ふるどけい
ボクのおうちのげんかんには、かぎあなみたいなかたちの、めだまがついた、小さなとけいがかかっています。
でも、このとけい、ゆらしてみても、たたいてみても、うんともすんともいわないんだ。
ベッドのよこにあるとけいは、あさになるとうたをうたってくれるのに。
リビングにあるとけいは、チクタクとおしゃべりしているのに。
ふしぎ。
でんちがないのかな。でも、ケーブルをさすところがないよ。
げんきがないのかな。おうえんしたけど、なにもなかった。
おとうさんもおかあさんも、わからないんだって。
おじいちゃんならしってるかも。
「おじいちゃん、あのね、このとけい、げんきがないよ。」
「おお、このとけいな、おじいちゃんがこどものときからなかよくしてるんだ。そうかそうか、なおしてやらないとな。」
なおすっていった、びょうきだったんだ。びょういんにいくのかな、とけいもたいへんだなあ。
つぎのあさ、
あのめだまが、みぎにひだりにうごいてて、チクタクとしゃべってる。リビングのよりちょっとこわいかも。
げんきになってよかったね。ちゃんとぼくのことがみえてるのかな、ちゃんとおしゃべりできるかな。
もうびょうきにかかっちゃだめだよ、もしかかっちゃったら、ぼくがちゅうしゃうっちゃうんだから。
これからもよろしくね。