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哀傷歌 - 故人を悼む和歌まとめ

自分が気に入った哀傷歌のいくつかを紹介。唄い手の背景などはあまり考えず、歌そのものの音や感じから自分が思うまま適当に現代語訳。


ついにゆく道とはかねてききしかど きのうけふとは思はざりしを

人が必ず死ぬってのは知っていたつもりだけど、まさかそれが昨日今日なんて。


昨日こそ君はありしか 思わぬに 浜松の上の雲にたなびく

昨日、君はたしかに生きていた。でも今はもう雲となって海辺の空にたなびいているんだね。


亡き人のかたみの雲やしいれるらん 夕べの雨に色は見えねど

火葬の煙が形見になった。昨夜の雨で色はわかんないけど。


世の中は常かくのみとかつ知れど 痛き心は忍びかねつも

世の中は常にそういうものだとわかってたけど、耐えられないくらい本当に辛い


すみぞめの君がたもとは雲なれや たえず涙の雨とのみふる

喪服の君の袖はまるで雨雲みたい。涙が雨のように降ってるよ。


よそなれどおなじ心ぞかようベき 誰も思いの一つならねば

離れているけど、きっと同じように想っているよ。あなたも私も悲しみは一つだけでない(人の身の上も思っている)


あるはなく なきは数そう 世の中に あわれいづれの 日まで歎かん

生きている人は死ぬし、亡くなる人は増えていく。私は一体いつまで嘆き続ければいいのよ。


もろともに眺め眺めて秋の月 ひとつにならんことぞ悲しき

いつも一緒に眺めてた秋の月を、ぼっちで見るのは悲しすぎるぞ


散る花はまた来ん春も咲きぬべし 別れはいつか巡りあふべき

散った花はまた来年咲くでしょう。故人もきっとまた巡り会えるでしょう(もう二度と会えない)


あわれしる 空も心のありければ 涙に雨を そふるなりけり

空にも哀れむ心があるから、涙に合わせて雨まで降らせちゃった


何百年も何千年も前の歌ですが、現代人にも刺さるものがあります。今も昔も変わらぬ真理と、そこに変わらぬ想いがありますね。
故人を悼む時、紹介したこれらの歌があなたに寄り添ってくれますように。

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