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Color Shift v2 試してみた
LUT の次は DCTL? DaVinci Resolve の色調整の自由度を高めて、自然で上質な色を作り出せる DCTL を活用したプラグインとして話題の Color Shift v2 を試していきます。ケミカルな発色に頭を悩ませてる方は、必見です。
発行部数:34
1. DCTL とは?
DCTL(DaVinci Color Transform Language)は、デジタルシネマ業界の色管理システム ACES を策定する業界団体 AMPAS が開発した、デジタル映像の色管理をするためのプログラミング言語、CTL の DaVinci Resolve 版となるものです。
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ただ単にルックを変換するだけの LUT に対して、DCTL を活用したツールは、Dehancer などのプラグインのように、ユーザー側で自由にパラメーターの調整ができる、という点に違いがあります。
この DCTL のデータ(.dctle)は、LUT と同じフォルダに格納することで、Node Editor の右側に表示される Effects タブの中から読み出すことができ、DCTL のプルダウンリストより、エフェクトの 1 種として利用できるようになります。
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以降、この記事では DCTL を活用した次世代のツールとして、欧米圏のカラリストの間で話題の Color Shift V2 を試していきます(2024 年現在はアップデートにより V3 となっています)。
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2. Color Shift とは?
Color Shift は、ドイツ拠点のカラリスト Stefan Ringelschwandtner 氏が開発した、DaVinci Resolve のプラグインとして機能する、DCTL を活用した色調整のためのツールで、DI ソフトとして有名な BaseLight に搭載される Hue Shift 機能を参考に設計されています。
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Color Shift v2 には、❶ Hue Shift、❷ Sat、❸ DeSat、❹ Brightness、❺ Density という 5 種類の機能があり、Density は色の “濃度” をコートロールできる、わりと珍しい機能となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1692253998294-Q36N1qYEQD.jpg?width=1200)
下の画像は、DaVinci Resolve の標準機能としてある Saturation ツールと、Color Shift の Density の効果の違いを表しています。Saturation(左の画像)で彩度を上げると、ケミカルな質感になりがちなのに対して、Density(真ん中の画像)を使うと、より自然なニュアンスで彩度の調整ができるようになる、という話です。
![](https://assets.st-note.com/img/1692254003492-zVvmexpTWj.jpg?width=1200)
この Color Shift には、有料版の DaVinci Resolve Studio でのみ動作するという制限があり、使用環境としては、一般的な Rec.709 ではなく、DaVinci Wide Gamut、ARRI Log C など、広い色空間での使用が推奨されています。
製品サイトでは、Color Space Transform(CST)のエフェクトを利用して、作業用色空間を DaVinci Wide Gamut に変換するワークフローが紹介されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1692254011199-CKY4zC2v6H.jpg?width=1200)
また Color Shift をダウンロードすると、フォルダ内に、似たような名前の DCTL ファイルがたくさん並んでいますが、NE(No Emoji)の文字があるものは、DaVinci Resolve の Mini Panel を使用する際に最適なもの、T の文字があるものは、色の補完形式に Tetrahedral(テトラヘドラル)を使用したものを意味しています。
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参考までに、DaVinci Resolve の 3D LUT の補完形式(interpolation)は、初期設定では Trilinear になっていますが、一般論としては、Tetrahedral を選択した方が、色の破綻が起こりにくくなると言われています。
![](https://assets.st-note.com/img/1692209360214-1pOIPODyux.jpg?width=1200)
以降、Color Shift v2 の各機能を試していきます。
3. Hue vs Hue と比較してみる
まずは、特定の色の位相(Hue)をシフトする Hue Shift の機能を試してみたいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1692208889291-nMVHfIbFqu.jpg?width=1200)
一般的に、DaVinci Resolve で特定の色の方向性を変えるには、クオリファイアー(Qualifier)で特定の色を抜き出して、処理をすることが多いと思いますが、Hue vs Hue のカーブを利用することで、それを手軽に処理することもできます。
![](https://assets.st-note.com/img/1692208677728-lTh0CkQpuB.jpg?width=1200)
Color Shift の Hue Shift 機能は、それをさらに簡略化したツールになりますが、DaVinci Resolve の Hue vs Hue 機能よりも、自然な効果を得ることができるとされています。試しに、その効果を HLS のカラーチャートで比較してみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1692241821992-e5g9TQompz.jpg?width=1200)
まずは Hue vs Hue の機能を使って、青色(B)の色相を水色(CY)方向にシフトしてみると、以下のようになります。
Hue vs Hue
Input Hue:136.00
Hue Rotate:50.00
![](https://assets.st-note.com/img/1692242492700-icc1s3jyLM.jpg?width=1200)
一方、同じ処理を Hue Shift で実行してみると、 以下のようになります。
MONO-HueShift-T-B-v2.0
Blue to Cyan:0.250
![](https://assets.st-note.com/img/1692242497205-KMX2wC5vxc.jpg?width=1200)
Hue vs Hue で色相をシフトさせると、数値を上げるにつれ 色の濁り が発生していますが、Hue Shift の方はそうした濁りもなく、色相がスムーズに変化していることが分かります。こうした Hue vs Hue の色の濁りは、B(青)だけでなく、色相の数値を上げていくとあらゆる色で発生します。
続いて、同じようなことを、実際の撮影クリップで試してみたいと思います。まず調整前のイメージはこちらになります。
Sony a7SII
XAVC-S 4K H.264 4:2:0 8bit
S-Log3/S-Gamut3.Cine
ISO: 1600 / F11
![](https://assets.st-note.com/img/1692258582822-5Tsc6Ll44i.jpg?width=1200)
これに対して、Hue Shift 機能の Blue to Cyan のパラメーターを上げて、B を CY 方向にシフトしてみると、結果は以下のようになります。
MONO-HueShift-T-B-v2.0
Blue to Cyan:0.250
![](https://assets.st-note.com/img/1692258589302-z2jiFidNcS.jpg?width=1200)
一方、Hue vs Hue で青の領域を選択して、ベクトルスコープ上で色の方向性が同じになるよう、カーブを上方向に引っ張る(色相を変える)と、以下のようになります。
Hue vs Hue
Input Hue:106.00
Hue Rotate:10.00
![](https://assets.st-note.com/img/1692258596659-5SWXRXqjEi.jpg?width=1200)
どちらも同じように、色の方向性をシフトさせることができますが、Hue vs Hue の方は、明るさの変化があまりないのに対して、Hue Shift の場合は、輝度がより明るくなる ような反応が見られます。
またこの場面では、色相を大きくシフトしていないのであまり目立ちはしませんが、Hue vs Hue の方の処理をよく見ると、雲のあたりに緑色の濁りも感じられます。
続いて、彩度(Sat)と濃度(Density)の機能を見ていきたいと思います。
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