新しい「中国化粧品監督管理条例」で中国コスメ市場はどう変わる?
みなさんこんにちは!unbotマガジン編集部です。
2021年1月1日から中国で施行される「新版化粧品監督管理条例」はご存知ですか?
1990年に施行された「化粧品衛生監督条例」(以下、旧条例)がアップデートされ、新たな内容が追加されたものが2021年1月1日より施行されることになりました。
今回の記事では、この「新版化粧品監督管理条例」の施行により中国の化粧品業界にどのような変化が起こるのかを紐解いていきます!
01:「新版化粧品監督管理条例」とは?
新条例は、今年6月29日に李克強総理名で中国国務院より公告されました。
この条例には、原材料と製品、生産と運用、監督と管理、法的責任、補足規定が含まれています。
改定の背景について、6月29日に開催された記者会見にて、政府の関係者が「旧条例は化粧品産業の発展や品質の安全確保において積極的な働きをしてきたが、産業の発展に伴い、化粧品の監督管理の実需に対応できなくなった」と述べています。
つまり、多様化する中国の化粧品市場において、より化粧品管理基準を明確化し、より中国国内で流通する製品の安全性・信頼性を担保していくのが狙いです。
今回の改定により、商品の効果効能のPRを行う時にNGワードが増えたり、一部のカテゴリーで新商品の発売前の審査周期が伸びたりといった変更点がいくつかあるので、今後中国の化粧品市場に関わるみなさんはぜひ全内容を確認してください。
この記事では特に気になるポイントについて、チェックしていきます!
02: 新条例における大きな変更点
今回の新条例により変わったことの大きなポイントは次の4点です。
(1)「放管服」(行政簡素化と権限委譲、監督管理の強化、サービスの最適化)改革の推進
(2)品質に対する企業の安全責任の明確化
(3)化粧品の管理をリスクに応じて分類
(4)違法行為に対する処罰の厳格化
上記のうち、化粧品販売に携わる企業として特に注目すべき点は、(2)の品質に対する企業の安全責任の明確化です。
化粧品のオンライン販売の責任を明確にすることに加え、ネット上で化粧品販売をしている経営者は実名での登録を要求されることになりました。また、自社が販売している化粧品情報の全てを、正確に即時的にに開示をすることが求められます。
化粧品の機能訴求についても注意が必要です。
医療効果の暗示や、誇大広告訴求など虚偽または誤解を招く表現、社会秩序や風俗に反する内容などを、販売化粧品のパッケージやラベルに記載することは禁止とされます。
もし、上記に反する行為があった場合には、法令違反としての罰則が与えられることに・・・!
内容によっては商品価値の30倍もの罰金が課せられたり、化粧品の製造や営業活動を5年以上禁じられる可能性があるので、注意が必要です。
今一度自社の商品が、無断で製造活動を行っていないか、未登録の特殊化粧品や禁止物質・違法な添加物等の使用はないか、厳しく調査と管理を徹底していただくと安心です。
03: 新条例施行による注目ポイント
今回の条例改定で、特に注目されているのが「歯磨き粉」の取り扱いです。
歯磨き粉製品は、今後一般化粧品として管理されるため、NMPA申請が必須となりました。
もし貴社が歯磨き粉製品を扱っていて、虫歯の予防や歯茎問題の緩和などの効能効果を訴求する際には、有効性の評価が求められます。国家規格や業界基準を改めてご確認ください。
また、「発毛、脱毛、美乳、身体美容、脱臭」の領域の化粧品も注意が必要です。
新条例の施行前に登録された上記のカテゴリ商品は5年間の移行期間が設けられるため、移行期間中は製造や輸入、販売が継続される可能性があり、移行期間が終了した後は化粧品としての製造、輸入もしくは販売が禁止されるのです。ただし、移行期間5年間の間に再分類された場合、分類後の規制に従う形になります。
上記のカテゴリの商品販売を検討されている方は、新条例の内容を必ずご確認の上、準備をされることをおすすめします。
また、化粧品業界全般に影響を与えるポイントとして注目いただきたいのは第4条に記載されている
”化粧品を「特殊化粧品」(注1)と「一般化粧品」(注2)に分類し、前者を登録制、後者を届け出制で管理する”
という部分です。
さらに、原料についても
”「新原料」と「すでに使用された原料」に分類し、うち、新原料については、リスクの高いものを登録制、それ以外は届け出制で管理する。”
と言及されています。
これまでは、新しい原料を化粧品に使用した場合、登録に長い申請期間が必要でした。そのため開発〜販売までの全行程で約3-5年の時間を要し、中国での新商品開発において新原料を採用する一つのハードルとなっていました。
今回の改定により届け出制が導入されたことで、より期間を短縮して新商品の開発に取り組めることになるのではないかと期待が高まっています。
ただし、抜け毛防止、シミ対策・美白、日焼け止め、ニキビ対策等カテゴリは必ず人体で実験を行う必要があるため、恐らく審査周期が長くなると思われます。
04: 今後の中国化粧品市場について
今回の新版化粧品監督管理条例の施行によって予想されるのは、確認事項が膨大になり商品発売までの過程がより複雑化することです。
プロモーションにおける訴求も、今まで以上に慎重に注意を払う必要が出てきました。
一方で消費者にとっては、施行後に発売される商品は安全性が高いと認識されるので、企業はより安心して使用ができる質の良いブランドとしての認知を広めるチャンスでもあると言えます。
自社ブランドの信頼性向上のため、新条例を機にリブランディングをはかるなど様々な表現の工夫を凝らす中国の国内企業も増えてくるのではないでしょうか。
そういった動きの中で、今後中国の化粧品市場における商品の品質と安全性のラインが引き上がり、ずさんな管理体制の会社は淘汰されていきます。
これまで信頼・安全性で有利な立場にあった日本ブランドは、市場競争が最適化されゆく中国市場において戦い方を変えていく必要が出てくるかもしれません。
条例改定に対する、中国国内企業の向き合い方には今後も注目する必要がありそうです。
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