調子笛

このテキストはマガジン「三味線のこと」の中に含まれているので、一つ一つ購入せずにマガジンを購入した方が多分安いと思います。

今はギターを弾く人なんかもデジタル的なものでチューニングをしているんだと思うけど、もちろん三味線もそういうのがある。
最近ではiPhoneに何か音が出るようなアプリを入れて、それをチューニングに使うという人もいるようで。
私はというと、ずっと「調子笛」っていう超アナログなものを使っている。
なんでかな?って思ったけど、最初に買ったのがもう二十年ぐらい前だからな。
当時は調子笛を使うのが普通の時代だったからってことなんだろうけど。
先生が全く見つからず長いこと三味線に触ってもいなかったんだけど、習いに行き初めてからも先生からも別段何も言われなかったんで、そのまま大昔に買った調子笛を使い続けていた。
調子笛にも種類があるようだけど、私が使っているのはかなり一般的なヤツ。

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アルファベットはそのまんまなので、音楽をやっておられる方ならわかると思うけどCはドみたいなことで。
数字も書いてあるけど、これは和楽器独特の表現だと思うんだけど音の高さを「本」という単位で表現している。
三味線でも関西だと「音の高さは四本」とか言われちゃったりするけど、今の先生は関西系ではないし、もちろんそういう表現は使わない。
じゃあ、どういう表現を使うかっていうと「尺」。
だから調子笛を見てもわからん。
どうやって調子笛を使って「尺」で合わせているかというと「2尺」という音の高さで「本調子」であれば「一の糸C・二の糸F・一の糸C」で、2尺1寸、2尺2寸と数字が大きくなっていくと音程は一個ずつ下がっていく。
因みに「二上り」であれば「C・G・C」、「三下り」であれば「C・F・A♯」。

他の伴奏者が大勢いて音がごちゃごちゃしている時などは、自分の調子笛の音を聞き取るのが非常に難しいんで、これじゃなく一オクターブ高いタイプの方がいいって話。

調子笛の説明からは話がそれてしまうけど、音程の話。
西洋音楽って、素人がカラオケで歌うとかだと端末を操作して音程を上げ下げして歌ったりするけど、基本的に音程ってのは決まってるじゃん。
「日本の歌謡曲は西洋音楽じゃないでしょ?」とお思いかも知れないが、あれは「西洋音楽の論法」で作られているので、本来の日本の楽曲とはかなり異なる。
日本の民謡(実は「民謡」っていう言葉もワリと近年に作られた言葉だっていうのを知ってちょっと驚いているけど)は伴奏を唄う人のキーに合わせて変更するっていうことで。
曲によっても音程は変わるし、同じ曲でも唄う人が変われば音程は変わるし・・・その上「本調子」「二上り」「三下り」(厳密にはこれ以外にもある)と調子も変更しなきゃいけないってことで、頻繁にチューニングを変更しなきゃいけないっていうね。
すげぇ大変なワケです。
だから、常に調子笛が手放せなかったりもするワケだが。

調子笛には他にも種類がある。

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目盛を合わせて吹くとその音程が出るっていうもの。
これの方が小さいから持ち運びに便利かな?って思わないでもないけど、舞台そでは薄暗いのでこんな小さい文字は見えないし。
ってことで、先に紹介したヤツしか使っていない。

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