【アフリカスタートアップ】大型物流トラック版Uberで、アフリカ運送業を改革するTrellaの挑戦

こんにちは、UNCOVERED FUNDインターンの小林です。
今回も前回に引き続きUNCOVERED FUND主催のSHOWCASE AFRICA 2023 に来日予定のTrella社を紹介していきます！

※諸事情により来日キャンセルとなる場合もございますが、御了承下さい。

１. はじめにサービスの概要の紹介をお願いします。

Trella はB2B物流のデジタルプラットフォームです。荷送人とトラックドライバーをリアルタイムで結びつけることにより、荷送人のコスト削減、トラックドライバーの積載率改善を実現し、より良い運送コストの提供、価格の透明性を高めることができます。
 
弊社のマーケットプレイスプラットフォームは、荷送人の輸送ニーズ（需要）とトラックドライバーの輸送能力（供給）を一致させることで、両者の需給を満たすことができ、市場をリードする信頼性と可用性を提供することで、MENA地域全体でモノの移動に係るコストを大幅に削減します。
 
荷送人ポータルは、価格設定の透明性の担保、リアルタイムによる荷物追跡の可視性を保証、また運送履歴をもとにしたデータと洞察を提供します。トラックドライバーアプリは、トラックドライバーに積荷と経路に関する情報を提供し、多様な集配場所に移動する際のコストの最適化を保証します。

２. 解決しようとしている課題を詳しく教えてください。また、顧客のペインポイントは何ですか？それはどの程度の問題でしょうか？

トラック輸送にはムーアの法則は適用されません。トラックは大きくなりませんし、燃料効率もこれまでほとんど改善されておらず、環境への影響は悪化していないにせよほとんど変わりません。また、自動運転車は依然として安全かつ実用的な運用は行われておらず (MEA地域は言うまでもなく)、商品の移動コストが急速に減少することも期待できません。
 
残念ながら、むしろイノベーションは停滞気味であり、モノの移動コストは上昇傾向にあります。 そして悲しいことに、新興市場、特にアフリカでは、先進市場と比較して輸送コストが 3 倍から 4 倍高い傾向にあり、Dead Leg（貨物を運ばない車両）の走行距離はほぼ 2 倍とも報告されています。改革の必要性は待ったなしと言えるでしょう。
 
業界全体を俯瞰した際に、私たちの地域の業界が直面している真の課題はバイヤーの考え方であると私は考えます。変革を妨げているのは、私たちの人間としての性質と行動、そして変化への抵抗です。 世界中のすべての産業の中で、モノの移動、特にトラック輸送には、極めて高いHuman -centered（人間中心）の特徴があります。 携帯電話、メール、SMS、Excel スプレッドシート等が例として挙げられます。

業界内で漸進的な改善が行われていますが、トラック輸送エコシステムにおける荷送人と運送業者の両方にとってAffordable(手ごろ)、Convenient(便利)、Tech -enabled（テックベース）のソリューションはまだありません。荷送人や運送業者のさまざまなニーズにワンストップで対応するソフトウェアを実現することは、需要があるものの未だに開発されてないサービスの 1 つです。

３. あなたの経歴について教えてください。どのような経緯でTrellaを設立するに至ったのでしょうか？

Trella創設チームの4人は、当該地域の物流業界に関して深い専門知識を持っています。 Omar (CEO/共同創設者) は、Oregon大学で政治経済学の学士号を取得して卒業した後、CI Capital で投資銀行アナリストとして 3 年間勤務しました。
 
彼はその後、カイロでCommunity Operation Managerとして Uber に入社し、後に英国でLaunch and Expansion EMEA Managerを務め、ドバイ、ケープタウン、リヤドおよび英国40都市で事業設立に携わりました。
 
2019 年初頭、Trellaの共同設立メンバーは、手頃な価格で信頼性が高く、効率的な代替輸送サービスを提供する配車アプリの成功に触発され、エジプトの伝統的な貨物輸送市場に対処するべく、Tech-centric（テック中心）なソリューションの構築に着手しました。

