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ニンジャスレイヤーTRPG2版シナリオ【潜入・スナリマヤ女学院】

はじめに

このシナリオは「ニンジャスレイヤーTRPG」のプラグイン環境に対応したシナリオであり、「ニンジャスレイヤーTRPG2版」の「第二回シナリオコン」応募作品でもある。



◆シナリオサマリー

「スナリマヤ女学院」に向かい、有力ヤクザクランオヤブンの娘が行方不明になっている事件を調査せよ。ほかにも複数名の女生徒がいなくなっている。生徒、教師、馬丁となって潜入する。
なお、教職員や生徒にニンジャであることがバレてはならない。

対象:
ニュービーレベルのソウカイニンジャPC3〜4人(読み替えでフリーランスシナリオにも転換可能)
難易度:ノーマル~ハード程度
キャラロスト:なし
余暇:標準(4スロット)
その他:知識・交渉判定複数。ニンジャ戦闘あり

参照エピソード:
【グッド・タイムズ・アー・ソー・ハード・トゥ・ファインド】

「学園生活は楽しいかね。キカ=サン」校長は穏やかに尋ねた。

「学園生活……」「楽しいかね」校長は謎めいた目でキカの目を見つめる。キカは瞬きし、下を向いた。「そうですね」「君はとてもいい」校長は言った。「このまま研鑽を続けてください。先生方のおぼえもめでたい」「それは、よかったです」

「学園は競争社会の縮図だ。辛い事も多いだろうが……」「大丈夫です」掠れ声でキカは答えた。校長は頷いた。「頑張れば頑張っただけ、世界は応えてくれます。この学園はね」「ハイ……」

【グッド・タイムズ・アー・ソー・ハード・トゥ・ファインド】より


ダンゴウ

地の文「トコロザワ・ピラー、応接室。君たちはソニックブームの呼び出して集められた。彼自身はまだ来ていないようで、君たちは思い思いにシックスゲイツの到着を待っている。」

このシナリオのダンゴウは、トコロザワ・ピラーのダンゴウルーム…ではなく、来客用の応接室に集められている。普段と違う、『不如帰』『為せば成る』などの力強いショドーや、武田信玄のレプリカ・アーマーが飾られた豪奢な部屋でソニックブームを待つことになる。NMはPL達にRPの肩慣らしとして雑談させておいてもいいし、すぐに次の文章に向かわせ、アイサツからRPを始めさせてもよい。

地の文「そうこうしていると、応接室のドアが開いた。入室してきたソニックブームが君たちを見渡す。」
ソニックブーム「ようテメェら。集まってるな?」「今日はカチコミだけがソウカイヤの仕事じゃねぇって事をテメェらに体験させてやるぜ。準備できてるか、エェッ?」

ソニックブーム「よし。まぁ座れ。今回のビズを説明する。モロ=サン、入って来な」
モロ「ドーモ、ソウカイヤの皆さん。キングウルフ・ヤクザクランのモロです」
地の文「顔に傷のある中年男が入ってくる。憔悴している様子だが、ニンジャを恐れる様子はそれほど見せておらず、高級ヤクザスーツにはクロスカタナ紋。」

ソニックブーム「キングウルフ・ヤクザクランはソウカイヤ直系ででけえシノギを作ってる。モロ=サンはそのオヤブンだ。テメェらよりセンパイって訳だな」
モロ「そういわんでください。俺ァ実際情けない男ですよ…」

