本当につたえたいことを「いつものあなた」から聴く、ことのはたらき
流行り病の禍がはじまったのがきっかけで、私の生活に完全に浸透したのは、YouTubeといった動画コンテンツ視聴である。
YouTube、それまでも見ることはあったが、お気に入りのチャンネルができるほどではなかった。
それが今では、登録したチャンネルがざっと100を超えている。
一人のユーザーが登録するチャンネル数の平均はどのくらいなのだろうか。
自分の数が人よりも多いのか少ないのかはよく分からない。
頻繁に楽しませてもらっているチャンネルのひとつに、長崎県西海市にある「長崎バイオパーク」という動物園の公式YouTubeチャンネルがある。
(先日、登録者数が50万人を突破したそうで、大変おめでたい)
長崎バイオパークは、早くからYouTubeチャンネルやtwitterを開設するなど、SNSを利用した発信に強い動物園だ。
現在はYouTubeのみならず、InstagramやTikTokでのライブ配信も精力的におこなっている。
SNS発信のギアを上げるきっかけになったのは、やはり昨今の流行り病の禍のために営業を制限されたことが大きい。
飼育員たちの個性を生かしたユニークな動画づくりに長けており、園内の動物たちの様子を映しながらもスタッフのトークが長崎のご当地グルメや好きなアニメの話題に飛んだりする…気がつけば動物の話をしていないライブ配信などという、ある意味「おおらかさ」が魅力のひとつだ。
(私の一番推しの動物がカピバラなので、カピバラ関連の動画です)
このような個性を「隠さない」つくりをしているのは当然狙いがあるそうで、いつだったかのライブ配信(インスタライブ)にて…。
「飼育員自身が有名になりたいからではなく、飼育員に親しみやすさを感じてもらうことで、我々が本当に伝えたい大事なメッセージを今まで動物園から縁遠かった人々にも伝わりやすくするため」
…という旨を語っていたことが印象に残っている。
パーソナリティを知ってもらうことで受け手との距離を縮め、いざという時の発信がより強くなるようにという思いからなのである。
とはいえ、そうしなければ!的な気負いが滲むというよりは、発信側自身が楽しんでいる雰囲気が漂っているので、それが視聴者をホッとさせてくれる。
(話し手がいつもの飼育員、というだけでもマジメな話題が近くなる)
動物園は子どもの頃にちょくちょく行ったっきりで、大人になってからは縁遠くなったという人が少なくないだろう。
そういう層にも、なるべく遠くまで、動物園の社会的役割が伝わるよう粘り強く目指しているのが伝わってくる。
(他動物園とのコラボ動画も増え、横のつながりも盛ん)
前回の記事でも私が申し上げた「誰が言うか」の視点の重要さを、長崎バイオパークの取り組みからもそれがよく分かる好例といえるのではないでしょうか。
現在の私は幸いにも、長崎バイオパークとは少し物理的距離があるとはいえ、一応地続きの場所に住んでいる。
なので、YouTubeのスーパーチャットやインスタライブのバッジ(つまり投げ銭)よりもなるべく現地へ足を運び、動物たちのふれあいエサ遣りやオリジナルグッズ購入に重課金するようにしています。
あなたの町の近くにも、動物園や水族館、博物館や美術館や図書館など、規模の大小関わらず文化的施設があるはず。
それらの施設も、もしかしたら人知れず発信に腐心しているところがあるかもしれない。
それをこちらが見つけてあげるのも、世の中をちょっとブラッシュアップするきっかけになるのでは、と思うこの頃です。