４.ファーストマイル物流を実行する上で最も困難な課題は何ですか。また、Trellaはこの課題をどのように対処しているのですか。

MENAの道路貨物業界は非常に細分化されており、主に独立したブローカーにより、対面または電話で、ペンと紙を使用して行われています。 荷送人は、多くの場合、リアルタイムで積荷を追跡することや価格オプションを比較することができません。同様に、トラックの運転手も公正な価格設定を享受することができず、また積荷の一定供給にもアクセスできていません。 この問題に対しTrellaは、前述の通り、MENA全体の道路貨物業界の業務を合理化するB2Bロジスティクステクノロジープラットフォームを提供し、荷送人とトラック運転手をリアルタイムで結ぶことで、荷主のコストを削減し、トラック運転手の積載率を改善し、より良い価格を提供し、全体的な価格の透明性を高めています。
 Trella が荷送人に提供する価値は以下の通りです。

①手ごろな価格/効率性トラックドライバーと豊富なネットワークを持つことで、従来の仲介業者による高額な仲介手数料を回避できます。これにより、伝統的な仲介業者を介した取引と比較して25%も低い価格を荷送人に提供しています。さらに、Trella のテクノロジーにより、バックホーリング(トラックが積み込みを完了して元の出発点に満席で戻ってくることを意味します) の増加が可能になるため、より良い価格を提供できるのです。 

②信頼性マッチングテクノロジーにより、Trella の平均リードタイム（商品の発注から納品に至るまでの輸送にかかる期間）は 2日に短縮されます。つまり荷送人は、積荷の発送を検討する際に、この時間枠で検討することができるのです。 さらに、Trella は、プラットフォームを通じて予約されたすべての荷物に保険を提供します。 

③可視性荷送人にとって重要な価値の 1 つとして、積荷をリアルタイムで追跡し、積荷のステータスと場所に関する最新情報を常に把握できる機能を提供しています。

また、トラックドライバーへのあらゆるニーズに対応できる360 度のエコシステムを構築しています。主なメリットとして以下が挙げられます。

①売上増加
Trellaのマーケットプレイスを介することで、貨物輸送における収入取り分を増やすことができます。伝統的なブローカーを介した場合の取り分が約26%であるのに対し、Trellaユーザーは32%を得ることができます。また、トラックの利用率に関しても、業界平均のバックホール率が5％であるのに対し、Trellaユーザーは21%です。
 
②E-Commerce
T-Store E-Commerceサービスを通じて、トラックドライバーはワンストップショップにアクセスして、タイヤから潤滑油まで、トラックに必要なすべての備品を購入できます。
 
③即時支払い
トラック運転手は長らく、支払いの遅さに悩まされてきましたが（平均2~4週間要するとされています）、T-Fastを通じて、トラックの運転手は、荷積みが完了するとすぐに支払いを受けることができます。
 
これらの包括的なエコシステムに加え、荷送人もトラック運転手も、操作が簡単で使いやすいプラットフォームにアクセスでき、24 時間年中無休の専任カスタマーサポートチームにアクセスして、最適なフィードバックサイクルを実現できます。
 
