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ARRI フィルムカメラの基礎知識
シャッターアングルが 180° なのはなぜ? ARRI の輝ける 100 年の歴史を辿りながら、映画・CM・MV などデジタルシネマの撮影をする上で、教養として覚えておきたい ARRI の “フィルム・カメラ” に関する基礎知識を紹介していきます。
発行部数:10
1. ARRI の歴史のはじまり
デジタルシネマの業界で、世界最大の映像機器メーカーとして知られる ARRI(Arnold & Richter Cine Technik)の歴史は、1917 年のドイツ・ミュンヘンではじまります。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64651695/picture_pc_bd5e10f15224534649a0898bed2fd41b.png?width=1200)
カメラ、レンズ、ライトなど、現在では映画撮影に関するあらゆる製品を開発している ARRI 社ですが、創業当時は、フィルムプリンターの製造・販売をおこなう小さな会社だったようです。
そして創業から 20 年。いくつかのプロトタイプ機を経て、1937 年に ARRI は世界初となる レフ構造(Reflex Viewing)を採用した、動画用のフィルム・カメラ Arriflex 35 を開発することになります。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64651698/picture_pc_052cc503e5b2e9a376772f253dad948d.png?width=1200)
チャップリン作品など当時の商業映画は、アメリカ Bell & Howell 社のカメラ 2709 で撮影されていましたが、この 2709 には「ファインダーの見た目と、実際に撮影される画角に視差がある(parallax error)」という致命的な問題がありました。その問題をレフ構造により解決したのが、この Arriflex シリーズです。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64651709/picture_pc_f3ae18d60a3259b17e2223f3d9729f27.png?width=1200)
またこのレフ構造を実現するために、Arriflex ではバタフライ型のミラーを回転させる 回転型ミラーシャッター(Spinning Mirror Shutter)の機構を採用しており、それが現在まで続く、動画撮影のシャッターの基礎となっています。この機構は、2008 年のデジタルシネマ・カメラ Arriflex D-21 に至るまで、ARRI の全てのカメラに採用されています。
そしてこの Arriflex 35 を皮切りに、約 70 年間に渡り、ARRI は数々の動画用のフィルム・カメラを開発していきます。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64651732/picture_pc_5696c69358186f8179a61d81de1674ee.png?width=1200)
📽 シャッターアングルが 180° なのはなぜ?
Arriflex の回転型ミラーシャッターは、後期のモデルでは「半月型」に改良されています。このシャッターは専用工具により開角度(開き具合)を変えられますが、動画撮影でたまに聞く “シャッターを切る” という考え方は、これに由来するものになります。デフォルトの状態を 180° とするのは、ミラーシャッターが半月型(180°)の形をしているのが、その理由です。
2. Arriflex の進化の歴史
半世紀以上にわたる開発の歴史の中で、Arriflex には数多くのモデルが誕生しましたが、ここでは、その進化の歴史を語る上でポイントとなる 8 機種を紹介していきたいと思います。
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