ナイトバードは歌わない(加筆修正版)
01
重装備の警備ドロイドが次々と謎めいた影に無惨に破壊されていく姿を監視カメラは捉えていた。
「ブルシット! ワシが私財を投じて構築した最新鋭警備システムが破壊されていくとは!」
闇の成金老人は歯噛みしながら、緊急脱出システムを作動させるスイッチを叩き、「脱出用ヘリコプターを起動させます」と、無感情な電子音声ガイダンスが流れた。
KABOOM! 安心する間もなく、重厚な扉が爆発音により強引に開かれ成金老人は侵入者の姿を認める。
その侵入者の姿はた黒い戦闘的タクティカルスーツでフルフェイスのマスクで素顔を隠していた。まるでニンジャだ!
「貴様の目的はなんだ! ワシの金か! 名誉か! それとも両方か!」
成金老人は自衛用の拳銃を怯えながら構えた。だが侵入者は拳銃の存在を構わずに背中にマウントされたブレードを構えた。成金老人は死を覚悟した。
02
「急がないと、遅刻する!」
烏山優乃は焦りながら学校に向かっていた。目覚まし時計が壊れていて寝坊してしまったからだ。慌てながら通学路を必死に走っていた。彼女の頭の中は遅刻でいっぱいで、それ故に突如暴走し、横断歩道から飛び出してくる乗用車の存在に気づかなかった。ふと我に返った時には暴走乗用車が迫ってきていた。優乃の脳内はパニックに陥る。
(どうしてこんなことになるの!? 遅刻の末乗用車にはねられて死亡なんて!?)
……だが、その衝撃がやってくることはなかった。一瞬宙に浮く感覚がした次の瞬間には横断歩道の向こう側に優乃は存在した。正確には謎の青年に抱きかかえられていた。
『キミ、大丈夫かい?』
いまだパニックの最中にいた優乃に謎の青年は電子音声で語りかけていた。彼はサイボーグなのだ。
「あれ、どうして私は生きているの? 乗用車にはねられたはずでは?」
『ボクが飛び出してキミを助けたんだよ?』
「よくわからないけど、助けてくれてありがとう」
『気にしないで、これからは乗用車に気を付けるんだよ』
と謎の青年は優乃を地面に降ろすと笑いながら反対方向に向けて去っていった。優乃はしばし呆然としていたが、慌てて学校に向けて走り出した。
【続編未定】