レコーディングの話①
2024年1月6日の下北沢CLUB Queでのワンマンライブでリリースした2ndアルバム「Talk! Talk! Talk!」。発売を決めたのは、ちょうどその1年前、2023年1月頃。
「1stアルバム”Jellyhead”はミニアルバムくらいのサイズだったから、2ndは絶対10曲は入れる!」ということも早い段階で決めてました。だから、そのために「いつ頃までに何曲作る」みたいな計画を立てて、毎月2,3本のライブをやりながらも、合間になんとかスタジオを重ねること約9ヶ月。
ギリギリまで曲を書き続けた結果、目標の曲数を少し越えたぜ!というところで、2023年9月30日〜10月1日、2日間のレコーディングを迎えました。
中央道を降りてのどかな山道を走り、たどり着いた先は山梨県のとある山あいにポツンとたたずむログハウス風の建物。ここに来るのはもう3回目。Underbugのこれまでのレコーディングを全てやってもらっている、須藤さんの紹介で出会ったレコーディングスタジオ。
入口の扉を開けて一歩中に入ると、木のぬくもりを感じられる1階ぶち抜きの空間が広がる。左手の壁にはチェロやマンドリンなどの弦楽器が並んでかけられていて、正面にはアップライトピアノがお出迎え。床にはソファを囲むようにギターケースやさまざまなオーディオ機器などが雑多に置かれている。中央付近には薪を燃やす暖炉があり、その背後の窓の向こうには広々としたウッドテラス。奥へ行くと、大きなダイニングテーブルがあり、その向こうは気持ちのいい対面型キッチン。食器など生活に必要なものが一通り揃っていて、誰かの残していったアルコール類も並んでいる。
スタジオスペースは2階にあって、ドラムブースやボーカルブース、コントロールルームなどに分かれている。真ん中にはグランドピアノが堂々と佇んでいて、壁はやはり全て木造り。眺めのいいバスルームもあって、寝室は3階の屋根裏部分で、いかにも「合宿レコーディング!」という気分を大いに高めてくれる。
ちょいちょい様子を覗きに来たり、夜は一緒にガッツリ飲んだりするオーナーさんとの話もとても楽しい。実はマッチョは大昔に、以前のバンドでもここでレコーディングしたことがあって、オーナーさんもそれを覚えていた、というのも面白い話。3人ともお気に入りのスタジオです。
何枚か写真でご紹介。古いものも混ざってますが。
ちなみにレコーディング&マスタリングの須藤さん、ドラム・ベースをはじめマルチなプレイヤーであり、レコーディングエンジニア等、多彩な顔を持つ音楽家の須藤俊明さんとオレとは、出会ってからもう15年くらい経ちます。以前のバンド、Montecarlo Scrap Flamingoの1stアルバムをレコーディング・ディレクションしてもらったのは若いオレにとって本当に貴重で大切な経験でした。一緒にバンドで音を鳴らしたことも何度かあります。尊敬する先輩であり、大活躍の素晴らしいミュージシャンであり、時々プライベートでも遊んでもらっているありがたい存在なのです。
さて、一通り旅気分に浸ったら、いざレコーディングスタート。
ライブで慣れていてサクッと録れる曲もあれば、中にはまだアレンジを決めてない曲もあって、録りながらああだこうだと決めていったりもする。数曲録れるごとに軽く休憩を挟んだりしながら、時間に余裕はないながらも慌てずに進めていきます。
ノルマは全部で9曲か10曲+Plug In Freak Outの一部録り足し、だったかな。「ドラム+ベース+2人のコーラス」はこの2日間で必ず終わらせないといけないから、最優先で。オレは重ねるギターのアレンジを考えたりしながら、できる限りの音を録っていく流れです。
余談だけど、レコーディングをしてると、妙にハマってしまう瞬間っていうのがあって。他のメンバーから言わせると充分な演奏でも、本人からするとなんか納得がいかなくて何度も録り直す、みたいなことがよくある。それは細部へのものすごいこだわりだったり、あるいはどうしたらいいのかただ迷子になってるだけなんてこともあるんだけど。
そういうのって、曲全体でみればあまり変わらない程度の違いだったり、時間がないからやめといた方がいいくらいのことだったり。でも結局落ち着くところに落ち着いて、それが奇跡を起こすかどうか。それがライブとはまた別の、レコーディングのバンドマジックなのかな、とか思ったりする。
そんなこんなで順調に作業は進み、初日の夜、ある程度先の見通しが立ったところで、次のお楽しみ。みんなで車で近所のスーパーやコンビニまで買い出しに行って、夕食と酒の準備です。
いつものようにフラッとオーナーさんも顔を出してくれたり、そういえばこの時はそれ以外の来客も数人あったんだよな。レコーディング中に「はじめまして」の人たちがいるというのもなかなか面白い経験でした。
今日の内容を振り返ったり、あるいはとりとめもない話をしたり。メンバーとゆっくり時間を過ごせるのが楽しいのはもちろん(全員集まってゆっくり、を普段なかなかできないバンドだからね)。須藤さんやオーナーさん、世代も住んでる世界も様々な音楽好きたちのいろんな話を聞けるのもまた、とても楽しい。あっという間に夜は更けていき、どうしてもいつも予定よりは飲み過ぎてから、眠りにつくのでした。
おまけ。”FREEDOM EP”録音時の昼食風景と思われます。全員無言なのは、いろいろ考え中なのかな。
おまけその2。同じ日の夜。須藤さんとヒロミチが出会った当時、須藤さんが所属していたLOUDSの”LOUD MACHINE”という曲を、うろ覚えで歌うヒロミチ。夜も深く、すっかり酔いどれの二人。この後なんとか弾けるようになった気がします。
おまけその3。1stアルバムレコーディング時の、お遊び風景。
…長くなってしまったし、曲ごとの話は別で書いているので、ここらで話は端折ります。こんな感じで楽しく一生懸命作業を重ねていき、2日目の夜までには無事に必要な音を全て録り終えて。楽しいと疲れたを両方抱えながら、バンドは西へ東へそれぞれの帰路に着いたのでした。
次回は東京でのヒロミチと須藤さんの、ボーカル録り&ダビング編へと続きます。
ヒロミチ
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