”社会的インパクト”が共通言語になる世界を目指して。【うむラボ通信】メンバーインタビュー#8 大西 克典
【うむラボ通信】は、私たち「うむさんラボ」の想いや活動を知ってもらうために、学生インターンのあかり、ちより、しまゆうが、メンバーへのインタビューを通してお届けする、みなさま宛のお便りです。
第1回のインタビューでは、代表取締役 比屋根 隆が描く未来や想い、うむさんラボの魅力などを語っています。ぜひご覧ください。
キーワードは「株式会社沖縄県」社会的インパクト投資による”あたたかい社会”を、沖縄から世界へ。 【うむラボ通信】インタビュー#1 代表:比屋根 隆
第8回はうむさんラボの立ち上げメンバー、現在カリーファンドを中心に業務に携わる大西 克典さん、担当はあかりです。世界を飛び回り活躍してきた大西さんが考える、「資本主義の在り方」とその想いについて伺いました。
「ワクワクしたくないですか?」 その一言から広がった、”社会的インパクト投資ファンド”設立への道。
長く金融業界でキャリアを重ねてきた大西さん。
沖縄に来たきっかけは、沖縄県庁に勤める知人からの声掛けでした。
沖縄での生活がスタートし、移住生活にも慣れてきたころ。
当時、沖縄県産業振興公社でスタートアップ支援事業を担当していた大西さんの下に、ある人が訪れます。
思い描く世界を1枚の紙にまとめ、その想いを伝えにきた、比屋根 隆さんです。
ところどころ空白のある、未完成の”紙”。
比屋根さんの目指す世界に近づくには、どう歩みを進めていけばいいのだろうか。
共に悩み、歩みを進めていたある日、比屋根さんから「1通のメール」が届きます。
「ワクワクしたくないですか?」
その一言は「アジア女性起業支援家サミット」を開きたいという誘いでした。
予算が無い中で、試行錯誤しながら何とか実現した初開催。ラオス、ミャンマーの2カ国から起業家が招かれました。
その頃から、社会起業家の育成に取り組みはじめた一方で、資金面での課題にも直面するようになります。
「”社会起業家”では融資が得にくい」「お金がなく事業が進まない」
これらを解決するべく取り組んできた活動は、ついに昨年夏、”社会的インパクト投資ファンド”第1号の設立としてスタートラインに立ちました。
従来の資本主義への疑問とファンドに懸ける想い
大西さんは、日本やアメリカをはじめ、何十年と世界の金融市場を見てきた中で、従来の”お金がお金を生む世界”の在り方に疑問を持つようになったといいます。
「”お金がお金を生む世界”は、継続的でも道徳的でもないのではないか」
そう考えた大西さんは、従来の資本主義に代わる「公益資本主義」のような、”みんなで助け合う資本主義”の在り方を模索し続けていました。
比屋根さんと出会い、うむさんラボから「社会的インパクト投資ファンド」としての一歩を踏み出した今。いずれ日本、世界へと拡げていくためにも、まずは基準や成功事例をしっかりつくっていくことを目標としています。
大西さんの目指す世界と幸せ
大西さんが目指す世界のひとつとして、”子どもの労働”が無い世界を願っているそう。
「これからを担う子どもたちが笑顔であってほしい」と語ってくれました。
特にミャンマーでは、マイクロファイナンスも手掛けている中で、彼らの生活を経済的な側面からも良く知る大西さん。
経済的な事情で学校に行けない子、家業を継ぐ以外の選択肢を知らない子、様々な事情を持つ人たちを見てきました。
「アジア女性起業支援家サミット」をきっかけに、ラオスやミャンマーを訪れるうち、今では子どものための教育支援や女性の社会進出にも取り組み、「そこに暮らす子どもたちに”平等に”選択肢を与えてあげたい」といいます。
日本を知り、アジアを知り、世界を知る大西さん。
様々な世界の常識や価値観を知る大西さんにとって、「”幸せ”とはなにか」を尋ねてみましたが、まだ”答え”は見つかっていないといいます。
人それぞれ、環境や考え方は異なるからこそ、それぞれに悩みや苦労があります。
彼らには彼らの悩みがあり、日本に生まれたからこその悩みももちろんある。
だからこそ、特に若い世代にはどんどん外に出て、日本の”恵まれている”部分や”格差”等、多角的な視点から学びを得て、自分なりの「幸せ」を考えてほしいといいます。
「インパクト」が共通言語の”面白い”社会へ
「お金を使って社会課題を解決することが当たり前の社会になると、すごく面白い社会になると思う」
従来の”経済的利益・リターン”を重視したビジネスが当たり前の世代に比べ、私たちの世代からは「インパクト」や「SDGs」という言葉が当たり前に出てくるといいます。
現在うむさんラボで取り組んでいる”ソーシャルビジネス”や”社会的インパクト投資ファンド”は、従来のビジネスやファンドとは「そもそもの意図が全く異なる」と話してくれた大西さん。
その一つである評価方法の違い、「インパクト(社会に良い影響を与えたこと)をどう可視化するか」、また評価するだけでなく「いかにマネジメント(経営方針)に組み込んでいくか」も、今取り組んでいる大切な部分だそう。
「そもそも『社会的インパクトを”評価”する』必要がないほど、皆が当たり前に概念や存在を認識し、実行することができる。そんな未来を目指して、まずは1号ファンド、そして2号、3号と世界へ広がっていき、沖縄から世界の課題解決のモデルケースへと繋げていきたい」
そう語ってくれました。
近年「SDGs」をはじめ、世界的に「社会課題」に対しての共通認識や取り組みが浸透してきたように思う一方で、当たり前に「社会課題」や「環境問題」という文言が使われ、大きく括られることも多いからこそ、どこか”別世界”の話しのように実感が持てないこともありました。
しかし、決して遠い世界の話しではなく、身近な人や世界の”幸せ”を目指し行動することが、結果的に「社会課題」という問題へのアプローチでもあること、必ずしも”立派な”世界を目指す必要はないのだと、改めて実感しました。
沖縄のために何かしたいという思いで挑戦したインターンですが、沖縄という大きな括りからもう一歩。「誰のために」「どういう幸せ」を目指して行動するのか、考えていきたいと思います。
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