オールド・キング・コール
ネオマンハッタン、魔界と接続してしまったアメリカ屈指の危険地帯。真夜中のネオマンハッタンを歩いているのはグールか浮浪者かチンピラのどちらかである。そんな危険なネオマンハッタンの夜を歩いている一人の男がいた。その男の表情には怯えは存在しなかった。そんな男に絡んでくるチンピラ集団がいた。
「オイ、こんな真夜中にネオマンハッタンを歩いている奴は初めて見たぜ」
「警備料はご所望か?」
だが男はチンピラを無視をした。まるでチンピラの相手をする暇はないかのようだった。
「オイ! 無視すんなよ!」
「警備料、ちゃんと払えよ!」
男はチンピラの答えに拳で応えた!
「グワシ!」
「ヒデブ!」
「……手間暇かけさせやがって、無駄な暴力を振るってしまったぜ」
そして男はチンピラを一瞥もせず去っていった。
そのまま男はネオマンハッタンの路地を歩き続け、廃棄された地下鉄駅構内に入った。非常灯の灯りだけが男を照らしていた。
「お前か……ネオマンハッタン地下13層、ヘルズキッチンを攻略したいという男は……」
灰色熊のように巨体の男が地獄の底から響くような声で男に尋ねてきた。男は無言で頷いた。
「かつてヘルズキッチンで鳴らした大物ギャングのリーダーで今は、魔界の悪魔どもと同盟した腐敗したニューヨーク警察によってヘルズキッチンを追い出された負け犬の話は聞いてるぜ」
「ほう、よく俺の話を知っているな……流石はジョシュア・ノートンの血族だ……しかしあんたは銃を使わないのか?」
ギャングリーダーは男が銃を持っていないことに疑問を持った。
「あぁ、俺にはKARATEがあるからな。並みのガンマンよりは拳の方が早く倒せる……サンディエゴでは宮本武蔵とブルース・リーを瞬殺したこともあった」
「ならヘルズキッチンにたむろする悪魔どもを蹴散らすのは簡単だな……期待してるぜ」
そういってギャングリーダーはビンテージものの煙草を投げ渡した。
【続く】