2020.07.10/2020.07.19 キウイジャム(ゼスプリグリーン)
ニュージーランド産グリーンキウイ。「ゼスプリ」はブランド名で、品種名としてはヘイワード。ていうかグリーンキウイはほとかんどがヘイワード種。
グリーンキウイを煮る際にこだわりたいのは、とにかく如何にきれいな緑色に仕上げるか。これまでけっこうな回数キウイを煮てきて、いかに火にかける時間を短くするかとか、いろいろと試行錯誤した。結果わかったことは、調理の工程の工夫でキウイの退色を防ぐ手立ては「ない」。むしろ緑色が薄いキウイを使ったほうが、緑色には仕上がらないが、透明感のあるきれいな黄色に仕上がったりするので、虚しさが募る。
キウイ果肉中の緑の色素クロロフィルが酸と熱によって変質するために、キウイは煮ると退色する。つまり、もとより「酸性の強い」キウイを「煮る」という行為自体が、緑色を褪せさせてしまうことを運命づけている。普通にキウイを煮て、きれいな緑に仕上げることは不可能に思える。
緑色の材料は銅鍋で煮るときれいな色に仕上がる、という話は聞いたことがある。ただ、銅鍋なんて、高価かつジャム煮るくらいにしか使わないものはちょっと買えないので、あまり自分には関係ないこととして捉えていた。しかし単純に銅の効果なんだとしたら、例えば銅線を鍋に入れて一緒に煮れば良いのでは?
そこでもう少し突っ込んで調べてみる。と言っても主にWikipedia情報ですが。
そもそもクロロフィルが煮ると褐色を呈する理由は、クロロフィル中の環構造に配位したマグネシウムが酸性下において水素原子に置換され、フェオフィチンとなるため。この反応は加熱でさらに促進される。銅鍋が有効なのはマグネシウムに変わって銅が配位することで、クロロフィルが酸や熱に対してより安定な状態になることによる。ちなみに銅クロロフィルは食品衛生法において着色料として使用が認められている食品添加物。
なるほどなあ、銅鍋の件は正直ちょっと眉唾で聞いてたんだけど、そういう理屈があるなら間違いない。さらに言えば、やはり銅が入ってさえいれば銅鍋である必要性はなく、銅線でも問題無いはずだ。
しかし、銅は必須微量元素ではあるものの、銅鍋や銅線の常用により過剰摂取となることがないかは気になるところ。厚生労働省は栄養機能食品として1日0.5〜5mgの銅を摂取することを推奨している(普通の食事で達成されるらしい)ので、5mg以上となるかどうか。
ちなみに水道の基準値が1ppmなので5mgっていうと基準値いっぱいの水を5リットル飲む感じ。銅鍋で煮たジャムの銅濃度がどの程度なのかさっぱりわからないが、銅管内に滞留した高温水(80℃とか)で2ppmくらいにはなるようなので、少なくともそれ以上はありそう。ただ、濃度よりは摂取量の問題である。仮に100ppmになったとして、それで5mgとなるのは50mL食べたとき。小瓶の半分といったところか。小瓶半分くらい食べることある気がするけど、それでやっと5mgなので、健康に影響は出ないだろう。そもそも100ppmもないだろうし。
しかしどうやら過去に「銅鍋で作ったカレーを食べて銅中毒」という事例があったようで、多少の注意は必要と思われる。ただしこれ、酸性のカレーを長時間(丸一日とか)鍋の中に放置したため鍋材の近傍で高濃度に銅が溶出し、そこを取って食べた場合に限られる。ジャムはもちろん酸性なので同じ事故は起きないとは限らないが、鍋に入れたままにしなければ問題なさそう。
銅線かあー、銅線だと銅の純度とかコーティングされてないかとか気になるなあ。なにか他に使いやすい銅製品…
あ!うちにある!卵焼き用の銅フライパン!これでお湯沸かして使えばいいんじゃない?入れっぱなしにもならないから銅濃度もある程度制御できるし。これはやらない手はない。
それはそうと、今回はそこまで思い至らなかったので、普通に煮た回です。
まず1回目。
キウイは4等分のくし切りを5mmくらいに刻む。砂糖50%をまぶして置いておく。
ゴールドキウイでやったように、りんごペクチンを添加。今回はりんごペクチンと、砂糖に浸漬して出てきたキウイシロップを先に合わせて煮詰めてみる。果肉の加熱時間をできるだけ短くする意図。
あとはキウイの果肉を投入して、
適当な煮たらできあがり。
しかし煮詰めが足りなかったのか結局あんまり固まらなかったし、色はまあ、きれいな緑はやっぱり難しい。
ということで2回目。
けっこう追熟が進んでいて柔らかい。この際なのでもう「キウイの果肉はあんまり煮ない」という方針でやってみる。
とりあえず刻むのはざっくりにして、マッシャーで潰してみた。
この時点でジューシーなので、ここに砂糖は加えず、りんごペクチン液に砂糖を加えて煮詰める。
で、上のキウイを鍋に投入して、短時間煮立てるだけで火を止める。
こんな感じ。色はまあまあ、かな。
しかしなんか、青くさい?キウイの香りの、悪い部分だけを上手く残しましたみたいなことになってるな?これは失敗ですね…。
ちなみに後日、成城石井で買ってきたキウイジャムがやっぱり同じ匂いがして、あーこれは自分が苦手なだけでこれはこれでアリなのかもしれないなあとなりました。
というわけで、次回キウイとか緑ものやるときは卵焼きフライパン作戦で行ってみたいと思います。
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