「親知らず 粉砕」
親知らずがもう後戻りできないレベルで黒くなっていて、隣の奥歯にまで虫歯が移転しかけている事実を突きつけられてしまい、
あまりのショックに黙ってトボトボと家に帰ることしかできなかった。
3か月前の定期健診ではせいぜい「ちょっと生えかけてますね~」程度だったものが、
3か月かけて静かに完全権限していた。
その場では「また3か月後の定期健診で処遇を決めましょう」と言われ家に帰されたが、
斜めに生えてる親知らずは抜歯した後最低10日は苦しむことになるとネットに書いてあったのと、
長い連休を取れるのがせいぜい9月の夏季休暇くらいしかないので、
意を決して来月の予約を取った。
人生初の抜歯。
ほっといても苦しむだけなので、もう抜くしかない。
それについては完全に腹落ちしている。
(腹落ちとかいう会社員特有の語彙)
それはいいんだけど、子供の頃通ってた小児歯科の医者に確かに言われた
「君の歯茎には親知らずの種が埋まっていないから、親知らずは一生生えてこないよ」
という言葉、あれは本当に何だったんだ。
医者の言うことだし、冗談を言ってくるような間柄でもなかったので、
この歳になるまで手放し100%で信じ込んでいた。
がっつりあるじゃん、上下左右4本。
「自分は恵まれてるんだ!」と思いこんで生きていた分の落差が激しすぎる。
人間の人生のうち、ほとんどの激痛は「なるべく注意して歩く」とか「危険なことはしない」みたいな努力で回避できるけど、
こと親知らずについてはどんなに頑張って歯磨きしても物理的に歯ブラシが届かない位置にあるので厳しい。
このハイテクノロジーの時代に、
大多数の大人がどう頑張っても回避できない10日間くらい続く苦しみを約束されているという状況はかなり堪える。
そういえば、尿管結石の手術はかなり発展していて、今はもうメスを入れることなく外側からレーザーを発射して結石を砕くことができる!
というのをよく聞くけど、これを親知らずに適用できないんだろうか。
永久歯が一通り生えそろった段階くらいで検査をして、
出番待ちの親知らずがニヤニヤと歯茎のスペースを占領し息をひそめてまっていることが判明したらレーザーを発射して親知らずを粉砕するのはどうだろうか。
と思ったけど、粉砕した歯の欠片を取り出すのに結局切開する必要があるのか。
しかしわざわざ取り除かずほっといても大丈夫なレベルの初期段階であればどうだろうか。
自然治癒でも再生できないほど入念に粉々に砕いてしまえば、多少破片が体内に残留したとしても健康被害は少ないのでは?
「親知らず 粉砕」とかで検索しても出てこないということはこの案には何かしらの致命的な欠点があるんだろうな。
体にメスを入れる行為、大きすぎる苦しみに耐えねばならないにもかかわらず基本的に「マイナスをゼロに戻す」だけの行為なので本当に気が進まない。
夏季休暇はいろいろ繋げて2週間近く取っているけど、大半は痛みに耐えて終わりそう。
かき氷とか、いまのうちに食べておいた方がいいかもしれない。