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アーカイブ/2023年1月号

令和の混合ワクチン事情

混合ワクチンは、犬・猫・フェレットに関係します。子犬や子猫をもらったり買ったりした時から、ワクチンプログラムが始まります。
子犬も子猫も生後1年までの間に混合ワクチン3回というのがスタンダードになっています。

20年ほど前は1歳までに2回打てばよかったのですが、3回に増えています。旅行やドッグランなどで他の犬と交流する機会も増え、多頭飼いも多いとなれば、念には念をということでしょうか。この他に生後90日を過ぎた犬は狂犬病予防接種の義務も。犬のワクチンプログラムは幼体にとってやや過酷に感じます。

海外の犬はどうしてる?

2018年の朝日新聞記事より。
詳しい内容は記事を読んでいただきたいのですが、要旨としては海外では、混合ワクチンに含まれる3種について3年以内にブースター接種しないほうがいいですよ、リスクがありますよ…という考えがスタンダードのようです。(3種=ジステンパー、パルボ、伝染性肝炎)
私も20年近く前にかかりつけの病院で「1歳までに2回接種したら後は3年毎でいいですよ。海外はそうですよ」と言われました。20年前の時点でそうなのに、なぜ日本は世界に逆行して接種回数を増やすのか...色々と、大人の事情がありそうです。

動物にやさしい「抗体価検査」

とはいえ日本ではドッグランやトリミングサロン、ペットホテルなどあらゆる場所で「一年以内の混合ワクチン接種証明書」が求められます。猫の場合でもホテル等を利用する場合は、同様の証明書提示が求められます。
でももし「体内に充分な抗体が残っている」ことがわかるなら、体に不要な負担をかけなくてもいいと思いませんか?つまりその子が病気にならず、かつ、他の子に感染を広げないための充分な抗体があることを証明できればいいのです。

今、全国の動物病院に「ワクチチェック」という抗体価検査システムが広ががりつつあります。犬または猫の血液を少量採取し、検査キットでコアワクチン(2種)の抗体価を測ります。2種とも陽性であれば「ワクチンの追加接種不要」として「陽性証明書」がもらえ、この証明書はワクチン接種証明書と同等の価値を持ち、ドッグランやトリミングサロン、ペットホテルで提示することができます。

価格は病院によって若干違うかもしれませんが、私が受けた病院は6種混合ワクチンとほぼ同じくらいの金額でした。

ワクチンのメリット

もちろん、混合ワクチン=「絶対悪」ではありません。多くの方がきちんとワクチン接種を続けた結果、かつて猛威を振るったパルボやジステンパー等は激減しました。猫についてもワクチン接種と屋内飼育が普及した結果、ワクチンで予防する感染症の流行は、あまり聞かれなくなりました。狂犬病は言わずもがなで、日本は今のところ「清浄国」を保っています。

FIPなど原因不明でワクチンもない病気はまだありますが、FIPはなんと新型コロナの治療薬として使われている「モルヌピラビル」で寛解するという情報があり、今後に期待が持てます。(まだ、どの病院でもできる治療ではないようです)
「決まりだから」と何も考えず毎年ワクチンを打つのではなく、動物の年齢、体調、体質を考慮し、抗体価検査も大いに利用してみましょう!抗体価が下がりかけたタイミングで適切にワクチンを接種すれば、大切な動物の命と健康を守れます。

◆高齢犬、基礎疾患ありの犬について◆

高齢やアレルギー持ちなど、ワクチンで健康を害するおそれがある場合「混合ワクチン猶予証明書」を書いていただくことができます。狂犬病のゆうよ証明と考え方は同じです。詳しくはかかりつけの病院で相談してみて下さい。
長く一緒に暮らした大切な犬を守れるのは、あなただけなのです。


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