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過去の僕から届いた言葉⑤
「母、ありがとう」
「少しいつもよりすんなり起きられた気がする」
「頭が痛くなることが少し怖いけど体を起こす」
「少しだけ気持ちがいつもと違う」
「頑張っていってみようと思う気持ちが少しばかりない」
「今日の僕は”少し”違うこの軽さに怖さが入り混じりつつ、行動してみたいという気持ちもある」
「今日も母と一緒に別室に来た」
「母は別室の様子を見て笑ってる」
「『昨日私がああいったから少し片づけたのかな。机といすのスペースができてるね。流石に親に学校の掃除は任せられないもんね。色々ま、母は全然掃除したんだけどなあ、掃除好きだし時間つぶせるしね。』」
「今日もニコニコしながら、母は楽しそう」
「『今日も色鉛筆使ってお話しする?それとも、何かしたいことある?』」
「母はそういいながら筆談をしてくれる」
「僕はどう応えようかと固まってしまった」
「僕はどう応えたら相手に正解なのか、僕自身に害が及ばないのかそれだけしか頭になくて、意思を伝えることが怖い」
「固まっている僕を見て母は筆談を続けた」
「ごく自然に流れのように、母は会話を楽しんでいて僕もそれに乗っかる」
「別に会話がしたいとかしたくないとかそいうのはなくて、ただ、僕の声、僕の中から溢れてくる文字と言葉と音、それを相手に渡すことへの恐怖心しかない」
「それが、母であっても」
「正解があるほうが楽で正解のない事柄が怖い」
「そんな風に考えながら、会話をしてたら珍しい人が別室に入ってきたんだ」
「部活の顧問の先生が『海月~ティータイムだぞ~』」
「思わず目を丸くしたんだ」
「というのも50手前の男性教員が薄いピンクのフリル付きエプロンを着用していたんだもん」
「いつも斜め上を行く先生だけど流石にびっくりした」
「母も同じテンションで『ほら、ティータイムだって~良かったねえ~』」
「午前11時母と顧問と僕の三人のティータイムが始まった」
「顧問の問いかけにぽかんとするか首を振ることしかしない僕」
「顧問は僕が筆談していることを知らないから不思議そうに見てる」
「(何か言ったほうがいいかな…けど、どう思うかな。なんでが募るかな…。それを察知するのも見るのも嫌だな)」
「俯いてしまった」
「すると母が『今筆談してたんですよ。声が出にくいみたいで。無理に出して悪化したらよくないなあって思いまして。私の話に付き合ってほしくて筆談しよーってしてたんです。』」
「『なるほどなー。じゃあ、紅茶飲んで喉あっためような』」
「さらっとした会話で次々に流れていく風景を僕はドラマのワンシーンのように見ている感覚だった」