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【超能力捜査】復讐~忘れられた殺人~大どんでん返しの結末


2017年12月8日、ウクライナのクロピヴニツキー。12歳のカトルシア・ドブロディは学校へ行くのに家を出てから2度と戻ってくることはなかった。

母親のオレナ・ドブロディが当日の朝のことを語る。

「私が三つ編みしてあげようか?と聞くと娘は、『大丈夫、ポニーテールのままで行く。』と言って家を出ました。娘がいなくなるなんて耐えられません。」

彼女はバス通学で、自宅からバス停までは400mほど。下車するバス停は学校のすぐ隣にある。彼女は夕方になるといつも、これから帰りのバスに乗ると両親に電話していたが、その日電話はなかった。

父親のアンドリー・ブリッチは言う。

「娘に電話をしましたが応答がありません。今までそんなことはないので心配になり、オレナが迎えに行くと言いました。でも帰りのバスには乗っていなかった。」

オレナはカトルシアの英語塾の先生に連絡を取るが、その日彼女は来ていないと言われる。

アンドリーが言う。

「パニックになりました。彼女のクラスメート、体操、バレーボール、英語塾の知り合い、近所の人全員から話を聞き始めました。車で探し回りました。」

警察は3日間彼女の行方を探したが何も結果は得られない。両親は、超能力者のエレナ・クラロヴァとジャナ・シュラコヴァに協力を依頼する。

超能力者のジャナが言う。

「彼女が見えるわ。どこか暗い所に居る・・。」

同じく超能力者のエレナが言う。

「周りに木が生い茂っていて、少し風がある。 水・・。 川か池のようなものがある・・。」

波長を合わせるため、ジャナが地図を要求する。

「彼女のエネルギーをこのエリアで感じるわ。この辺にいる。」

そこは市内の森林エリアで、カトルシアの自宅から7kmほど。

その翌日、彼女の遺体が貯水池近くで発見される。

アンドリーはカトルシアの継父だが、実の子のように愛していた。自分が見た光景を忘れられないと彼は言う。

「彼女は鋭利なもので顔や頭を84回も刺されていました。さらに、ハサミに似た未確認の凶器で、2 本の偶数の線を残しています。私には意味が分かりません。 何のために? なぜ・・?」

祖父も「あの子は天使のような子でした。私の人生の全てでした・・。」と話す。

超能力者のエレナとジャナは、両親の疑問に答えるために現地へ駆けつけた。

しかしエレナの予見が皆を驚かせる。

「死んだ少女が涙をぬぐう時、犯人が分かる。」

この言葉に隠された恐るべき真実を、この時点では誰も想像できなかった。

カトルシアの家族・・継父、祖父、叔母は超能力者と自宅の前で会う。来てくれたことにお礼を言う家族。超能力者達が母親はどこかと聞くと、彼女は病院にいると言う。神経が衰弱していると言うのだ。

カトルシアの両親は事情聴取に呼ばれていた。警察は両親を疑っていたのだ。その後、オレナは入院することになったという。

オレナが言う。

「警察は私がやったと疑っていました。何が起こっているのか、彼らが私に何を言わせたいのか全く分かりませんでした。」

アンドリーが言う。

「捜査官は私に怒鳴っていました。『お前がやってないなら誰がやったんだ?お前の妻だ』と。私達は嘘発見器にかけられました。私は3時間そこにいました。オレナは5時間拘束されていました。その後入院する羽目になりました。」

子供の殺害事件を捜査する場合、最初の容疑者は両親だ。 しかし嘘発見器の結果は両親の罪を裏付けるものではなかった。

家族は夜も眠れない日々を過ごしていた。

ジャナが言う。

「奇妙な光景が見えます。男が通りから家の中を見てる・・。監視しています。顔に何かある・・・頬に傷のある男。」

そこでカードを見ていたエレナが言った。

「カードを見て、私はただ呆然としてしまいました。少女は犯人を知っていました。よく見ていた顔で怖いとは思っていなかった・・。」

アンドリーは、

「心当たりがありません。頬に傷のある男を家族の誰も知りません。」

と言う。

そこでジャナが言った。

「突然イメージが湧きました。カトルシアは犯人と車に乗ってるわ。」

しかし叔母は、「彼女は知らない人の車に乗ったりしません。」と言う。

そこでエレナが遺体発見現場へ案内してくれるように依頼する。

現場に着くと、ジャナにはカトルシアが見えて、彼女がソニアにはリボンが必要と伝えていると言う。ソニアは4年前にオレナとアンドリーの間に生まれたカトルシアの妹だった。カトルシアはソニアをこよなく愛していた。

何のリボンのことか分からないジャナにアンドリーが、カトルシアは体操を習っていて、棒にリボンがついていたのだと説明。姉がいなくなった後ソニアはそのリボンと踊っているのだと言う。生前二人で踊っていたように。

