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魅力解剖:広瀬香美『歌ってみた歌われてみた』Vol.1(歌ってみた 編)

2020年、日本社会の閉塞感を突き破るかの如く、YouTuber広瀬香美として、世の中を席巻し、お茶の間に笑い!感動!衝撃!を与えた広瀬香美さん。彼女の力強く明るい歌声に、アクロバティックなピアノ演奏に、癒され、元気づけられ、明日への希望をもらった人も多いはず。

そんな2020年における広瀬香美さんの音楽活動をぎゅっとまとめてCDとした作品が2021年1月27日リリースの『歌ってみた 歌われてみた』です。

このアルバムには、広瀬香美Official YouTube channelでおなじみの他のアーティストの楽曲を弾き語りカバーした「歌ってみた」から5曲、ほかのアーティストを迎え広瀬さんの代表曲を新しいアレンジでコラボした「歌われてみた」から5曲、そしてYouTubeの広瀬香美Backyard channelやテレビでの企画から誕生した即興ソング7曲の計17曲が収録されています。

なんと、なんと、広瀬さん、アルバム発売日にはYouTubeで生配信を行ない、アルバム収録曲について、演奏を交えながら説明してくれていますので、まだ見ていない方は要チェックです。

ここでは収録曲の冒頭から5曲、「歌ってみた」シリーズの楽曲について紹介していきたいと思います。

01.WOW WAR TONIGHT 

アルバムの最初を飾るのは、小室哲哉さんがダウンタウンの浜田雅功さんに書き下ろしたWOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメントです。

広瀬さんの「歌ってみた」シリーズの中でも、この曲はPretenderと並んで、ライブやテレビで披露される機会が多い楽曲の一つです。Official髭男dismが流行り真っ最中である一方で、WOW WAR TONIGHTはリリースされてから四半世紀以上経つ楽曲であるということを踏まえると、広瀬さんがこの曲の「歌ってみた」を相当推していることがわかります。

YouTubeでも、この曲の演奏後には『いい曲!いい曲!感動しちゃった!ぐっと来たなー。』と自身でもとても満足な様子。

2020年7月3日放送の「ダウンタウンなう」で披露した際には、圧巻のパフォーマンスにダウンタウンや坂上忍さんも大興奮の大絶賛。浜ちゃんに至っては、感動のあまり目頭が熱くなっていたような!そりゃぁ、そうでしょう。25年の時を超えて、自身の大ヒット曲が、同時代を駆け抜いて「冬の女王」から「歌ってみたの女王」に進化を遂げた広瀬香美さんによって、今のご時世により一層沁みる日本全体への応援歌として蘇ったのですから。

WOW WAR TONIGHTの演奏が、Youtubeおよびライブパフォーマンスで人気な理由には大きく二つあると思います。

一つ目は、掌でピアノを弾く“掌底奏法”や決め技の膝弾き、派手なグリッサンドの多用、といった「魅せる演奏」です。しっとり聴かせる歌唱からどんどん盛り上がり、最後「カモーン!」の(ほぼ)絶叫のあとは、ジャラジャララン・・・♪♪ドゥルルルルン・・・♪♪♪とグリッサンドの嵐で聴衆を煽る煽る(笑)。じんわり染み入る感動から激しく魂を揺さぶられているかと思いきや、めちゃビックリ!そして、笑う!そして自分も熱く歌いたくなる!と、いろんな感情が刺激されまくり。

ブルーノート東京で行われた「広瀬香美 SUMMER TOUR 2020 ~Singing with 鳥山雄司&武部聡志~」や、東京クリスマスマーケット広瀬香美スペシャルライブ2020 in 日比谷公園でも、この楽曲が披露されていますが、そんな大人な雰囲気の中でも、しっとり、じわじわ、しかし最後は気持ちの良い高揚感で力強く背中を押され、前向きな気分にしてもらえるのです。

二つ目は、サービス精神あふれる広瀬香美流アレンジ。松本さんの語りとして入っている浜田さんとのエピソードに「♪浜田と初めておうたのは、小学校♪~パーマ♪パーマ♪」とメロディを付け加えるなど、なんとも作りが細かい。脳内で二人のやりとりを想像して楽しめたりして、ダウンタウンファンの方にとっては嬉しいのではないでしょうか。

と、ここまで読んで、なかなか良さそうな楽曲だな、聴いてみようかな、と思われた方も多いんじゃないかと思います。それでもって、上にあるYoutube動画クリックして満足しちゃう方が多いんじゃないかと思います。

でも、違うの。CD聴いて!!!!

CDで聴くと、どの楽曲もYouTubeやライブで放つ魅力とは違う輝き、新鮮さを感じます。そして、このWOW WAR TONIGHTがその最たるもの。

それはおそらく「聴くことで感じる」ことと「視聴で楽しむ」ことの違いからくるのだと思いますが、そこを明確に意識して作られた作品だということが素人の私にもわかります。だからこそ、この曲を冒頭に持ってきたのかな、と想像したりするのですが、そのあたり、広瀬さんの狙いを聞いてみたいですね。

他の収録曲全般もそうですが、とにかくピアノの演奏が丁寧で素敵。ピアノの音色と広瀬さんの歌声が、驚くほどうまく絡み合い、溶け合い、聴いていて本当に心地いいのです。

最後に、小室哲哉さんファンからの小ネタエピソードを。演奏が終わった後の広瀬さんの大笑い、これってダウンタウンの笑い声を再現しているそうですよ!みなさん、ぜひとも要チェック!