風格のあるグレーターヤクザであるモロ=サンだが、その表情は憔悴しきっており、心配事にそのソンケイを陰らされている。
ソニックブームは彼を促し、君たちに依頼の内容を説明させる。

```モロ「ハイ。皆さん、頼みます…俺の娘を助けてください。娘は…キリエは…俺は見ての通りしがないヤクザですが…アイツは俺なんかにゃ勿体ねぇくらいの…」モロは目の下の隈を押えながら語る。```

モロ=サンの語った内容は以下の概要に纏められる。NMはRPを交えて説明してもいいし、箇条書きで一気に情報を提供してもよい。

情報

◎モロの娘、モロ・キリエは、ヤクザである父に似ず器量が良く、そのため将来を考え、ネオサイタマ郊外の山の手学校「スナリマヤ女学院」に通わせていた。そのキリエが、数日前に学校から姿を消したという。
◎学校は全寮制であるが、手紙では充実した学生生活を送れていたようであった。
◎しかし数日前、前触れなくキリエは失踪。モロが調べたところによると、少し前から生徒の失踪が相次いでおり、校長はじめ教師陣も頭を悩ませている。
◎失踪した生徒の一人に似た娘がネオサイタマ外のオイランセンターで見つかったとの噂もある。
◎スヤリマヤ女学院は歴史も古く、警備もあり生徒の外出にも厳しい。生徒が自ら行方をくらましたとは思われない。
◎死体や痕跡が一切残らないことから、ニンジャの人攫いの可能性がある。(この情報はソニックブームから提供させるのも良い) 

センセイ方、スンマセン……娘を攫ったヤツを見つけてくだせぇ…行き先さえわかりゃ俺が迎えに行きますんで…スンマセン!」大の男が目に涙を浮かべる。「ま、こういう訳だ。テメェらはまだヤクザとして経験か浅ェからな。こういうとこに潜り込むにもやりようがある」

ソニックブームが言う通り、プレイヤーたちはニンジャであることを隠し、スナリマヤ女学院へ潜入する事になる。
これはあくまでロールプレイ上の指針であり、判定ダイスを限定するなどのモータル偽装は行わなくてもよい。
(仮に成長したキャラクターでシナリオを行う場合、モータルの能力値上限にあわせた能力になるよう、一時的な制限を与えても良い)

NMはプレイヤーへ以下の追加情報を与え、どのような立場で潜入するかをプレイヤーへ選択させる。
なかなか決まらない場合は、先に必要な交渉スキルを予告しておいても良い(この先の項を参照する)。

追加情報
◎スナリマヤ女学院にはカチグミ子女が多数通っており、ニンジャが堂々と乗り込んだ場合の混乱は経済に悪影響を及ぼす。
◎生徒の失踪にニンジャが関わっている場合、こちらがニンジャであることを露にしてしまえば、相手は警戒して姿を隠す可能性がある。
以上の点から、今回は行方不明の下手人を見つけるまではニンジャではなく、モータルとして潜入する必要がある。

潜入方法
選択肢1.生徒として潜入する→未成年PC向け。スナリマヤ女学院は女子高の為、男性PCは他の手段を取るか、性別を偽る必要がある。生徒へのキキコミが中心となる。ナカヨシと呼ばれる生徒間コミュニティの情報網に接触できればなにか得られるかもしれない。交渉・知識スキルの両方があると心強い。

選択肢2.教師として潜入する→成人のPC向け。教師へのキキコミ中心。交渉スキルを駆使する必要がある。
選択肢3.馬丁としての潜入→清掃員、乗馬用の馬丁、その他用務員などに扮する。隠密行動すれば誘拐された女生徒の現場を調べることも出来るだろう。判定が上手く行った場合、追加調査のチャンスを得られる。```

「学校としても不祥事なのは自覚してるもんで、皆さんが頼りなんでさァ…!どうか…頼んます…!」必死に頭を下げるモロの横で、ソニックブームは君たちに釘をさす。「分かってると思うが、行先を聞き出すまでは犯人は殺すなよ。一人は残しとけ」

◎犯人は始末してもいいが、必ず攫った生徒の行き先を聞き出すこと。ニンジャである場合、ジツに注意。

事前準備

