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うなぎの寝床とUNAPRODUCTS ~久留米絣もんぺ編~
こんにちは!愛媛大洲店の沼倉です。
オープン以降、お客様から「どうしてもんぺを取り扱っているのか」と質問を数多く頂きました。
そこで今回、もんぺをはじめとしたオリジナル商品「UNAPRODUCTS」をつくり始めた経緯を創業メンバーの春口と交易・交流担当の富永に聞いてみました。
うなぎの寝床ができるまで
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沼倉:2023年の7月末にオープンしてから4ヵ月が経過しました。お客様からどうしてもんぺを売ってるの?という質問をされることが何度かあって。
久留米絣の機能性や素材・歴史、そして他の日本の生地の産地を伝えるためにもんぺを置いてますとお答えをしてきました(久留米絣について詳しく知りたい方はぜひこちらをご覧ください!)。
ただ、お客様がもっと知りたいのはうなぎの寝床がもんぺを作るようになったその背景なんじゃないかと。
なので今回はその始まりの部分を改めて創業メンバーの春口さんと交易・交流担当の富永さんにお話しを聞ければと思います。
まず最初に聞きたいのは、そもそも「もんぺ」を作る前ってどういう活動をされていたんですか。
春口:うなぎの寝床ができる前の話になるんやけど、福岡県の筑後地域の雇用創出を目的にした「九州ちくご元気計画」という厚生労働省の事業があって。
筑後地域で雇用を増やす目的の事業で、各事業者が商売が繁盛し、誇れる仕事を作ることが結果雇用に繋がると考えて、スキルを向上させるために、商品開発力やPR力、デザインだったり、ブランディングなどの勉強会を開催してた。
ぼくとシラ(うなぎの寝床代表白水)は推進員として働いていて、デザイナーや流通関係の人とか百貨店のバイヤーなどの専門家と地域事業者を繋ぐ役割をしていたんよね。
それで実際に販路が拡がったりする事例がいくつか出てきた。販路が拡がり東京や大阪にも商品が流通しました、福岡市内にも取り扱いが増えていきましたってなったんやけど、足元の筑後地域でまとまって見れる場所はなかったんよね。
それで「九州ちくご元気計画」で作られた商品群をまとめて見れる場所があった方が良いよねって思った。
そういったアンテナショップは都心にあったりするんだけど、「地元だとどこで見れるの?」という声もあって、地方から発信する形のアンテナショップもやれるんじゃないかと思った。だったら自分たちでお店を作ろうと。それがうなぎの寝床の始まり。
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うなぎの寝床でお取り扱いしている筒井時正玩具花火製造所の線香花火であったり、江の浦海苔本舗の板海苔やNOCのカフリンクス、吉田木型製作所のダッチオーブン「WEEKENDER」などは元気計画で作られたものだった。
沼倉:九州を中心に全国のものづくりを取り扱うお店、旧寺崎邸 NATIVESCAPE STOREの前身って白水さんと春口さんのお二人の活動がきっかけだったんですね!
ただ、「うなぎの始まり=もんぺ」の始まりだとずっと思ってました、、、。今のところもんぺの「も」の字も出てきてないんですけど、、、
春口:そうだね笑
もんぺを作った背景はちくご元気計画とはまた別にあるんよ。
もんぺを作る前にもんぺの「型紙」を作って、もんぺ博覧会で販売したのが始まりかな。
沼倉:詳しく聞かせてください!
全ては型紙から始まった!
春口:まずもんぺ博覧会の説明をすると、福岡の伝統工芸である久留米絣の伝達ともんぺの可能性を考える目的で、いくつかの織元さんとうなぎの寝床のもんぺの展示販売を年に1回開催していて、今年の夏に10回目を行ったんだよね。
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2011年当時、八女伝統工芸館に勤めていたひとみさん(うなぎの寝床 白水ひとみ)とシラがうなぎの寝床を立ち上げる前に企画開催したのが1回目。
シラが物産館で久留米絣のもんぺを穿いてその着心地の良さに感動して、久留米絣ともんぺにはすごい可能性があるのでは?と感じたのがきっかけだったかな。
沼倉:そうなんですね!
もんぺに着目したのは何か理由があったんですか?