カトルシアはそのリボンを妹にあげてほしいと言う。

そこで急にカトルシアの霊が姿を消したかと思うと、頬に傷のある男の声がジャナに聞こえる。

「俺を怒らせるなと言っただろ。何てことだ。 どういう意味だ? 」

ジャナが言う。

「頬に傷のある男の声でした。少女の遺体に向かって言っています。血と金属の匂い・・。恐ろしい・・。凶器は欠けたナイフ・・見すぼらしいハンドル」

エレナが言う。

「カトルシアはナイフで刺されてすでに死亡した後にハサミで刺されたと聞きました。ちょっと待って。殺害の瞬間に波長を合わせてこのイメージを見ました。十字架が描かれた屋根・・。」

家族がカトルシアの家の屋根には十字架が描かれていると言う。

エレナが「狂気はその家のものです。当日の朝誰か来ましたか?」と聞くと、アンドリーは分からないと言う。

その朝、母親は下の娘を幼稚園に、夫を職場へ送っていった。自らも麻酔科医として働く職場である。その後、自宅へ戻りカトルシアが学校へ行く準備を手伝った。

もしかしたらその朝誰かが訪問して、家族は知らなかったのかもしれない。ジャナが今すぐに家を調べる必要があると言う。

自宅へ着くとジャナが言う。

「再び男の声が聞こえます。家の中で喧嘩してる。『なんで俺の言うことが聞けないのか!俺の言う通りにしろ!』と怒鳴ってる・・。」

するとジャナが座り込む。

「空気がなくて呼吸できない。血の匂いよ、分かる?壁も床も血まみれ。家じゃなくて地獄よ・・。子供が死んだ地獄・・。」

エレナが言う。

「犯人の頭が見えます。一発殴ってはまた殴る・・。ここで全てが起こったのです。誰かが後始末をした。血痕が残っています。」

ジャナが言う。

「傷のある男がここに立っています。その隣の床にはナイフがある。男が叫んでる。『俺を追い出そうとしてるのか?そんな訳にはいかない。解ったか!』と。

エレナがジャナに、男は少女に対して怒鳴ってるのよね?と言うと、ジャナは「彼女は既に亡くなってる。男は彼女の母親に怒鳴ってる。母親はここにいた・・。」と言う。

ジャナが言う。

「彼女は怯えています。男のことが怖いのです。」

家族は周囲にはその特徴に当てはまる人物はいないと言う。

そこでエレナが、

「性的暴行がありました。犯人はその男。・・あなたの妻。誰が彼女に暴行をしたのですか?過去のカードにそれが出ています。」

とアンドリーに聞くと、彼は話し始める。

「妻が子供の頃に性的暴行を受けたという話がありました。」

アンドリーによると、彼女が12歳の時、隣人から性的暴行を受けた。

「オレナからそのことを告白されました。」

オレナの母親はその1年前に亡くなっていて、父親が仕事で留守の間、祖父が彼女を預かっていた時にそれは起こった。オレナはそのことを誰にも言えないでいた。

エレナが言う。

「それは彼女にとってひどくトラウマになっていました。ここ何年もの間ずっと彼女は復讐を考えていた」

アンドリーが言う。

「彼女は当時男に復讐をしたかったのですが、男を見つけることができませんでした。」

そこでジャナが言う。

「待って。彼女は窓の外に男を見た。」

何年も経った後に、彼女は男を見たというのか。そしてその男がカトルシアを殺したというのか。

エレナが言う。

「殺された娘の遺体を泣きながら眺めている女性が見えました。」

そしてジャナは男の声を聞いている。男はオレナに外へ出て車に乗るように命じていた。

ジャナが言う。

「オレナが運転しているのが見えます。バックミラーに男の姿が見えます。男は後部座席にいる。彼女は涙ぐんだ目で道を見つめました。殺された娘の遺体が横たわっている助手席の方向を向くことすら怖かった。男は彼女に、娘の遺体を運んで捨てることを強要した・・。」

真実を知っているのはオレナだけ・・。

一行は入院中のオレナの元に会いに行く必要性を感じるが、すでに夜で面会時間を過ぎていた。

翌朝、超能力者二人とカトルシアの家族は病院の前で落ち合う。面会人数が限られているため、エレナがオレナの父親と一緒に会いに行くことにする。

オレナに会ったエレナは

「これを受け取ってください」

と祈りの石を与えたので、過去に波長を合わせることができるようになる。 

エレナが言う。

「カトルシアが殺害された時、あなたがその場所にいたのを感じました。誰がやったのか教えてもらえますか?」

オレナは「覚えていません」と言う。

そこでエレナが何を覚えているか聞くと、その日のことはぼんやり覚えていると言う。

その日の午後、下の娘を幼稚園まで迎えに行き、夫の姉を訪ねた。

「夫の姉の所に車で行ったのを覚えています。娘を幼稚園に迎えに行ったことも。姉の所にいるのも覚えているけど、幼稚園から姉の家までどうやって行ったかは覚えていません。」

