デジタルシネマのお金の話 Vol.1|仕組みを理解する<第2刷>
映画・CM・TV はどんな “仕組み” で作られてるのか? 第1回は、広告代理店、制作会社、テレビ局、各クリエイターの関係(業界構造)から、制作予算、市場規模まで、動画ビジネスの全体像をまとめていきます。
1. はじめに
日本の “動画” に関する数字で、最も重要な指標となるのが「広告費」です。一部、ライブイベントや映画のチケット代など、個人のお金に支えられてる部分はありながらも、YouTube・TV・CM・映画など “動画” のほとんどは「広告費」など、企業が出資するお金で制作されています。
この記事では、お金の流れを追うことで、TV・CM・映画など日本の “動画制作” のリアルな全体像を見ていきたいと思います。
2. 日本の動画業界の“現在地”を知る
YouTuber が公開するバブリーな広告収益だったり、5G 関連のニュースの延長線上にある “動画の時代” の本当の意味はなんなのか?
日本経済の全体像をあらわす名目 GDP 約 550 兆円の中で、広告市場は 7 兆円、ざっくり全体の約 1.2% となります。これを TV・CM・映画、その他を含めた “動画” 全体で試算してみると、ざっくり 3 兆円(約 0.5%)の市場規模になります。ビジュアルで見ると、こんな感じです。
図は市場規模 10 兆円以下の日本の産業(2019)をまとめた市場規模 MAP ですが、日本の“動画市場”を経済全体で見ると、中規模(化粧品・たばこ・パン類と同じ)であることが分かります。
参考までに、全世界では、広告・映画とも 1 位はアメリカ、2 位が中国、日本は世界 3 位の市場規模となります。
3. 動画の“予算”は景気と連動する?
日本の “動画” の実態をなんとなく理解したところで、次にそれが今後どう変化していくのか? を見ていきたいと思います。まず、ひとつシンプルな法則としてあるのが「日本の広告費は日本の名目 GDP に連動する」というものです。
日本の“動画市場”の未来に関しては、日本の「名目 GDP」の数字を見ることで、ある程度の予測ができます。先日、コロナ自粛の影響が懸念される 2020年 4-6 月期の GDP に関して、名目 GDP の伸び率は ▲ 26.4% という発表が内閣府からありましたが、
たとえば、同時期のテレビ番組制作費を見ると、名目 GDP の変化とほぼ同じ数字が並んでいることが分かります。
4. 動画広告のお金のしくみ
ここから、動画制作の仕組みをジャンル別に整理していきます。まずは TVCM をはじめとする、動画広告 に関するお金の流れを 3 つのトピックで見ていきたいと思います。
ここから先は
¥ 500 (数量限定:残り 10 / 10)
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?