2017.11.18 柿バター
この国では柿はありふれた果物だ。
秋になればどこでも売っている。むしろそこら辺の木に勝手に実がなっている。渋柿、甘柿の違いはあるにしろ、柿はあまりに生活に溶け込んでいる。
柿がありふれる理由のひとつが、その生命力の強さだろう。どう見ても誰も世話をしていない柿の木が大きく育ち、秋になれば暴力的な数の実をつける。
カニですら柿の栽培が可能であることは周知の通りだ。僕も以前、食べた柿の中に入っていた柿の種をいくつか適当に植えたら、発芽率100%を記録したことがある。なお、そのあと実をつけるまでは育てられなかったので、僕はカニ未満である。
気がつくと我が家にも柿があふれていたので、煮た。
ただ煮るのもつまらないので、以前どこかでレシピをみかけて気になっていた
「柿バター」
にすることにした。まぁ、柿ジャムを煮て、最後にバターを入れるだけなんですが。
柿は煮崩れないので、フードプロセッサーでピュレ状にする。40%の砂糖と、レモン汁を加えて火にかければ水分が出てくるので、10分ほどグツグツ煮る。
柿重量の20%のバターを入れて混ぜる。
なかなか、なんか柿の剥いたのっぽい雰囲気もあるし、かわいい色合いで気に入ってる。
味は、美味いんだけど、柿の主張が穏やかすぎてやきもきする。もう少し、柿の風味を濃厚に出せたらいいなぁ。しかしあまり煮詰めると渋みが出るらしく、難しいところ。
とりあえず、レモン汁は入れすぎたと反省。レモンの香りが勝ってしまった。お前ちょっと脇役のくせに遠慮が足りないんだよ。
この国では柿はありふれた果物なのに、ジャムを見かけることが少ない。生食が多いし、保存食といえばなんといっても干し柿がある。
作っといてなんだが、
「なんで敢えて柿を、なんで敢えてジャムにした?」
という問いに明快に答えられない。
「柿を食べるならジャムにするよりも美味しい食べ方がたくさんある」
「ジャムにするなら柿より美味しい果物はたくさんある」
この板挟みである。
もちろん、安く大量に手に入るとか、商品として物珍しいとか、プロであればなにかと理由はあると思う。いまは奈良にある柿専門店の柿ジャムというのが、かなり気になってる。
今回だけでも反省点はあるし、工夫すればもっと美味しい、柿っぽい柿ジャムが作れると思う。ただ、柿を見ると生食したくなっちゃうので研究がまったく進まない。
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