５. 今後のビジョンを教えてください。これまでにどのようなインパクトを与えてきましたか？

私たちがTrellaを設立した目的は、社会に大きな影響を与え、有意義なビジネスになるためであり、小さな旅で終わる気は一切ありません。私たちは、何百人もの従業員を雇用し、何百万もの顧客 (荷送人と運送業者) にサービスを提供し、広く知られるソリューションになりたいと野心を抱いています。私たちならそれができると信じています。 私たちの考えの根底にあるのは、経済をより良くすることであり、それゆえに私たちのビジョン”To empower communities to move economies forward by reducing the cost of transporting goods（商品の輸送コストを削減することにより、コミュニティが経済を前進させる力を与えること）”が生まれました。 現実には、Trella が設立された 2019 年 1 月の時点では、私たちは方向性の詳細をすべて把握していませんでした。私たちは、解決策が必要であること自体は単純に認識していたので、その解決策に着手し始めました。その後、ビジネス、そして私たち自身がより成熟するにつれて、本質や、トレンド、課題、機会に対する私たちの理解も成熟してきました。今では、本業界における成功とは何か、そしてその成功に向けて何が必要かについて、より明確なビジョンを持っています。しかし、私たちの中で徹頭徹尾ぶれていないことは、ESG等のような、ビジネスを超えた影響でした。今の私たちは、ソリューション指向のテクノロジーおよびサービス企業でありながら、ESGを促進・問題を解決することで、経済と社会の活性化だけでなく、コミュニティに望ましい影響を与える企業としての知名度を持っていると感じています。トラック輸送のESGソリューションは Trellaであると胸を張って言えます。 私たちの大陸でロジスティクスをオンラインにすることは容易ではありません。しかし、不可能ではありません。私たちが目指す当面の目標は、荷物の予約/リクエストのプロセスと、そこでのフルフィルメントを、SNSの投稿に「いいね！」をしたり、テキストメッセージを送信したりするのと同じくらい簡単で障壁のないものにすることで、商品の移動の流れを文字通り民主化することです。 したがって、私たちの使命は、“The mission of Trella is to provide our community with the technology and platform that reduces the costs of moving goods (Trellaの使命は商品の移動コストを削減するテクノロジーとプラットフォームをコミュニティに提供すること)」です。 Trella 製品の最初のバージョンは、「デジタルトランスポーター（運送役）」と呼ばれるものを少し超えた程度のものでした。ここから、テックへの特化と投資により、荷主と運送業者を結び付けるデジタル仲介プラットフォームに製品を急速に拡大し、長距離トラックの荷物の予約と実行を管理するようになりました。私たちの野心的な使命は、トラック輸送プラットフォームを構築するだけでなく、トラック輸送プラットフォーム、デジタル仲介、デジタル輸送業者が存在する物流プラットフォームも構築することです。これらはすべて、顧客が期待する信頼性の高いデジタルソリューションを顧客に提供するという点で相互に関連しており、荷送人と運送業者のニーズに対応する「ワンストップショップ」の必要性を物語っています。

 
いかがでしたか？SHOWCASE AFRICA 2023インタビューは毎週水曜に更新予定です。小売・流通、金融、モビリティ、Web3.0等々、アフリカで急成長するデジタル経済圏を創るイノベーターが集結するSHOWCASE AFRCA 2023へぜひお越し下さい。

SHOWCASE AFRCA 2023 開催概要
日時：2023年4月27日（木）11:00-18:00
会場：東京ミッドタウン日比谷　Base Q
住所：東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷 6F
公式サイト： https://showcase-uncovered-fund.com/
主催：株式会社アンカバードファンド
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UNCOVERED FUNDについて
UNCOVERED FUNDはアフリカ大陸はじめ新興国の産業創りをリードするベンチャーキャピタルです。2050年に向けて新興国の人口増加と経済成長はここから急加速し、世界経済の中で重要な役割を担っていくことは間違いありません。特にその中でもラストフロンティアと呼ばれるアフリカ大陸は、2050年には世界人口の25%を占める25億人の巨大市場になります。その成長を牽引する最先端のデジタル技術を活用し、既存の枠組みに捉われることなく産業・社会基盤を一から構築していく新興国には、 日本が学ぶべきイノベーションの発想が多く存在します。UNCOVERED FUNDは、まだ十分な起業家支援が行き届いていない『アンカバード（un covered）』な世界で 未開の才能を発掘し、事業を作り、雇用を生み出し、世界100億人が共存する未来へ大きな価値を共創します。
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