TOYO RENTAL Lab.5 速報!第1弾
なぜ ARRI が選ばれるのか? 最新モデル ALEXA 35 のルックを Sony VENICE 2、RED V-RAPTOR 8K VV と比較する、シネマカメラの頂上対決!第 1 弾では、ALEXA の特徴である肌色の表現(skintone)など、各カメラの発色を比較していきます。
1. ALEXA の特徴とは?
世界の映画の半分は ALEXA で撮影されている。
そう表現しても大袈裟ではないほどに、ARRI 社のカメラは、映画・CM・MV など世界中の数多くのデジタルシネマ作品で使われています。映画情報サイトIndieWire の統計では、2024 年度の米国アカデミー賞の上映作品の 67% で、2022 年度のカンヌ国際映画祭では 77 % の作品で、ARRI 社のカメラが使用されています。
ARRI 社のカメラは、一体なぜここまで人気があるのか? ALEXA の開発責任者である Marc Shipman-Muller 氏は、その魅力を 4 点にまとめています。
さらに、その最新モデルとなる ALEXA 35 では、新型の 4.6K CMOS イメージセンサー(ALEV4) が搭載されたことで、従来の ALEXA よりも、性能が大きく向上したと言われています。
今回のテスト撮影では、ALEXA 35 に搭載された Textures などの新機能と合わせて、ALEXA の特徴とされる 4 つのポイントを軸に Sony VENICE 2、RED V-RAPTOR 8K VV との違いを検証していきたいと思います。
2. 肌色の表現
まずは、ALEXA 最大の特徴ともいえる 肌色の表現(skintone)について、VENICE 2、V-RAPTOR 8K VV と比較をしていきます。
シチュエーションとしては、直径 150cm の円型のソフトボックスを付けた Aputure LS 600c Pro をキーライトに、化粧品広告を想定したようなライティングで検証をしています。背景は Aputure INFINIBAR で色を付けている状態です。カメラの露出は、キーライト側を +1 STOP としています。
カラーグレーディングの設定は、全カメラとも共通で、DaVinci Resolve の Color Space Transform で色空間を DaVinci Wide Gamut / Intermediate に変換した上で、コントラストと彩度を上げ、最終的に Color Space Transform で色空間を Rec.709-A に変換しています。Creative LUT に関しては、ARRI Look Library の中から 2130 Beauty(Log to Log)を 50% の濃度で適応している状態です。
まずは、ALEXA 35 のイメージが以下になります。
続いて、VENICE 2 のイメージが以下になります。ALEXA 35 のイメージセンサーが Super 35 規格であるのに対して、VENICE 2 は 35mm フルサイズ規格を採用しているため、レンズは 1 本望遠のものを使用しています。
WB・露出を調整するだけでも、肌の質感は ALEXA 35 と近い印象になりますが、VENICE 2 の方がコントラストが低く、肌のメリハリ感がやや弱い印象があります。また VENICE 2 の方が発色が弱く、背景の青色が Mg 方向 にシフトしています。
続いて、V-RAPTOR 8K VV のイメージがこちらになります。VENICE 2 と同じく 35mm フルサイズ規格なので、レンズは 1 本望遠のものを使用しています。また V-RAPTOR には内蔵 ND がないので、外付けの ND フィルターとして、Mitomo TRUE ND を使用しています。
VENICE 2 と同じく WB・露出の調整をすると、肌の質感は ALEXA 35 と似たような印象になりますが、V-RAPTOR では、背景色が VENICE 2 よりさらに Mg方向 にシフトしていることが分かります。
参考までに、WB・露出を調整する前の ALEXA 35 のイメージは、以下の通りになります。露出に関しては適正な印象がありますが、色はやや 暖色 にシフトしています。
続いて、WB・露出を調整する前の VENICE 2 のイメージは、以下の通りです。色は ALEXA 35 よりも Mg 方向 にシフトしており、露出に関しては -0.5 STOP ほど暗くなっています。
続いて、WB・露出を調整する前の V-RAPTOR のイメージは、以下の通りです。色は ALEXA 35 よりも暖色で、Y 方向 にシフトしている印象があります。露出に関しては、ALEXA 35 よりもわずかに暗めとなっています。
試しに、背景色 となる B の色味を ALEXA 35 と同じ色に揃えてみると、以下のようになります。まず基準となる ALEXA 35 のイメージは、以下の通りです。
これに対して、VENICE 2 の背景色を ALEXA 35 に合わせてみると、以下のようになります。
同じように、V-RAPTOR の背景色を ALEXA 35 に合わせてみると、以下のようになります。
いずれも 16-bit RAW 収録のできる高品質なシネマカメラということで、照明環境が整った状態では、グレーディング作業で色を整えれば、各カメラに明らかな差はないようです。強いて言えば、色を整える前のデフォルトの状態には差があり、その点では ALEXA 35 が優れているといえます。
参考までに、撮影時の ALEXA 35 のディスプレイ表示(映像出力)は以下のようになります。出力の色空間は、Rec.709 Gamma 2.4 を適応した状態です。
続いて、VENICE 2 のディスプレイ表示は以下のようになります。出力の色空間は、s709 を適応した状態です。この時点でも、VENICE 2 のコントラストと彩度が ALEXA 35 より低いことがわかりますが、露出に関しては、ディスプレイ上では適正に見えます。
続いて、V-RAPTOR 8K VV のディスプレイ表示は以下のようになります。出力の色空間は、Rec.709 Gamma 2.4 を適応した状態です。
3. Textures 機能
続いて、ALEXA 35 の新機能である Textures について、検証をしていきます。Textures は、映像のディティールを細かく調整するための機能で、被写体の輪郭をなめらかにしたり、粒状性のあるザラザラした質感に変えることが可能となります。
ALEXA 35 にデフォルトで収録されている Texture 効果は 8 種類ありますが、今回のテストでは、その中でも人気の 2 種類の効果を試してみました。
まずは K445 Default(デフォルトの状態)が、こちらになります。検証用のイメージは、4.6K 16:9 で撮影された素材を DaVinci Resolve 上で 300% 拡大しています。参考までに、カメラの設定は以下の通りです。
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