正常胚、5日目胚盤胞と6日目胚盤胞、グレードの関係

3回目の移植は大成功となりましたが、着床不全の対策をしたのは初めてでした。
対策をした3回目単体で見れば妊娠率は7割＆モザイク胚ということもあり残りの3割を引く可能性も高かったはずです。何故移植が成功したのか…
それについて、オプション以外の要素、正常胚、5日＆6日目胚盤胞、グレードの関係を今日は見ていきたいと思います。

正常胚は５日目に多い？

正常胚盤胞率は、5日目は67.7％、6日目は52.1％、7日目は43.1％で、有意な差がありそうです。（*1）
15%も正常胚が増えるので、着床診断してない方が胚を戻す時に成長が速い胚から戻すのを鉄則としているのはこのためです。

でも、着床前診断して正常胚だと分かっているなら、５日目と６日目の妊娠率（正産率）は同じなのか？これは諸説ありそうです。（*2）
５日目胚盤胞と６日目胚盤胞の妊娠率を同じとしている説もありますが、５日目胚盤胞の方が妊娠率が高いという説の方が少し多いです。

５日目胚盤胞の方が良いという論文では、どのくらい妊娠率が高いのか？以下、３つの論文引用です。

5日目胚が6日目胚より成績がよい（着床率　44.6% vs. 66.7%、　生児獲得率44.8% vs. 60.4%）
Maxwell SM, et al. Fertil Steril. 2016;106(6):1414-1419.

418名女性555周期の胚移植を対象としました。5日目に生検された正常核型胚は、6日目に生検された正常核型胚と比較して高い生児獲得率を示しました（62.3％ vs. 49.6％；aRR 0.81, 95％CI 0.65-0.996 ）。

D5とD6での生産率はそれぞれ60.4％、44.8％でD5が有意に高かったです。（*3）

６日目は大体40%台、５日目は大体60%台で、それぞれ違う論文であるはずなのに、数値に相関があり信憑性が高そうです。
これをみる限り、正常胚の中でも５日目胚盤胞が妊娠率は高いのだと思います。

また、D5の良好胚とD6の良好胚を比較して、生産率（72.8％vs56.5%）着床率（77.7％vs58.7%）でどちらも有意にD5良好胚で高い結果でした。D5、D6の標準胚では着床率でＤ5が有意に高く（64.4％vs53.4％）、生産率では有意差はありませんでした。
また、不良胚では生産率、着床率に有意差はありませんでした（生産率33.3％vs28.2、着床率44.4％vs35.3%）。（*3）

つまり、５日目胚盤胞でグレードが高い胚が圧倒的に良い、ということです。例え成長が早くてもグレードが悪いと生産率や着床率は半分ほどに減ってしまう…むしろ、D6胚でも標準胚以上なら約50％以上の生産率はあるということです。ということは、グレード結構大事ですよね。

一般的に正常胚であれば70%は着床すると言われていますが…

極端なことを言えば、この正常胚の内訳はもしかすると良好胚は90%の妊娠率、標準胚は60%、不良胚は30%で平均して『正常胚は6〜7割妊娠！』と言われているかもしれないのです。（例えば、の話で根拠となる論文はありません）

もし、BC胚やCC胚等を移植するなら、7割の妊娠率は期待しない方が良さそうだと個人的に思いました。

また、グレードと関係して、細胞の採取数と着床率についての面白い研究もあります。
簡単にいうとグレードが高い胚盤胞は上手な培養士でも下手な培養士でも、着床率は高いままだけれど、TEのグレードがB以下の場合で下手な培養士に当たると着床率めちゃくちゃ下がるよ、という内容です。（*4）上手な培養士の場合は、Cであっても高い着床率であることを考えると、培養士の腕めちゃくちゃ大事😂😂😂
ブログでたまに見かけるOで成功していた方はたまたま一回目の採卵でグレードが高かっただけでは？（つまり、運）と思いました😂

そう考えると、大事な順番として…

培養士の腕>グレードが良い胚>正常胚かモザイク胚か≧成長スピード

なのでは？！

そして、上記のことを考慮して、私の場合は、主治医の先生が正常胚より低頻度モザイク胚の方を優先したのだと思いました😊

（*1）津田沼IVFクリニック

http://www.tsudanuma-ivf-clinic.jp/blog/1987

（*2）亀田IVFクリニック

https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_769.html

（*3）オーク銀座クリニック

https://www.oakclinic-group.com/blog/2018/08/15/conference-karita-29/

（*4）東京ハートクリニック

http://www.tokyo-hart.jp/pgs-tecell/