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『大きな玉ねぎの下で』舞台挨拶@大阪
2月8日(土)関西3か所で行われた映画『大きな玉ねぎの下で』の舞台挨拶に行ってきたので、映画の感想と舞台挨拶の感想を記録していきます。
※トップに入れてる写真は、舞台挨拶で撮影タイムに撮らせていただいた写真です。
『大きな玉ねぎの下で』
【作品概要】
同じ場所にいるのに会ったことがない2人。
丈流(たける)と美優(みゆう)は、 夜はバー、昼はカフェになる「Double」でそれぞれ働いている。
“夜の人”と“昼の人”を繋ぐのは、連絡用の<バイトノート>だけ。
最初は業務連絡だけだったが、次第に趣味や悩みも綴るようになった。
会ったことがないからこそ、素直になれた。
でも実は、2人は顔見知り。しかも、全くそりが合わず関係は最悪。
お互いの素性を知らないまま、2人は大きな玉ねぎの下(武道館)で 初めて出会う約束をするがー。
・曲について
元となったのは、爆風スランプ「大きな玉ねぎの下で」。
この大きな玉ねぎの下でというのは、東京都千代田区にある日本武道館の擬宝珠のことです。そしてこの映画内でも武道館、爆風スランプ、大きな玉ねぎの下でが使われています。
この曲は1989年10月21日に発売された爆風スランプ15枚目のシングルだそうです。まだ生まれてもいない、当時を知らない私でも両親が歌っていたりしたのでサビは耳なじみのある曲で、「九段下の駅を降りて 坂道を」と聞けば口ずさめます。
私より下の世代になるとわからない人が多いかも。
でもタイトルはずっと不思議で、この曲の解説を読んで初めてタイトルの意味を理解できました。
擬宝珠を玉ねぎに見立てて武道館をリンクさせるなんてなんだかおもしろいですよね(笑)
【映画について】
映画の内容を書いてしまうと、まだ観ていない方へのネタバレになってしまうので、感想だけにします。
・手書きで伝える温かさ
顔が見えない相手、名前もどんな人かもわからない相手でも話しているうちに悩み、趣味、好きなものを素直に打ち明けられるようになる半面、親や友人、顔の知れた相手にはどこか素直になれず不器用な様子が描かれていたのが私個人すごく面白いなと思ったし、自身も共感できる部分でした。
業務連絡用の管理ノートを書いている2人の表情は、たのしそうでキラキラしていてまっすぐで素直で。いざ相手が誰だかわかったときは不器用で素直じゃなくて、どこか寂しげで。しっかりと対峙した表現がされていて。
SNSではなく、すべて手書きでやりとりし、字を書くペンに思いを乗せている姿が印象的でした。現代ではSNSが普及し相手の顔を見ることなく言葉のやり取りを交わします。ただやっぱり自身でペンを手に取って紡ぐ言葉と、画面上で打ちこんで紡ぐ言葉の違いがあるようで、手書きのもとだとより気持ちが伝わる、温かさがある。そう感じました。
そういえば私も友人、家族からもらった手紙うれしくて全部箱に入れて大切に保管しているなあって思いました。なんだろう。くだらない内容のやりとりでも大事な内容のやりとりでも、授業中のメモみたいな手紙でも、誰かがこの文字を書くために時間を使ってくれてひとつひとつ丁寧に書いてくれたっていう事実が、温かくてなんだかうれしいんですよね。
少し話が逸れましたが、その温かさが映画からも感じられたような気がしました。
・ペンフレンド
この映画では、先ほど話した2人のほかにもうひとつ平成初期のペンフレンドの物語も組み込まれています。
ペンフレンドとは何かと言うと、友人、親族、国内外問わず顔の知らない相手とも手紙を通してやりとりをする文通のことだそうです。
戦後まもなくこのペンフレンドという文化が広がりブームになっていったそうです。今で言うとXのDMのようなものなのかな。
そのペンフレンドを通したもう一つの恋を動く様子も描かれています。
こちらのストーリーと同時に動く映画は少し忙しいけど、今では想像できないブームを感じることができました。
私も平成生まれなのに、たった数年の中で私が生まれて育ったころでは想像できない文化があったことに驚いたし、なんだかおもしろかったです。
大人たちの思い出を張り巡らせ、当時の気持ちから現代の人へ繋ぐ人と人の繋がりも、手紙から伝わる温かさを同様に感じることができました。
・舞台挨拶
私が行った2月8日は関西での開催とのことで、主演の神尾楓珠さん、桜田ひよりさん、劇中でも登場し主題歌を務めたasmiさんが登壇したんですが、3人が登場すると場内は黄色い歓声。かっこよくてかわいくて素敵な方たちでした。
印象に残っているお話は、劇中で管理ノートを書くシーンがたくさんあってとてもきれいな字で書かれていたんですが、神尾さん、桜田さん2人とも実際にノートに手書きをして撮影をしたそうなんです。
特に神尾さんにはびっくりしました。男の子の字ってどこか雑で勢いのある字をイメージしがちですが、神尾さんは字を書くことが好きだそうで、繊細で止め跳ねはらいまで丁寧でお手本のような字だったんです!
自身の真横にカメラを設置し手元のみを映して撮影するときは、スペースもせまく少し大変だったと神尾さんも桜田さんも言っていましたが、そんなことを感じさせないくらい丁寧に一つ一つ文字を書いていて、そういう面からも温かさを感じさせてくれたのかなとも。
そして、asmiさん。asmiさんは大阪府出身のシンガーソングライターの方で、舞台挨拶も関西弁でした。透き通った声でなじみのある関西弁で話す姿がすごく愛らしくて、どこか妖精のような尊さを感じる方でした。
主題歌を担当しており、asmiさんの声で流れる「大きな玉ねぎの下で」はすごく落ち着いたやさしい音色で、大きいベールで包み込まれるような1局になっていました。
また素敵な方に出会えてうれしかったです。
最後に
舞台挨拶は30分ほどのトークでしたが、上映終了後の舞台挨拶だったため、撮影時の話や印象に残ったシーンなど3人と一緒に作品を振り返ることができていい体験ができました。
この映画を通して、「大きな玉ねぎの下で」の曲の意味を知ったり、ペンフレンドという文化を知ったり、人と人との繋がり、文字を紡ぐ尊さや大切さを学べたような気がします。
心が温まる作品で、舞台挨拶も参加することができてよかったなと思いました。
たくさんの人に愛される作品でありますように。
映画『大きな玉ねぎの下で』、神尾さん、桜田さん、asmiさん素敵な時間をありがとうございました。