どうなる?中国メンズコスメ市場の今とこれから
みなさん新年明けましておめでとうございます!unbotマガジン編集部です。
「男性もメイクするのは自然なこと」
「美容に男性も女性も関係ない」
そんなムードの高まりをここ数年日本国内でも感じるようになりました。
世のハイブランドがこぞってメンズメイクアイテムを発売し、雑誌やWEBメディアでもメンズメイク特集が組まれるほど男性の美容コンテンツが世界的に普及されている令和の時代、中国市場ではどのような変化が起きているのでしょうか?
今回は日本国内同様、拡大傾向にある中国のメンズコスメ市場の実態に迫ります!これから中国のメンズコスメ市場への進出を検討している企業の方はぜひ参考にしてください。
01:中国メンズコスメ市場拡大の背景
中国最大のショッピングサイト「Tmall」での男性化粧品の購入は2018年から2019年にかけて約2倍に伸長し、多くの人がメンズ用に開発された高級ブランドの商品を購入しています。
中国市場におけるメンズコスメ拡大の背景の最も大きな要因は
①より商品をネットで簡単に手に取りやすくなったこと;
②影響力の強いKOLの存在。
なかでも、李佳琦(リー・ジャーチー)は中国のメンズメイクの火付け役とも言えます。
15分で15,000本の口紅を販売する"口紅王子" の異名を持つ彼。2018年のTaobaoのW11セールでアリババグループ創業者であるジャック・マーとライブ配信で口紅の販売対決を行い、見事に勝利を納めたエピソードは有名です。
彼のような人気KOLの存在も追い風となり、実は中国ではスキンケアなど基礎的な身だしなみ製品よりも、カラーメイク製品が大きく成長を遂げています。
出典:TOP 10 HIGH-END LIPSTICKS YOU GOTTA HAVE IN THE FIRST HALF OF 2019 ACCORDING TO CHINA “KING OF LIPSTICKS” LI JIA QI
https://www.nuyou.com.sg/gallery/beauty/high-end-lipsticks-must-have-first-half-2019-china-king-lipsticks-li-jia-qi/
上記は2019年の中国男性コスメレポート結果ですが、BBクリームやリップ、アイブロウといったメイクアイテムが軒並み200%を超える前年比成長を遂げています。*昨対200%を超えるブランドが多く
現時点では発色の良いカラーアイテムよりは、BBクリームやコンシーラーといった自然に表情や血色を彩るナチュラルメイクアイテムの方が広く受容されている印象ですが、どの男性メイクカテゴリも今後市場が伸び続ける傾向はしばらく続くことが予測されます。
02:「新男色経済」と「彼経済」
昨今、中国の経済を象徴するキーワードとして「新男色経済」と「彼経済」が一部のメディアに取り上げられています。
「新男色経済」とは、男性芸能人やインフルエンサーに女性が心理的影響を受けてプロダクトを購買するトレンドのことを指します。日本でも見られる現象ですが、従来女性が起用されることが多かったコスメの象徴キャラクターとして若い男性アイドルが多く見られるようになりました。
この「新男色経済」は韓国発の若手アイドルのオーディション番組の中国版『青春有你』がヒットしたことがきっかけに加速し、女性が理想とする男性像を構成する一要素として「美意識の高さ」が根付いていく要因となりました。
一方、男性がスキンケアやファッションにおいて同年代の女性と同等レベルに消費し、他の分野でも強い消費意欲を示す経済トレンドを専門家は「彼経済」と呼んでいます。
年齢層別で言いますと、中国では約60%のメンズコスメ消費者が18-25歳、約20%の消費者が26-30歳と、若い世代の男性は自分の身だしなみなどに心がけている傾向があります。
ただし、「彼経済」は実際消費するか否かを決める際、身近な女性の影響が大きいです。
2019年の調査によれば男性用クリームの55%、男性用シートマスクの70%を女性が購入しているというデータもあり、「彼氏/息子を綺麗にしたい」という彼らの母親・彼女・女性友達の存在によって大きく消費が動いていることがわかります。(出典:Air Paris「2019男性コスメレポート」https://www.shangyexinzhi.com/article/300555.htm)
こういった「彼経済」トレンドを受けて多くの化粧品ブランドが女性から男性への「プレゼント需要」を喚起するプロモーションを実施しています。
中国の大型ECモールにおいて「彼氏へ」や「男性へのプレゼントとして」などのコピーが男性向けコスメと共に並ぶことは、少なくありません。
出典:Taobao
男性向けコスメのプロモーションでありながら、タッチポイントとしては女性視点でマーケティングを企画しているブランドも多いです。