「よし。纏まったな。モロ=サン、例の物をコイツラにやってくれ」「へい」モロはヤクザスーツの懐から、封筒に奥ゆかしく包まれた万札を取り出す。「こいつァ前金です。中で使うなり準備に使うなりしてくだせェ」
「潜入できるまで少し時間がかかる。テメェらの分の席を空けなきゃならんからな。その間にきっちり『予習』しとけよ、エエッ?」

ここで、PC一人につき【万札:5】と特殊な【余暇:1日】を与える。この余暇はこの場で消費することが許される。交渉・知識スキルを取得することをお勧めする。

以下に、このシナリオで有用と思われる知識スキルを列挙する。

『◉交渉:共感』『◉交渉:超然』『◉知識:セキュリティ』『◉知識:貴族の流儀』
これらのスキルは潜入先にもよるが役に立つ…場合が多い。


潜入調査パート


君たちはスナリマヤ女学院に潜入し…数日が過ぎた。

 スナリマヤ女学院高等部の掲げる理念は「知性により律する」であり、学園内のあちこちに、この文言のショドーをおさめた額縁と、創設者の肖像画を見る事ができる。校章のモチーフは古事記に由来する「一粒の梨」で、制服であるブレザーの胸にも神話的エンブレムが奥ゆかしくあしらわれている。
 神秘的でモデストな礼拝堂を中央に据えたこの全寮制の学園は、ネオサイタマのやや外れに位置しており、周囲には美しいバイオ松の森が広がり、小川のせせらぎや鳥たちのさえずりが爽やかな風に乗って届けられる。

【グッド・タイムズ・アー・ソー・ハード・トゥ・ファインド】より

ここからは調査パートとなり、各調査担当に回ったPCが一人ずつ順番にロールプレイと判定を行う。

調査① 生徒・ユマナ

地の文「君は学生としてスナリマヤ女学院に転入してきた、短期交換留学生…と言う設定だ。
学院は全寮制で、寮の部屋は原則二人一組の相部屋だった。君はルームメイトのユマナ=サンと二人で、早朝の部屋掃除をしている。周りには誰もいない。キキコミのチャンスだ。」
ユマナ「どうしたの?手が止まってるよ?」

ユマナ「まだ転入してきたばっかりで慣れてないもんね、アンミ=サ…じゃなかった…ゴメンナサイ、前のルームメイトを思い出しちゃって」
彼女は…名前を間違えただけにしてはどこか落ち着かない様子だ。彼女の信頼を得て聞き出すには話術が必要だろう。

生徒としてのロールプレイを終えたPCは、ユマナに対して交渉判定を行う。

交渉判定 【ニューロン】【ワザマエ】 難易度:NORMAL
有利な交渉(+2):『◉交渉:共感』『◉交渉:超然』『◉交渉:欺き』
有利な知識(+2):『◉知識:貴族の流儀』『◉知識:ファッション』『◉知識:宗教』

地の文「君の巧みな話術、もしくは心からの同情に心を動かされたのか。ユマナはポロポロと涙を流し、床に膝を付いた。」
ユマナ「ウッ…ウゥ…アリガト…」「その…アンミ=サンは、私の友達で…ナカヨシにも誘ってくれたんだけど、先週急にいなくなっちゃって…」
「あの時の私、アンミ=サンに届け物をして欲しいってお願いされて、部屋を出た間に…一人だったの、アンミ=サン!」

ルームメイトが、ターゲットとなる生徒同様にいなくなったことを聞きだすことに成功する。
なお、原作を読破しているプレイヤーがナカヨシについて深く調べようとした場合は、それを制止するのがよい(のちに追記するが、ナカヨシは今回の事件に関係がないからだ)。

(対応の一例)
ユマナ「詳しくは言えないの」「選ばれた生徒の集まりで…毎週、その…集まって礼拝をしたりするんだけど…でも、こんな事初めてで」
地の文「彼女の態度には動揺と、そして拒絶か感じられた。ナカヨシの詳細は不明だが、少なくとも生徒の失踪に直接的にかかわっているわけではないようだ。」

ユマナ「ヤヨイ=サン…ナカヨシのリーダーだった子がその前の週に居なくなっちゃって、頑張って代わりを務めようとしてたのに…皆怖がっちゃって、今度の礼拝はどうしようって…」