春口:たまたまよ。
当時って久留米絣の製品は婦人服が多くて、シラが自分でも”着れそう”と思ったのがもんぺだったみたい。
沼倉:それはたまたまですね笑
春口:そう笑
1回目のもんぺ博覧会のときに、八女の高校の授業で作られてた型紙を提供してもらって、高校の取り組みを紹介したんだよね。そうしたらその型紙が欲しい人が殺到した。
昔の着物や反物が家にたくさんあってタンスの肥やしになってるから、それを使って自分で作りたいって声が多くあって。
それで2012年の2回目のときはその声に応えられるように、現代風もんぺの型紙を販売した。
久留米絣の幅を効率的に使える形で、作業着としては必要だけど日常着としては余分なゆとりを削ったシルエットの型紙。それが5日間で500枚ぐらい売れたと思う。
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富永:ちょうどそのタイミングで白水の家に泊まりに行ったら、皆で型紙を封筒に詰めてたんよ。みんなが詰めているのを一緒に手伝って、そんなにもんぺ作る人がいるのかあと思いながらたくさん詰めたのを覚えてる。笑
春口:想定を超えて売れたから必死で翌日の分を詰めてた。
沼倉:大変そうだ、、、
春口:同じタイミングで現代風の型紙で作ったもんぺを見本としていくつか展示をしてた。すると今度は「この型紙の細いもんぺはないの?」という声が予想外にあって。
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それで内職さんにお願いして定番として作って売り始めたんよね。
その後にテレビの取材があったり、卸販売してもらえないかという問い合わせをもらったりした。
元々内職さんに少量で作ってもらっていたから供給不足に陥って、
これはやばい!ってなって縫製工場に電話かけまくって縫製をしてくれる工場が見つかり今に至るんよね。
沼倉:お店を作った背景ももんぺも計画的に進めていったというより、お客様からの声にしっかり答え続けた結果今があるんですね。
久留米絣MONPEとUNA PRODUCTS
沼倉:うなぎの寝床のオリジナル商品を「UNA PRODUCTS(ウナプロダクツ)」と呼んでいて、その説明の中で”うなぎの寝床なりの解釈を加えることで、つくりてが自らつくるものとは違う視点から地域文化を伝えようとしています”とあります。
それでいうと久留米絣MONPEはどういう視点が盛り込まれてるんですか?
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富永:まずは久留米絣もんぺを今作ったこと自体がうなぎの視点なのかもしれない。
洋装化やファッション化の影響でもんぺの需要が減っていく中で、久留米絣の産地ではもんぺは残った生地を安くさばくための商品で、もんぺには手を出すな!って織元さんの間では言われてたみたいだから。
それが当時のもんぺ博覧会や店頭で展示をしてみて、もんぺを通して久留米絣の価値を感じてくれる方が多くいることが分かったんよね。
それでもんぺを定番化して、量産化して作ろうというのはうなぎの寝床じゃないとやらないことだと思う。
春口:あとは、着心地の良さに着目して無地のもんぺを扱っていることもうなぎの視点の一つだと思う。久留米絣は柄を構築するのが最大の特徴だから、織元さんが無地のもんぺをたくさん作ろうとはならないんよね。
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富永:他の視点でいうと、もんぺを通すことで久留米絣の生地についてだけでなく、その歴史についても伝えられる点もあるよね。機能性の視点だけじゃなく、歴史的な文脈にも価値を感じてるから。
富永:例えば「パンツ」じゃなくて「もんぺ」にしたことでもんぺの歴史や変遷についても伝えることができるし。
あとは、久留米絣は戦後の農作業着で普及したもんぺの生地としてよく使われた歴史があって、どうして使われていたのかというともんぺと久留米絣のやわらかい風合いが相性が良かったから。
じゃあどうして風合いが良いのかというと、、、、みたいに芋づる式で色々な側面を知ることができるようにもんぺはなってるのかなと。
よく社内ではうなぎの寝床の活動は「価値ギャップを埋める」ことって表現しているんだけどまさに久留米絣のもんぺはそれを体現していると思うよ。
うなぎの寝床のスタッフながらまだまだ初めて知ることがたくさんありました。みなさま、いかがだったでしょうか?
その他疑問やご質問ある方は是非コメントお待ちしております
最後までお読み頂きありがとうございました!
うなぎの寝床では久留米絣だけでなく、日本の様々な産地の生地を使ったもんぺ(通称:産地コラボもんぺ)も作られています。
どうして他の産地の生地でも作っているのか、次回は産地コラボもんぺを作った背景をお届けします!