男性のライフスタイルやアイデンティティの変化によって、自分自身の価値を再定義するようになり、またその周囲にいる女性も男性の身だしなみに対する関心が高まっている今、中国において「彼経済」は新たな消費ニーズが生まれるチャンスとなっています。
03:メンズを起用したコスメPR実例紹介
上記のような世の中のトレンドを受けて、実際に中国でのコスメPRにはどのようなカルチャーが生まれているのかご紹介させていただきます。
中国で人気のスキンケアブランド「三草两木(SASELOMO)」は男性アイドルグループ「UNINE」をブランドイメージキャラクターに起用しました。
「UNINE」は2019年に放送された中国の人気オーディション番組『青春有你』からデビューした9人組の男性アイドルで、気K-POPグループが一堂に会する『Mnet Asian Music Awards(MAMA)』に出席するなど中国内外から人気があるグループです。
出典:「三草两木」の公式Weiboアカウントhttps://weibo.com/saselomo?is_hot=1
カラーメイク分野では、東方神起やEXOなどが所属するSMエンターテインメントから中華圏を舞台に活躍することを目的に作られた7人組ボーイズグループ「威神V/WayV(ウェイシンブイ) 」がハイブランド「CIGA LONG」の口紅のイメージキャラクターとして起用されたことも話題になりました。
「CIGA LONG」は、BL小説「魔道祖師」を原作とする人気中国ドラマ「陳情令」とコラボリップも販売しており、日本のファンの間でもTwitter上で話題になっていました。
出典:https://rin-rin-tokyo.com/items/5ea80dd6cee9ea7e7f958653
メンズコスメPRも女性向けと同じく、資金力のあるブランドは人気や話題性が高いタレントを起用してPRを最大化を図ります。
一方で、女性向けとは異なるPR手法として目新しい分野へのアプローチが散見されるようになりました。そのひとつが「eスポーツ」分野へのアプローチです。
エスティローダー傘下の「ラボシリーズ(LAB SERIES)」は、2019年に中国で有名なeスポーツチーム「iG電子競技倶楽部」のPCオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」部門チームとスポンサー契約の締結しました。広告に選手のイメージイラストを活用したり、SNSキャンペーンを展開するなど男性をターゲットにした独自のPRを展開しました。
ロレアル傘下の「ビオテルム(BIOTHERM)」も、”徹夜でゲームをしても同ブランドの商品を使用すれば、肌への負担が軽減される”という訴求ポイントを掲げ、ゲームの試合の様子をライブ配信するイベントをプロモーションとして開催しました。
このように既存の女性向けコスメPRでは考えられにくかった新たな領域へのアプローチ手法が、中国の男性化粧品市場の活況と共に増えてきています。
04:今後のメンズコスメトレンド
PR事例からも分かるように男性ユーザーの消費行動はもちろん女性とは異なるのですが、とはいえ市場は今後女性化粧品と同じ道をたどると言われています。
例えば新興ブランドの台頭も、女性の化粧品市場トレンドを追いかける形でメンズコスメ業界でも盛り上がりを見せています。
既に中国ではメンズ向けのアイテムで自分のニーズに合うものがなければ、女性向けブランドを購入する男性が多く存在しており、女性ユーザーをメインに想定していたキャンペーンに、想像以上に男性が数多く参加し商品を購入しているというシーンも少なくありません。男性KOLが今後ますます活躍を見せれば、中国で化粧品の男女の垣根がなくなっていく日はそう遠くはないと思われます。
そこで、今後中国に進出を検討している化粧品メーカーが意識すべきポイントのひとつが「プロダクトやPRのジェンダーレス化」です。
プロダクトの特徴やブランドの位置付けにおいて性差を強調したり男女を区別することなく、男女共のニーズに応える開発設計が中国市場を勝ち抜く鍵になります。
現状の男性化粧品ラインはインサイト発掘・プロダクトの先進性共にまだ発展途上段階にあるので、変化し続ける男性のライフスタイルや消費意欲を満たすブランドの存在が待望されています。
今年も様々な中国のトレンドやECについての記事を発信していきますので、宜しくお願い致します。
また、弊社株式会社unbotでは日本企業様の中国進出支援のためにマーケットリサーチ、販路開拓、EC店舗の運営代行、SNSプロモーション等、一気通貫でのサービスラインナップを揃えさせて頂いており、気になる方は是非下記リンクからお問い合わせくださいませ。弊社の営業担当からご連絡させていただきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?