ロールプレイがひと段落するところで、以下の情報を開示し、この調査パートは終了する。また、6の出目が1個以上あった場合追加情報を提示してよい。

情報獲得
◎1カ月ほど前から、生徒が夜間一人で部屋にいる所を誘拐されている。
 生徒間コミュニティらしき『ナカヨシ』は今回の件に無関係のようだ。

追加情報獲得
交渉判定…【6】「ゴメンナサイ…辛いのは私だけじゃないのに…」 「キカ=サンだって、ルームメイトがいなくなって不安かもしれないのに…」

ほかにもルームメイトを誘拐されたクラスメイトがいるらしい。
 名前はキカ・ヤナエ、会う事が出来れば情報を得られるかもしれない。


調査② 教師・ヒデヤス

職員室で、下劣な教師ヒデヤス・ノリヒコに事情を聴く。

地の文「君は職員としてスナリマヤ女学院に潜入した。 ネオサイタマからきた君の授業は生徒たちにも興味を持って迎えられているようだ。 今は書類の整頓を任されており、職員室のデスクで作業に取り組んでいる。」
地の文「そんな折、一人の男性教師が君に声をかけてきた。ビヤ樽めいた体系にたるんだ顎と淀んだ目。 ヒデヤス・ノリヒコ、生徒の評判はどうにも良くない教師のようだが…」

ヒデヤス「ドーモセンセイ、精が出ますなぁ」
「スナリマヤの空気には慣れましたかな?他所とは色々と勝手が違うでしょう。変わらんのは生徒たちくらいですよ。好奇心旺盛な子供は何処にでもおりますからなぁ」

ヒデヤスから情報を聞き出すために、交渉判定を行う事になる。

交渉判定 【ニューロン】または【ワザマエ】 難易度:NORMAL
有利な交渉(+2):『◉交渉:超然』『◉交渉:誘惑』『◉交渉:威圧』
有利な知識(+2):『◉知識:ヤクザの流儀』『◉知識:犯罪』『◉知識:セキュリティ』

地の文「君の魅力、もしくはアウトローの香りに何らかの共感を持ったのか。ヒデヤスは饒舌に語り始めた。」
ヒデヤス「学院の生徒たちは世間の厳しさを知りませんからな」「外に興味があるというのももっともな事。そういう子供たちには…大人として、助けになってやりたいと思うのですよ」
「センセイもよろしければ、明後日の日没後。礼拝堂にお越しください」

交渉判定に成功した場合、ヒデヤスは礼拝堂にPCを誘う。そこで行われている何らかの仕事に、PCを同席させようとするのだ。

ロールプレイがひと段落するところで、以下の情報を開示し、この調査パートは終了する。また、6の出目が1個以上あった場合追加情報を提示してよい。

情報獲得
◎生徒たちの中には学院の外に興味を持つものが多く…その生徒たちを対象に、礼拝堂で何かが行われている。

追加情報獲得
交渉判定【6】…君のニンジャ動体視力は、彼のスーツ袖の違和感を見咎めた。カンジの描かれたカフスボタンが、一つ欠けている。
◎ヒデヤス=サンのスーツはカフスボタンが取れていた。



「馬の名前は?」キカは尋ねた。「タロだよ」「コンニチワ。タロ=サン。キカです」馬は尻尾を振った。ワカヤマは笑った。「……実際、俺なんかがお嬢様方と話してたら、大目玉だよ。じゃあな」「うん。じゃあね」キカは手を振った。ワカヤマは手を振りかえした。実際キカにはこれ以上の時間はない。少年の後ろ姿を見送る事もなく、彼女は足早にその場を離れる。

【グッド・タイムズ・アー・ソー・ハード・トゥ・ファインド】より

調査③ 馬丁・ワカヤマ

ヤブサメ部の部活や乗馬の授業に使われる、学園の馬を世話する馬丁として、同僚に話を聞く。

地の文「BRRRR!馬が棹立ちになり進まず、若い見習い馬丁の少年がそれを収めるのに苦労している!
潜入の事もあるが、ひとまず怪しまれないように仕事を果たさなければならない。」

PCは【ワザマエ】判定:EASYを行う。◉魅了を保有している場合、使用しても良い。成功した場合はこの後の【交渉判定ダイス】+2。

馬丁の少年「スミマセン、ありがとうございます!」「おれ、ワカヤマっていいます。新しく入った人ですよね」
