中国の小型家電ブーム、アフターコロナはどうなる?
日頃よりご愛読いただきありがとうございます。unbotマガジン編集部です。
3/13より、日本ではマスクの着用が自己判断になり、コロナウイルスの流行も日本で少しずつ落ち着き始めたように見えます。
中国の状況というと、上海ではマスク着用の人はちらほらいますが、地方ではほとんどの人がノーマスクで過ごしているようです。中国国内の移動も活発になり、アフターコロナ経済にいよいよ突入していくように感じました。2020年のコロナパンデミックを経て、自粛ライフを豊かにしていく動きが多くありました。その中の一つが、ステイホームQOLを高めることではないでしょうか。
今回のPickUP News!では、QOL爆上がりアイテムである中国の家電商品についてお話したいと思います。
それではどうぞ!
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人気急増の小型家電
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コロナウイルスが流行してから約3年、この期間中に注目してみると、「ノンフライヤー」「スチームクリーナー」など、これまで注目されていなかった小型家電が、現在では人々の生活で当たり前のようになってきている。
■コロナ自粛を追い風に、珍しいアイテムが脚光を浴びている
専門家の分析によると、小型家電市場のブームは長年にわたる消費水準の上昇に関連しているだけでなく、コロナ禍の度重なるロックダウンによる自宅時間の増加も、小型家電普及のきっかけとなっている。小型家電の登場により、消費者はより良い、より洗練された生活を目指すようになった。
消費者の消費意欲から見ると、小型家電市場の細分化が進み、依然として多くのカテゴリが強いポテンシャルを持っている。2022年の618販売実績によると、ノンフライヤーとコーヒーメーカーカテゴリの伸び率は前年比それぞれ100.01%、98.8%にも上った。今後、潜在力の高い小型家電カテゴリが市場の成長を促進していくと考えられる。
小型家電市場には、マーケティングの各フェーズに適用できるプロモーション方法がある。
下記いくつか具体例を通して、そのプロモーション方法を見ていこう。
■ビジネス機会の開拓――新商品の露出を高め、注目を集める商品に
小型家電市場のカテゴリ世代交代は速く、新商品プロモーションは多くのブランドが直面する重要なマーケティングシーンである。新商品は、いかに早く高い露出を達成し、消費者の関心を集めるかが最重要課題となっている。米国ナンバーワンの技術力を誇る小型架電メーカーであるSHARK(シャーク)が実施したプロモーションにより、販売実績が伸び続けている。
SHARKは今年、スチームモップの新商品を発売した。プロモーションでは、人気タレントの楊迪とコラボレーションし、中毒性の高いCMソング『洗鲨鲨』で「簡単に床クリーニング」というセールスポイントを効果的に発信。同時にSNSへ展開し、「抖音ステッカー」(Douyinにおける広告出稿の一種)によるキャペーンを実施。キャンペーンには、消費者やインフルエンサー等が参加し、消費者への浸透を実現させた。キャンペーン期間中の動画総再生回数は3,300万回を超え、ユーザー自ら投稿した動画は1万6,000本にも上った。
■購買意欲喚起――生活シーンと絡め、購買意欲を深く植え付ける
小型家電商品は具体的な生活と密接に関連付けられており、消費者の小型家電に対する認識を具体的なシーンと結びつける必要がある。そのため、メーカー側は各生活シーンの中における商品の機能や役割に注力し、セールスポイントとしてアピールしている。
ロボット掃除機ブランド「雲鯨J2」の新品発売プロモーションから見て分かるように、メーカー側は意図的に使用シーンの露出を強調している。
通常のWeibo、Douyin、REDなどのSNSプラットフォームで露出度を維持し続けているほか、新商品リリースのライブコマースにおいても使用シーンを強調しながら配信しており、「生活に寄り添ったライブコマース」を実現した。
また、従来の商品を売り込むことを目的としたプロモーション方法から、「QOL向上」というテーマを持たせた。若年消費者層が関心を持つライフスタイルという視点から良質なコンテンツを作成した結果、ライバーと消費者が自由に交流できるとしてのライブコマースが生まれた。No.5
■ターゲットの拡大――「夢のコラボ」を通して幅広くリーチ
認知を深めるだけではなく、ターゲットの範囲拡大も同様に、様々なコミュニティに認知を拡大することにより、小型家電はより多くの潜在消費者にリーチすることができる。よく見る手法としては、異業界ブランド間のコラボ、著名人・IPのライセンス授与などがあり、中でも中国の豆乳機メーカー「九陽」とティードリンクチェーン「喜茶(HEYTEA)」のコラボは、一般向け知名度向上に繋がった成功事例である。
今回の九陽・喜茶のコラボは、コロナ自粛がきっかけで実現したプロモーションである。両ブランドとも、「好きな時にタピオカをのみたい」という消費者ニーズと、コロナ自粛で外出しにくいというニーズを推察し、「家で喜茶をつくる」というコンセプトのコラボを実施し、両方のターゲットに深くアプローチした。
プロモーション効果から見ると、今回の消費者への浸透に向けた試みは成功したといえる。Weiboでの討論数は21万件、抖音トピック数は2,600万件、プロモーション経由の購買数は94万となった。
■長期的なビジネス形成――ユーザーロイヤルティの育成
ブランドの長期的な発展に向けて、ユーザーの拡張、ユーザーとの関係強化を図る必要がある。そのため、多数のブランドは公式アカウントの運営に力を入れている。例えば、男性用シェーバーブランドである「飛科(Flyco)」の新商品は、「準備期」、「爆発期」というプロモーション段階を経てから、公式アカウント運営に注力し、安定した運用を実現するようになった。
全方位的なトラフィック誘導を目的とする準備期、CVを集中的に図る爆発期とは異なり、安定期のブランド公式アカウントの運営方針は私域トラフィック(自社メディアやWeChatの企業アカウント、WeChatグループといった独自の場所やコミュニティからのユーザー流入)の蓄積を目指している。また専門性のあるCSサービスを通して、未購入の消費者に対し質疑応答することにより、CVを促進することを目的としている。
新商品発売から1ヶ月で飛科のGMVは1,600万元を突破した。飛科は公式に詳細なデータを公表していないが、ブランド担当者の発言から見ると、ブランド安定化運営により、最終的にユーザー資源の蓄積、消費者のライフサイクルを延ばすという核心的な目的を達成した。
■まとめ:市場は次の「人気商品」を待っている
2020年は「小型家電元年」と言われているが、ブームが過ぎ、小型家電市場がその勢いを維持するのは難しいとの声もある。しかし、関連データから見ると、中国では小型家電商品の消費の可能性にまだ成長の余地がある。
中国の1世帯あたりの小型家電の台数や小型家電の1人あたりの電消費額はまだ首位に立っていない。各カテゴリの都市部進出状況から見ても、ほぼすべてのカテゴリで隣国の日本に後れを取っている状態である。
昨今の中国では、キャンプ・アウトドア、ペット経済などの新たな消費形態の台頭により、消費者の生活は常にアップデートしている。こういった変化の中で、小型家電において、新たな人気商品が浮上してくる機会もあるだろうと推測される。
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