いつものお姉さん
札幌で有名なサンドイッチ屋が、勤め先の近くにある。先日札幌に出張した折、訪ねた。
その店は、観光客と、近隣で働く人たちでいつも賑わっている。昼時に行くといつもカウンターに通されたが、その日は15時半過ぎで空いていたためか、奥の2人がけテーブル席に通された。
食前のコーヒーが運ばれてきたタイミングで、カウンターの中にいた調理担当の男性が「お久しぶりですね!」と手を振りながら目の前まで来てくれた。
傍で、三つ編みメガネの女子スタッフが「いつものお姉さん来てるよ〜って話してたんです」、黒縁メガネ男子も「いつもと雰囲気違うから、最初分かりませんでした!」と。
いつもジャケットにパンツだったけど、ワンピースを着ていたからね。
ちょっとじんわり胸にきて、泣きそうになってしまった。
その店にはコロナ禍で客が少ない時期によく通い、気分転換していた。当時は人間関係が芳しくなく、自分を信じ続けることが大変な状況だった。
たまに若い男女のコンビがかけてくれる「今日元気ないですね、大丈夫ですか?」との言葉に励まされていた。
1年3ヶ月ぶりに訪ねても、「いつものお姉さん」として接してくれることが嬉しかった。
お互いに名前も知らないけど、気さくでいい店だな。というか、「いつものお姉さん」って響き、めちゃいいな。
名前も知らないけど、ずっと元気でいてほしい人がいるってことは、きっと人生にとって良いことなんだろう。
(ヘッダーの写真は2022年の仕事初めの日に撮ったもの)