若き馬丁の少年、ワカヤマは礼儀正しくアイサツする。生徒同様に、礼節を学んでいるのだ。

ワカヤマ「〇〇=サンはネオサイタマから来たんですか?
「おれは…物心がつく時からここで働いてます」「父と二人だったんですが、父が怪我をしてしまって…ここしばらくは一人です」
「ネオサイタマはいい所ですか?生徒のお嬢様方があこがれるような…」

ワカヤマは何かを知っているようだ。交渉判定で聞き出すことが出来る。

交渉判定 ニューロンまたはワザマエ:NORMAL
有利な交渉(+2):『◉交渉:共感』『◉交渉:超然』『◉交渉:鼓舞』
有利な知識(+2):『◉知識:スポーツ』『◉知識:公僕の流儀』『◉知識:貴族の流儀』
なお、味方がこれらの交渉・知識を持っている場合+1として使用してよい。

地の文「君の実直さ、もしくは話術がワカヤマの信頼を得た。彼は馬を歩ませながら、周りを気にしつつ話し始める。」
ワカヤマ「お嬢さんが誰かと一緒に…ネオサイタマの見える高台の方へ歩いて行くのを見たんです」「あの礼拝堂があるほうに行くところを」

交渉判定に成功した場合、ワカヤマは自分の目撃した情報を教えてくれる。

ロールプレイがひと段落するところで、以下の情報を開示し、この調査パートは終了する。また、6の出目が1個以上あった場合追加情報を提示してよい。この判定により、追加調査のチャンスを得る。

情報獲得
◎誘拐された生徒は誰かと一緒に部屋を出て行った。少なくとも意識を失っていたのではなく、自分で歩いて行ったようだ。

追加情報獲得
交渉判定【6】…「先週も生徒が一人、先生と一緒に部屋から出てくるのを見かけたんです。あの鎧戸の閉められた部屋、分かりますか?」
◎先週居なくなった生徒の部屋を知ることが出来た。追加調査ができそうだ。

追加調査・現場

調査③を行ったPCは、生徒の部屋に踏み込み、調査を行う。

地の文「君は、先週に居なくなった生徒の部屋の前に居る。残っていたルームメイトは別の部屋に移動になったようだ。」「事件の後、その現場を封じるように鍵が掛けられている。だが、君はニンジャ器用さでカギを開き、部屋へと滑り込んだ。」

地の文「――窓が、開いている。密室だとワカヤマから聞いていたはずだが?君はそれを奇妙に思う。」
「ともかく、見回りが来る前に部屋を調べなければならない!」

手掛かりを探し、調査判定を行う。

調査判定 ワザマエ:HARD
有利な知識(+2):『◉知識:犯罪』『◉知識:ストリートの流儀』
『◉知識:セキュリティ』『◉知識:ヤクザの流儀』『◉知識:貴族の流儀』
他のPCが同行している場合、そのキャラクターが当該スキルを持っていれば同様に適用できる。

地の文「君はまず、二段ベッドの下にあるものに気づく。雑誌だ。」
「おそらく高尚な女学院には似合わぬ、流行のファッション誌。見つかれば取り上げられかねないそれを見るに、誘拐された生徒は学院の壁の外に興味があったようだ。」
「そして、ボタンが一個。どうにも男物スーツのカフスボタンのようだが…君はそれを懐に納める。」

ロールプレイがひと段落するところで、以下の情報を開示し、この調査パートは終了する。また、6の出目が1個以上あった場合追加情報を提示してよい。この場で6の出目が出た場合、EXTRAの項へ進むことが出来る。

情報獲得
◎誘拐された女生徒は、元々学院の外の文化に興味を持っていた子もいるようだ。また、男物のカフスボタンが落ちていた。

追加情報獲得
交渉判定【6】…君は窓を調べ、理解する。この窓は最近開けられたものだ。だが君が鍵を開ける音か気配に気づいて出て行った。
窓の下は…ベランダこそあるが、ロープでもなければ素早く降りるのは困難そうだ。

◎窓はつい最近開けられたようだ。誰かがこの部屋を先に調べており、しかもその人物は3階の高さから音もなく飛び降りる事が出来る。

◎全ての調査が終わったら

以下の地の文を表示し、ロールプレイを行う。

