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ことばの印象

例えば
告白のことば1つとっても

「愛してる」
「あいしてる」
「アイシテル」

発音は一緒でも
表記が違うだけで、受け取る印象も少しずつ変わる。

物書きの醍醐味は、ここにあるのではないかな。

と、わたしは思う。

表現の仕方について
わたしは椎名軽穂さんと言う漫画家から大きな影響を受けた。
(代表作は「君に届け」)

椎名軽穂さんは読み切り作品を描いていた頃にファンだった。
小学くらいの頃に立ち読みで見つけて以来
古本屋に通い詰めて、それでも立ち読みだけでは足りなくて
あるとき遂に購入を決断した。

因みにわたしは、昔から新品の本の匂いがすきなので
古本屋で本を買うことなど滅多にない。

椎名軽穂さんの作品内で生きる人たちは
想い人のことを
「すき」
だと言う。

「好き」ではなく、「すき」。

ひらがな表記が当時のわたしには新鮮で
同時にどの台詞よりも深く刺さるひらがなの「すき」に
少なからず驚きもあった。
わたしを引きつけてやまなかった。

あれから10年余の年月が過ぎて
ことばの表記にはかなりこだわる
わたしがいる。

推敲をする中で文章が変われば
漢字をひらがなに調整したり
その逆もあったり
キーワードを際立たせる為に
言い回しだけではなく表記そのものも変えてみたり

要は、漢字とひらがなのバランス。

気持ちわるく感じずに
文章がこころにすっと染み入るかどうか。

けれど
恋愛沙汰にまつわる表記に関しては
ひらがなが圧倒的に多い。

「すき」「あいしてる」
の方が、わたしにはぐっと来る。
とりわけ女の子の台詞ならば、尚更。

椎名軽穂さんの作品が
原点のひとつだからだろうか。

人をすきになる懸命さの中には
まっすぐな想いもある。
強く伝えたいことばを、敢えてひらがなで柔らかく表記しているからこそ
ことばの意図が深く深く
包み込むように伝わるのではないのかな。

まあこの主張は
一個人としての戯言。

けれど

人と顔を合わせて第一印象があるように
ことばの表記にも第一印象はあるものだと

わたしには思えるのだ。

#コラム #エッセイ #文章 #ささやかな主張

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