精神科医によると、深刻なストレスを受けると、心が部分的に記憶をブロックし、記憶の一部を消去することがあると言う。

当日の朝のことをオレナが話す。

「朝起きるとカトルシアはまだ寝ていました。残り物を温めて、娘に食べるか聞きました。それから私が『さぁ着替えて』と言って、娘は家を出たのです。」

エレナが言う。

「オレナが言っていることと全く違うことが見えていました。でも一番驚いたのは、彼女は嘘をついていないと感じたことです。」

その日誰か訪れたか聞かれたオレナは、近所の人が立ち寄ったと言う。

そこで危険を感じたか、彼の顔に傷があったかをエレナが聞くと、オレナは首を振った後に、「娘にもうすぐ会えるでしょうか?」と言う。

エレナは語る。

「悪夢でした。この女性は娘がいなくなったことをまだ理解できていませんでした。でも私はカトルシアが夢の中で母親のところに来ているように感じました。母親を抱きしめて涙を拭っている・・。」

エレナは、「彼女は夢の中に出てきますよ」と言う。

後日オレナが見た夢を語る。

「夢を見ました。娘二人と一緒に公園を歩いていました。カトルシアが私に、『泣かないで。私は大丈夫だから。』と言います。」

「当日家で何があったか思い出してみてください」とエレナに言われたオレナが答える。

「戦いのような気分だった。何かのために戦っていたような・・。そして私は立ち止まった。覚えているのは声だけです。」

娘を殺した犯人と戦っていたのだろうか。

エレナが、頭の中で声が聞こえますか?と聞くと、オレナは「はい、聞こえます。」と言う。

「こっちに来て、ダーリン。辛いわよね。」と言ってエレナはオレナを抱きしめた。

面会の間中、オレナの父は泣きそうな顔で、二人の会話を見つめていた。

エレナは病院を去る。その途中で彼女は同じ言葉を繰り返した。

「少女は涙を拭う、少女は涙を拭う・・。」

エレナは言う。

「ある考えがまとまりました。捜査開始時にカードが告げていたのは、少女の母親でした。死んだ少女が涙をぬぐう時、犯人が分かる・・。夢の中でカトルシアは母親の涙を拭いていました。彼女が殺害された時部屋には二人しかいなかった。」

そこでジャナが言う。

「二人ってどういう意味?そこには頬に傷のある男もいたのよ。私には見えた。」

そこでエレナがジャナに

「これを受け取って。オレナが握っていたものよ。」

と言って、祈りの石を渡す。

ジャナが言う。

「信じられませんでした。オレナが手にナイフを持っているのが見えました。そしてその隣に立っていた傷のある男が空気に溶け始めたんです。そんなことあり得ない。真実であるはずがない。男を見たし、声も聞こえたし、匂いさえ感じました。」

娘を心から愛した母親が娘の命を奪うことができるのだろうか。

エレナが言う。

「オレナにとって男は存在したのです。男は彼女の頭の中に住んでいた。長年ずっと彼女は男に対して酷い悲しみと憤りを抱いていて、そのことを誰にも話していませんでした。彼女は復讐したかったのです。彼女はいつもそのことを考えていました。そして男の声が頭の中で響き始めた・・。この可哀想な女性は、自分が別の現実にいることに気づき、その後は何も覚えていません。」

捜査の後、彼女の精神状態を検査したところ、精神疾患が認められる。地元の腫瘍病院で麻酔科医として働いていたオレナには精神疾患の病歴があり、時折精神科の治療を受けていたことも明らかになった。

エレナが言う。

「頭の中の声が彼女の人生を支配し始めたのです。オレナはその声を聞くだけでなく、常に彼女をストーカーしている幻影を見るようになった・・。彼女が殴っているのは娘じゃない。彼女は自分に暴行を加えた男を殴っています。」

精神科医によると、幻覚などの精神疾患では、愛する人を見知らぬ人と間違えたり、見知らぬ人を愛する人と間違えたりすることがあると言う。

エレナが言う。

「私の見解では、カトルシアの悲惨な殺人の理由は、子供の頃に性的暴行の被害となった母親の精神的トラウマにあります。」

アンドリーが言う。

「聞くだけで辛いです。私達は何かを見落としていて、いくつかの重要な点を逃していたようです。」

警察は超能力者の見解を捜査した後、ガソリンスタンドのカメラからの映像を発見した。映像には、オレナの車が森林地帯に向かって走行する様子が映っていた。娘の遺体が発見された場所へ向かって・・。

専門家の調査結果によると、その時までに少女は既に亡くなっていた。その後警察は車内とオレナのローブから血痕を発見した。赤外線ランプで家中を捜索したところ、壁、家具、床に大量の血痕があることが判明。

オレナは知的障害があると認定され、精神病院で強制治療を受けている。

「私達は絶対にオレナを諦めません。ありがとうございました。」

と言って、家族はエレナとジャナに感謝の気持ちを表した。

母親に殺された娘、いまだにそれを理解できない母親、このような悲劇を引き起こした彼女の変化に気づかなかった家族。彼らはこれからもそれとともに生きていかなくてはいけない。

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