地の文「君たちは学院の敷地内、木立に包まれた場所で密談を行っていた。死体を隠すにも持ってこいの、人気のない場所だ。」
「ここでそれぞれの得た情報を纏め、女学生を誘拐した犯人を捕まえなければならない!」

PC達は互いの情報を共有し、犯人を調べるために礼拝堂で待ち伏せる事になる。この時、作戦を以下の選択肢から決定する。

作戦選択

1.教師役または生徒役が誘いに乗る。該当PCはマップ上部の青マスからスタート。それ以外のメンバーはマップ下初期配置からスタートし、全員に【即応ダイス】+2。
2.全員で乗り込む。全員マップ下初期配置からスタート。全員に調査判定で出た【6】の合計分を頭割りした【即応ダイス】を与える。

なお、下記どちらかの条件を満たした場合には、下記のEXTRA判定に入る。

・調査①、②、③すべての交渉判定で【6】の目が出ている
・追加調査の調査判定で【6】の目が出ている

EXTRA・キカ・ヤナエ

以下の条件のどちらかを満たしていた場合、このイベントが発生する。
・調査①、②、③すべての交渉判定で【6】の目が出ている
・追加調査の調査判定で【6】の目が出ている

情報共有を行っていたPC達は、何者かの気配を察知する。

発見判定 ニューロンU-HARD 全員(一人でも成功すればOK)

発見できなかった場合、このイベントは終了し、作戦を決定する。

地の文「君たちのダンゴウを茂み越しに見つめている存在、その気配に気づく!」
隠れていた女生徒「………」「〇〇=サン、だよね。同じクラスの」「ドーモ。キカ・ヤナエです」
地の文「黒い髪に、空色の目をした女生徒は、君たちのダンゴウにも臆することなく踏み込んできた。」

◆◆◆
NMは、このタイミングで以下のデータを開示してもよい。

◆キカ・ヤナエ/アズール (種別:ニンジャ)
カラテ    2  体力   6
ニューロン  6  精神力  7
ワザマエ   3  脚力   2/N
ジツ     7  万札   0

攻撃/射撃/機先/電脳  2/3/6/6
回避/精密/側転/発動  6/3/3/13

◇装備や特記事項
 『◉◉グレーター級ソウルの力(封印)』、『◉◉アーチ級ソウルの力(封印)』
アズールは自らの意思か、もしくは偶発的な理由でそのソウルの影響が肉体に及んでいない。
これらのスキルによる体力・精神力の増加は半分となる。(他のスキルの前提としてのみ使用可能)
 『★★★不可視の獣召喚』
手番攻撃フェイズに精神力1を消費し、ジツ発動判定:HARDを行う。成功時、自身の隣接マスに『◆不可視の獣』を召喚する。
不可視の獣は召喚されたターンのみアズールの次に行動するイニシアチブを持つ。
不可視の獣の体力が0以下になり爆発四散した場合、このジツはそのシナリオ中二度と召喚できない。

◎NMへ
 キカ・ヤナエことアズールは、ニンジャスレイヤー第二部・第三部に登場したキャラクターである。
 AoS次元において彼女は、似たような出来事(デスドレインとは異なる凶悪犯などに捕まり、逃げ出し、裕福な老夫婦に拾われてこの学院にやってきた、など)を経験してスナリマヤ女学院の生徒となっている。…というのが、このシナリオでの概略である。
 新たな家族に感謝しつつ、同時に自身のニンジャ性にも懊悩しており、自身を連れ出してくれるニンジャの存在を内心で求めている。
 すなわち、ソウカイヤへのスカウト対象となりうる。

◆◆◆

キカ「…皆、ここで何を?」「たぶん…探してるよね。誰かを」
「私も探してるんだ」「ヤヨイ=サンを連れて行った……ニンジャを」
地の文「少なくとも。彼女から攻撃や告げ口の様子は感じられない。説得すれば、クリティカルな情報が得られるかもしれない。」

交渉 ニューロンまたはワザマエHARD(全員挑戦可能)
有利な交渉(+2):『◉交渉:共感』『◉交渉:超然』『◉交渉:煽り』

交渉判定に成功した場合、以下の情報を得ることが出来る。(ロールプレイでも、箇条書きでも良い)