02.白日

広瀬さんの『っさーら♪』の歌い方が面白いと話題になったKing Gnuの白日。東京の自宅で録った初のYouTube動画ということもあって初々しくも、 パワフルな香美節炸裂で、とにかく楽しそうに演奏する広瀬さんが話題になりました。

オリジナルが青年の苦悩をうまく表現しているならば、こちらは人生の酸いも甘いも嚙分けた先にある人間の力強さ、前向きさがあふれる印象で、見事に明るく前向きな広瀬香美風の演奏になっています。YouTubeのコメント欄にある『白日をまっさらに生まれ変わらせた女』は言い当て妙。

こちらの楽曲もYouTubeから更なる進化を遂げていますよ。ピアノの演奏アレンジがとっても華やかでゴージャスなのが印象的です。間奏部分の演奏もとっても素敵でかっこよく、とにかく聴きごたえがあります。

歌声も、力強さの中に爽やかさが感じられ、若干落ち着いた感じがピアノ演奏と合っていて、耳に心地よく、内なる感動を強く引き出しつつも、スカッとした印象を与えてくれます。

03.もしかしてだけど

どぶろっくの「もしかしてだけど」。これも広瀬香美流アレンジが効きまくった本家とは違ったかっこの良さ炸裂。歌声はもちろんのこと、ピアノの音色も、全体の作りもとにかく、色っぽい!艶っぽい!聴いてるこっちがぽわ~んと口空いちゃいます。

YouTube動画では指パッチンするところとか、表情や唇がめっちゃ色っぽくてドキドキしてしまうんですが(笑)、アルバムでは視覚がない分、聴覚で色っぽさを最大限引き出してくれています。

こちらの楽曲は、広瀬さん、ちょっと笑かそうと狙ったそうですが、そりゃ、面白いけど、でも、かっこよすぎて笑えねー!この曲を聴いたファンの感想。『広瀬さんって歌の女優』まさに!!!歌手って演者だな、って、CDを聴いて思わせるって、すごくないですか?

YouTubeとアルバムの違い。Youtubeでは「ある研究者の話では~広瀬香美好きな男はスケベ~~」って歌っていて、「広瀬さんがスケベな男を好き?」なのか「広瀬さんを好きな男はスケベ???」なのか曖昧でしたが(笑)、CDでは「広瀬香美を好きな男は~~」に変わっていて(笑)、後者だということがわかりました。ぜひ聴き比べてみてください!

04.奏 (かなで)

スキマスイッチの奏といえば、iPadぶっ壊れ事件が忘れられないほどで(笑)、YouTubeでは広瀬さん、ノリすぎて、途中からiPadを叩くリズムだけでアカペラ歌唱になっているのですが、アルバムでは、YouTubeでのアレンジの世界観を崩さず、しかも、きちんと丁寧なピアノ演奏も取り入れられていて、透明感のある歌声とマッチして、とても美しいきれいな仕上がりになっています。

とはいえ、アルバムの中にもiPadを叩いている音が再現されています。広瀬さんにとっては、ピアノのみならずiPadも打楽器です(笑)。

05.  Pretender

広瀬香美さんの「歌ってみた」動画の中で最も多い再生回数を誇り、これまで500万回以上も視聴されてきたのが、Official髭男dismのPretenderです。2020年を代表する一曲であるこの楽曲の広瀬香美流アレンジ、そりゃ、みんな聴きたいよね。っていうわけで、もちろんアルバムにも入っています。

こちらもピアノがとっても素敵です。男前な失恋ソングも広瀬さんのピアノアレンジと歌声ですごく爽やかな青春ソングといった感じに聞こえます。YouTubeの画面はハワイの空気感が出ていて明るい雰囲気になっていると言っていましたが、アルバムも透明感のあるとてもきれいな仕上がりになっています。どの曲もアルバムではより繊細なピアノアレンジが楽しめます。

この曲は、テレビで披露するときにはパフォーマンス強めでテンションMaxで楽しめる印象があるのですが(Mステ、すごかった~!)、アルバムでは終始安定感のある広瀬さんらしいPretenderを聴くことができます。テレビでのパフォ―マンスしか知らない方は、ずいぶん印象が変わるのではないかと思います。ぜひ聴いてみてください。

面白さという意味で話題になったYouTubeでは元気な音の印象が強いですが、このアルバムでは、ピアノという一つの楽器で奏でられているとは思えない、切ない音、色っぽい音、優しい音、勇気の湧く音、楽しくなる音…。いろんな音がそれこそ縦横無尽に、丁寧に、考え抜かれて散りばめられ、ひとつのアルバムとなっているように感じます。鳥肌が立ちます。身体が自然に動きます。身体中に沁み渡る歌声とピアノを、目を瞑ってずっと聴いていたくなります。

というわけで、みなさん、ぜひ一度、手に取って、聴いてみてください。広瀬さんの魅力満載の玉手箱です。

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