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持続性GIP/GLP-1受容体作動薬 マンジャロ皮下注アテオス:チルゼパチド

新機序 持続性GIP/GLP-1受容体作動薬

何かと話題の新薬であり、適応は2型糖尿病です。

本剤は、持続性のグルコ ース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体及びグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体の作動薬である。 チルゼパチドは、39 個のアミノ酸を含む合成ペプチドで、その構造は GIP のアミノ酸配列から設計されており、 C20 脂肪酸側鎖を付加することで内因性アルブミンへの結合性を高めて消失半減期を延長する。 チルゼパチドは、膵β 細胞の受容体と結合することにより、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進させ、空腹時及び食後グルコース濃度を低下させることにより、血糖コントロールを改善する。

(1) 週 1 回投与の持続性 GIP/GLP-1 受容体作動薬である。
(2) 本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
(3) 日本人 2 型糖尿病患者を対象とした国内臨床試験において、単独療法及び経口血糖降下薬との併用療法 のいずれにおいても HbA1c を低下させた。 (4) 重大な副作用として、低血糖、急性膵炎があらわれることがある。主な副作用(発現頻度 5%以上)として、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退が報告されている。

マンジャロ インタービューフォームより抜粋


用法用量

標準的な用法用量は、チルゼパチドとして週 1 回 5 mg を維持用量とし、皮下注射します。自己注射が可能です。

  1. 週 1 回 2.5 mg から開始

  2. 4 週間投与した後、週 1 回 5 mg に増量

  3. 週 1 回 5 mg で効果不十分な場合、4 週間以上の間隔で 2.5 mg ずつ増量

最大用量は週 1 回 15 mg まで
注射部位(腹部、大腿部又は上腕部)の皮下に投与
注射部位は毎回変更


注意点

  • 投与を忘れた場合は、次回投与まで3日間(72時間)以上空ける。

  • 雌雄ラットを用いた2年間がん原性試験において、本剤を0.15、0.50及び1.5mg/kgの用量(それぞれ最大臨床推奨用量をヒトに皮下投与した際のAUCの0.12、0.36及び1.02倍のAUCをもたらす用量)で週2回皮下投与したところ、対照群と比較して、甲状腺C細胞腫瘍(腺腫及び癌)の発生頻度の増加がすべての用量でみられた。rasH2トランスジェニックマウスを用いた6ヵ月間がん原性試験において、本剤を1、3及び10mg/kgの用量で週2回皮下投与したところ、甲状腺C細胞の過形成あるいは腫瘍の発生頻度に増加は認められなかった。甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する本剤の安全性は確立していない。

  • 急性膵炎

  • 胆嚢炎、胆石症等の急性胆道系疾患

  • 体重減少。投与開始時のBody Mass Index(BMI)が23kg/m2未満の患者での本剤の有効性及び安全性は検討されていない。

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。生殖発生毒性試験において、妊娠ラットに本剤を投与した場合、臨床最大用量でヒトに投与したときの本薬の曝露量を下回る用量(臨床最大用量でのCmax比較において0.74倍、AUC比較において0.45倍)で、胎児毒性(骨格奇形、内臓奇形等)が認められた。これらの所見は母動物の摂餌量の低値及び体重の低値を伴うものであった。

  • 本剤とDPP-4阻害剤はいずれもGLP-1受容体及びGIP受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。




雑感

2型糖尿病の治療薬ですが、体重減少効果がひと際目立つため、発売後は適正使用がどこまで図られるか。要注意ですね。

非臨床試験における催奇形性の原因は母体の体重減少を疑いますが、治療用量の範囲で発生していることに留意しておく必要があります。

甲状腺 C 細胞の過形成及び腫瘍に関する作用については、GLP-1製剤においても同様の傾向であり、げっ歯類に特異的であることを示唆しています。

いずれも、経過観察が必要です。

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