情報開示
◎彼女はルームメイト消失以降、犯人を調べるため単独で行動していた。
 理由は自分でも良く分からない。(上のNMへ、の欄も参照)
◎PCが調べた空き部屋の窓から侵入したのもキカ。もともとあそこは彼女の部屋でもあった。
◎先週の夜、無人のはずの礼拝堂に複数の男の声が聞こえた。
 その後、先生が一人出てきた以外は誰もいなかった。

また、NMはロールプレイの巧みさや交渉ダイスの出目などで追加情報を与えても良いと判断した時、以下の情報を開示してもよい。

 情報開示・2
・キカ・ヤナエはニンジャである。しかしある時から、ニンジャ性を隠して生活してきた。
・ニンジャ脚力や観察力はあるが、他の憑依者と比べて身体的強化はかなり少ない。
・本人も自覚していないが、ニンジャが自分をどこかへ連れて行ってくれることを期待してニンジャを探していた節がある。何らかの過酷な経験がそうさせたようだ。

ここまで情報を開示できた場合、キカをソウカイヤへのスカウトすることに成功したとみなし、
この後のメイン戦闘で味方が一人でも戦闘不能となった場合、キカが援軍として参戦する。

◎すべての調査が終わったら・2

EXTRA判定に成功した場合、作戦に第三の選択肢が出現する。

作戦選択

1.教師役または生徒役が誘いに乗る。該当PCはマップ上部の青マスからスタート。それ以外のメンバーはマップ下初期配置からスタートし、全員に【即応ダイス】+2。
2.全員で乗り込む。全員マップ下初期配置からスタート。全員に調査判定で出た【6】の合計分を頭割りした【即応ダイス】を与える。
3.キカを囮にする。
  全員マップ下初期配置からスタートし、【即応ダイス】【緊急回避ダイス】+3。
  なおキカは戦闘開始後マップからは取り除かれるため、巻き込まれる心配はない。

戦闘

各プレイヤーはマップにキャラクターを配置し、イニシアチブを確認後、戦闘を開始する。

以下のスプレッドシートマップを添付する。

(注意:ヒデヤスを殺害した場合は攫われた生徒の行方が分からなくなるため、ミネウチを行う事を推奨)

◆レッドハンド (種別:ニンジャ)
カラテ 4       体力 5 
ニューロン 6   精神力 7
ワザマエ 6     脚力        3/N
ジツ 4         万札        10
攻撃/射撃/機先/電脳  5/7/7/7
回避/精密/側転/発動  6/7/7/11

◇装備や特記事項
『☆カトン・ジツLv3』『★オクリビ・ジツ』『⦿オクリビ召喚』
『タクティカルニンジャスーツ(体力+1)』『パーソナルメンポ(精神力+1)』

『★オクリビ・ジツ』
手番攻撃フェイズに精神力1を消費し、ジツ発動判定。(発動難易度:N)
対象を術者から視線の通る周囲20マス以内の任意のマスへ瞬間移動させる(敵の場合回避難易度:NORMAL)。
その後、移動先のマスを中心として『3x3』の爆発が発生し、範囲内の敵は『火炎ダメージ1』を受ける(回避難易度:NORMAL)。

『⦿オクリビ召喚』
自身の手番開始時、ヤクザが1体もいない場合、精神力1を消費して、ジツ発動判定。(発動難易度:N)
成功した場合、ヤクザを2体召喚する。
◆誘拐ヤクザ (種別:モータル)
カラテ    3  体力   3
ニューロン  2  精神力  1
ワザマエ   2  脚力   2
ジツ     –  万札    1
攻撃/射撃/機先/電脳  3/2/2/2
◇装備や特記事項
 チャカ・ガン: 銃器、連射1、ダメージ1
 ブラックジャック:近接武器、ダメージ1
◆ヒデヤス (種別:モータル)
カラテ    1  体力   2
ニューロン  3  精神力  1
ワザマエ   2  脚力   2
ジツ     –  万札   10
攻撃/射撃/機先/電脳  1/2/3/3
◇装備や特記事項
 チャカ・ガン:銃器、連射1、ダメージ1


◆アズール (種別:ニンジャ)
