。