「自然に同じものはない」 tamaki niimeとイッテンモノ
※この記事は『tamaki niime てんてん - 肌感覚を取り戻す「服」-』に付随した特集記事で、メールマガジンでリリースした内容をアーカイブしています。
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どうしてイッテンモノ?
tamaki niimeと現場の探求
tamaki niime の作品は、すべてが二つとない「イッテンモノ」です。
毎度毎度違うものを作り続けること。それはとても時間も手間もかかることで、一般的に言えば”非効率的”とされています。しかし、tamaki niimeでは糸づくりや柄の設計などを工夫し、思考し続けてきた中で、イッテンモノの効率的な量産も実現しています。
tamaki niimeがそこまでして「イッテンモノ」にこだわり続けてきたのはなぜなのでしょうか。深掘りしていくと、そこには”人と違う”ことへの想いや、ものづくりと場づくりなど、tamaki niimeの哲学が見えてきました。
人がみんな違うように
作品もみんな違っていい
イッテンモノのものづくりのきっかけは、代表 玉木新雌さんの幼少期の思い出にあるそうです。
福井県の洋品店で生まれ育った玉木さんは、自分の服を選ぶことが楽しく、毎日違う服を着て学校に行くというマイルールをつくりました。しかし、あるとき服を選んだ後に、同じ服が他にもたくさん並んでいることに気づきます。子供ながらになんで同じモノがたくさん必要なんだろう?と思ったそうです。自分にとって特別なモノを探していたのに、同じものはたくさんある。だからこそ「オンリーワン」を求めていたのかもしれません。
人はみんな違って当然です。そもそも自然の中には全く同じものはありません。だからこそ、あなたが気に入る、あなたのための服を届けるために、tamaki niimeはイッテンモノを手がけています。
ずらりと並んだtamaki niimeの作品たちの中から、まるで自分のためにつくったかのようなものと出会ったとき、ワクワクとした気持ちが湧き上がってきます。こうした出会いの喜びを生み出すことがイッテンモノを作り続ける理由の一つなのではと思います。
「思考を止めない」
実験と追求の場づくり
また、イッテンモノをつくり続けることは、ものづくりの現場にも刺激を与えているんだろうと思います。
tamaki niimeでは、糸の染めから、織り・編み、縫製、販売まで一貫して自社で手がけています。それぞれの工程で「染めチーム」や「織チーム」などのチームがいて、各々の工程でものづくりを追求しながら、チーム同士がつながり合うことで作品をつくっています。
同じものをつくり続ける場合、どうしても数を重ねていくとそれは作業的になっていき、”モノをつくることの楽しさ”は徐々に薄れていってしまうのかもしれません。また、コレと言われてつくるものには、どうしても現場でつくる人の肌感覚を織り交ぜるのも難しいのではと思います。
だからこそ、tamaki niimeでは「イッテンモノ」という条件で、つくる人のチャレンジを自然に促し、実験と追求を楽しめる環境を育んでいるのかもしれません。
【余談】
「イッテンモノ」すら飛び越える
ものをつくる現場の探求
「同じモノを試行錯誤してつくることと、毎回変えるイッテンモノをつくり続けることって具体的にどう違うと思いますか?」
実際にtamaki niimeの現場でものづくりに携わる方にお会いしたとき、こんなことを聞きました。
僕自身、うなぎの寝床を通して色んなつくりてさんとお会いして、ものづくりの現場を見てきました。多くのつくりてさんは、器であれば同じ形を何十皿、織物であれば同じ柄を何十メートルと、同じモノをつくり続けてきています。それでもつまらなそうにつくっていると見えたことは一度もないし、むしろ同じモノを追求していく中で生まれてくる何かを楽しんでいるようにも見えました。だからこそ、同じモノをつくることと、イッテンモノをつくることの両者がどう違うのか、気になったからです。
「それと同じだと思う。だからこそ最初作ったものから新しく作ったものとで同じにならずにイッテンモノになる。感覚的に言うと試行錯誤の末、結果的にイッテンモノになっている」
なるほど、目から鱗でした。同じモノとか、イッテンモノとか関係なく、モノをつくることにそもそも終わりなどないのかもしれません。また、tamaki niimeにおけるイッテンモノは、実験や創造を促すある種の”ルール”に過ぎず、現場はもうその先に行っているのだなとも感じました。
もう一つ質問しました。
「これいいなと思ったものをもう一度つくりたいとか思ったりしないんですか?」
「する。でもその場合は、いいなと思うポイントを押さえながら別のポイントをずらしながら可能性を探る。この生地の風合いいいなと思ったら、編み方は同じで色を変えたりして。いいなと思うモノができても、そこから先がまた見えてくるので、これで完璧とかはない。だからおもしろい」
欲しいからつくったり、より良くしようとつくったり、つくりたいからつくったり。そもそも、ものづくりは誰かから言われてではなく、自らから湧き出る感情から生まれてくるものなのかもしれないと、話す姿を見て思いました。
tamaki niimeの現場では、「イッテンモノ」すら飛び越えて、自分たちが考える本質的なものづくりを探求し続けているようです。
荻野
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