カラテ    2  体力   6
ニューロン  6  精神力  7
ワザマエ   3  脚力   2/N
ジツ     7  万札   0

攻撃/射撃/機先/電脳  2/3/6/6
回避/精密/側転/発動  6/3/3/13

◇装備や特記事項
 『◉◉グレーター級ソウルの力(封印)』、『◉◉アーチ級ソウルの力(封印)』
アズールは自らの意思か、もしくは偶発的な理由でそのソウルの影響が肉体に及んでいない。
これらのスキルによる体力・精神力の増加は半分となる。(他のスキルの前提としてのみ使用可能)
 『★★★不可視の獣召喚』
手番攻撃フェイズに精神力1を消費し、ジツ発動判定:HARDを行う。成功時、自身の隣接マスに『◆不可視の獣』を召喚する。
不可視の獣は召喚されたターンのみアズールの次に行動するイニシアチブを持つ。
不可視の獣の体力が0以下になり爆発四散した場合、このジツはそのシナリオ中二度と召喚できない。
◆不可視の獣(種別:アニマル)
カラテ    7 体力 10
ニューロン 7 精神力 -
ワザマエ  - 脚力 7
ジツ     - 万札  0
スキル:『●連続攻撃2』『●不可視』『●見えざる盾』『連続側転/射撃攻撃不可』『●ソウルの獣』

攻撃/射撃/機先/電脳  7/-/7/-
回避/精密/側転/発動  7/-/-/-

●見えざる盾:
この獣は巨大であり、一種のバリケードの役目すら果たす。
このキャラクターに隣接する術者、および術者と同じ陣営のニンジャは
『回避ダイス』が+1される。

●不可視:
このキャラクターは自ら攻撃を行わない限り攻撃対象とならない。
ただし獣以外のキャラがターゲットとなっている場合のみ、カトンなどの範囲攻撃に巻き込むことは可能。
さらに初回の近接攻撃のみ、回避難易度が+1される。

●ソウルの獣:
このキャラクターはニンジャソウルが実体化したものであり、ニンジャ同様に回避ダイスを持ち、『サツバツ!』を発生させられる。
また、隣接するキャラクター1体を運搬することができる。アズール以外を運搬する場合、運搬状態でのすべての行動難易度は+1される。
このキャラクターの近接攻撃基礎ダメージは『2』となる。

エンディング・報酬


A+:ニンジャを撃破し、犯人を生かしたまま捕らえ、誘拐した生徒を助けた上に、新たなニンジャをスカウトした。
万札プール+90 名声+2 余暇:4日
アズールとのユウジョウ判定が解放

A:ニンジャを撃破し、犯人を生かしたまま捕らえ、誘拐した生徒を助けた
万札プール+60 名声+2 余暇:4日
B:ニンジャには逃げられたが、犯人を捕らえて誘拐された生徒を助けた
万札プール+30 名声+1 余暇:4日
C:ニンジャには逃げられ、犯人を殺してしまった
万札+0 名声+0 余暇:4日
D:犯人を特定できず、逃げ帰ってきた
名声:ー2
*アズールのスカウトに成功した場合、それぞれ1段上の評価となる。

親密度データ:アズール
最重視するパラメータ:【ニューロン】または【ワザマエ】

親密度1:「……何?」
 報酬:『◉知識:犯罪』/『◉交渉:卑屈』

親密度2:「私はおかしくなんかない。ただ…苦手なだけ」
 報酬:『◉交渉:煽り』/『◉不屈の精神』

親密度3:「あの時…ニンジャが私をどこか遠くへ連れて行ってくれると思ってた。…馬鹿みたい」
 報酬:『◉ツジギリ』/『◉挑発』/『◉ニューロンブースト/チルアウト』

親密度4:「約束してほしい。…何があっても、置いていかないで」
 報酬:『◉切り裂きの牙』/『◉ニンジャアドレナリン強化』

◉切り裂きの牙:連続側転移動時、『●轢殺攻撃1』を得る。(回避:NORMAL)

素材

写真類
Andrew Seaman From Unsplash


◆ファフニール=サンは出ません◆


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