八女とみんなとはんてんと③ 恵みが道具に、作品に
今日のはんてんはこちら「藍調袢天 紺白大縞(左)」と「白根 パープル(右)」。
「あったかくて脱ぎたくないねぇ」とお二人。わたで包まれるはんてんは、まるで着るふとんのような心地よさがあります。着ている人の体温を取り込んで保温しつつ、わたが持つ調湿効果で、余分な湿度を吸収してくれるため、心地よくあたたかさを保ってくれます。
お茶、和紙、林業、石、竹、農作物、、、八女には豊かな自然資源があり、それらの恵みを使ったものづくりが盛んに行われています。関内さんは九州の杉を中心にした木工を、牛島さんは櫨ロウや和紙などを使った芸術活動をされています。お二人とも八女に住んでいて、旧八女郡役所で行われている映画の会でよくお会いします。映画を見終わったあと、関内さんの鋭い視点と、牛島さんの奔放で自由な視点での感想にいつもハッとさせられておもしろいです。
八女という土地でものづくりに励むお二人。この場所でものをつくることについて、あれこれとお話を聞きました。
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山の恵み豊かな八女
森と人をつなぐ木工
木材の流通網としても重要であった筑後川が流れる筑後地域は、古くから林業が盛んな土地です。また、熊本県や大分県との県境に位置する八女市は、福岡県最大の森林面積を誇り、現在でも杉の産地として知られます。
東京で活動されていた関内潔さんは、注文家具を中心とした木工制作を行なっていた中、結婚を機に八女に移住。「移り住んで、素材との距離が近くなってきている」と話す関内さんは、材木屋さんと一緒に丸太から仕入れて製材、加工まで手掛けています。産地の近くで、この土地の風土を肌で感じながらつくる木工のあり方を模索され続けています。
関内さんが八女に来て長年つくり続けている木のお弁当箱。箱という構造は木工の基本が詰まっているらしく、大掛かりで試作を何個も作ることのできない家具に比べ、お弁当箱はたくさんの実験と検証を積み重ねることができるそうです。杉の調湿効果で冷めてもご飯がべたつかないという素材の特性、手に馴染む形と大きさ、くるっと一周繋がった美しい木目など、杉という森の資源から人が暮らしで使う道具へと丁寧に落とし込んでいます。
森で育った木を敬い、使う人を考えてものをつくる。森と人、その間に立ちながら両者を繋ぐことが木工という仕事なのかもしれないと、関内さんのものづくりを見ていて思います。
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繋がりの中で形にしていく、工夫する
牛島智子さんも東京で活動をしたのちに地元である八女に拠点を移動。木蝋や八女和紙、コンニャク糊などの地域資源も使いながら製作活動を続けられています。
帰郷後、地域に櫨(ハゼ)の木が多く植わっていることから八女では木蝋ろうそくが盛んだったことを知り、このことをきっかけに「八女櫨研究会」を発足。芸術活動と並行して櫨の実をちぎる体験会や、ろうそくをつくる教室を開催するなど、美術と地場産業の境界線を行ったり来たりしながら活動を続けてこられています。
「こうしなきゃいけないではなく、地元にあるものとか、あの人がやっているとか、繋がりがある中で形にしていく、そこで工夫していくことが好き」
「水素だとか水だとか、土だとか、そこから植物ができるとか、そういうところまで地元の人が素材として見せてくれた。手で触って体で感じたときに、これが中学校で教えてもらった周期表の水素かと気づいて、人ってこういう現象を学んでいたのか、人ってすごいなと思った」
櫨からろうそくができたり、楮(コウゾ)から和紙ができたり。人がつくるモノには原料となる"資源"があります。しかし、その資源からどうやってモノが生み出されているのか、知ることは難しいことだと思います。その現象を突き詰めた先に"化学"がありますが、牛島さんはそれを自分の手元で探っているような印象を受けました。自然資源の近い場所だからこそ、こうした現象を肌で体感することができるのかも知れません。
自然の恵みから人がものをつくること。そこには人それぞれの創意工夫と好奇心が詰まっていると、関内さんと牛島さんのお話から感じました。
12月1日からは、福岡市内の3会場で個展「葉室の光彩 工婦雨から実験へ」 が開催。今回取材させていただいた普段製作活動をされているアトリエを再現する空間もあるそうです。牛島さんの作品を、ぜひ会場でご体感いただけたらと思います。
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うなぎの寝床 ららぽーと福岡店
2023年 11/23(木)〜12/11(月)
営業 10:00〜21:00
休み 施設休業日に準ずる
住所 福岡市博多区那珂6丁目23-1 1F(会場アクセス)
うなぎの寝床 旧寺崎邸
2023年 11/30(木)〜12/18(月)
営業 11:00〜17:00
休み 火、水(祝日営業)
住所 福岡県八女市本町327(会場アクセス)
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【続き】八女とみんなとはんてんと④ 喫茶でつくる八女の居場所
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