『antipatia』-嫌い-
届いた手紙には
書き殴ったみたいな文字が並ぶだけ
見覚えのない文字列に
酷く苦しくなる
差出人は不明のまま
毎日それを見ては靄がかかる
僕は僕を見失う
「貴方がいなくちゃね」
そんな薄い言葉で殴られた
まるで値をつけられた玩具だ
「存外、気に入っているのよ」なんて
返事を書いてみようと筆を取る
晴れない靄を文字に起こす
「どうしたいですか。どのくらいですか。」
はかれないものに不安を抱いて待っている
向こうで笑みを浮かべる
僕はまた足を向かわせてしまった
動けない力のない様を
君は観ていた
「あなたをまっていたの」
見えない瞳をした君が言う
僕を映さないで
「あなたが一番解っているでしょう?」