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過去の僕から届いた言葉⑧

「少し明日を考えることができるようになった僕に拍手」


そんな風に過ごしながら、気付けば季節は春に移っていた。

春休み中の間、僕は母と一緒にお出かけやドライブなど頻繁にしていた。
以前母が言ったことだけど、僕が音に慣れることができなくても生活をすることに重きを置くためだ。
音がどんなに襲ってきても僕の聴こえは気にしたからと言って治るものではないし、どうしたって心因性だ。
だったら、それを気にするよりもほかのことに集中を向けた方が生きやすいのではと考えたとか。
というわけで、ことあるごとに車でどこかにお出かけしてたかな。
でも、さすがに音が怖いのはすぐには消えないから、車で一緒に向かって僕は車で待機していることが多かったかな。
場所によってはついて行ってみたりしたこともあったけど基本的には待機してた。
でも、僕としてはこの短期間で
こんなに頻繁に家から出られるようになったのはかなりの進歩だと思う。
ね、すごくない?
この間まで、家から出るのも嫌だったのにね。

あ、そうそう、明日、学年主任と担任と僕と母で四者面談?があるみたい。
さっきは母から学校から連絡あったからって聞いたんだけど。
物凄く行きたくない。
特に学年主任とは顔を合わせたくない。
けど、行かないと。
なんで行かなきゃいけないのかって言うと、来年僕は中学三年生になるんだ。
だから、担任も変わるし、クラスも変わるから今の状態だったりこれからどう対応していけばいいのかっていう話をしなくてはいけないみたい。
事前に話をしやすいように母がA4サイズの裏紙に何を伝えるのか書いて整理してくれてる。
基本は母が話してくれて、聞かれる内容によっては僕が答えるっていう感じにしよってなった。
ああ、今まで以上に学校行きたくない。
ということで、今日はここまでにして明日又報告するね。


…疲れた。
新年度から行く気力ない。
とりあえず、話は終わった。
伝わってる手応えないんだけど…学年主任。
じゃあ、どんなこと話したか書いていくね。

16時00分頃に、来年度使うであろう教室で四者面談をしてきた。

(学)「貴重なお時間いただきありがとうございます、来年度に向けてお話ができればと思います。今の海月さんの状態だったり、今後のことについてお聞かせ願えると幸いです」
(担)「…。」
(母)「そうですね、今の娘の状態は以前お電話のほうでお話しさせていただいた状態がベースです。少しお話だと長くなってしまうので、こちら、あらかじめまとめたものを用意しましたので読んでいただいてもよろしいでしょうか。なんか不明な点があれば、一つずつお答えします。」
(僕)「…。」
(母)「それから、そこに書いてあることが全てではありませんので、そこも留意していただけると幸いです。」
そう伝えた後、学年主任と担任はそれを声に出しながら一読した。
主に、僕がどんな音が一番入りやすくて苦手なのか、音の状態がイメージできる比喩、イヤーマフはどんな時に必要か、イヤホンは常時つけていなくては厳しいなどのこと。
僕としてははっきり言って、これだけ丁寧に書かれていて、尚且つイメージしやすい内容であることだから、これで伝わらないってなったら諦めるしかないよねって思ってる。
理解しろなんて誰も言ってないし、むしろ他人の理解なんて無理じゃん。
想像力働かせて、きっとこういう感じなんだろうなってイメージして聞けって言ってんだからさ。
しかもそれを知りたいって向こうが言ったんだし。
(学)「ご丁寧にこんなにありがとうございます。なんとなく、海月さんがどんな状態で何に困っているのかわかりました。それでは、これを踏まえまして、来年のことについてお話しできればと思います。イヤホンをずっとつけていると書いてありましたが、学校生活でもつけていないと厳しいということですよね?」
(僕)「(…は。何言ってんの。そんなん分かることでしょ。意味わかんないんだけど。)」
そう思ったとき母が僕の手を握った。
(母)「そうですね。家で生活しているときも、寝るときも、好きなことをするときも、卓球の部活でも常時していますね。それでは耐えられないときはそこにも記載させていただきましたが、イヤホンはあくまでも彼女にとっての音から守るための物であり音楽を聴いていることは決してありません。また、このイヤホンでは耐えきれないときにイヤーマフ、カラーという競技や銃を扱う際に使われるヘッドホンの様なものをしています。」
(担)「海月は、イヤホンをしているときの音の聴こえはどんな感じなのか聞いてもいいか?私らは、イヤホンをすると周りの音が小さくなって場合によっては聴きづらくなってしまうけれど、海月はそうではないんだろうと思って。」
(僕)「(この先生は、内容を踏まえて想像しながら母の話を聴いてくれてる…少し話せそうかも)…えっと、………、あの、イヤホンをしていると、以前と同じくらいか少し大きいくらいで…耐えることができるおおきさ…みたいな感じです。…なので、つけてないと…、怖いです。」
ゆっくり話した。
つっかえながら、どの言葉が伝わる言葉なのか探しながら。
(担)「そうか。ありがとう。」
(学)「来年の授業だったり、受ける科目のことになります。海月さんの気持ちを優先していただければと思います。なので、体調や調子によって、この科目受けたくないや受けづらいなどあったらその時間の教科担任に話をしてもらい、別室や保健室で過ごしてもらって構いません。また、教科担任に言うことが難しい場合は、朝の時点で担任にお話ししてもらい担任から教科担任に伝えてもらうことも可能です。」
(母)「ありがとうございます。その日によって教室の感じだったり、体調によって対応していただけるのはとてもありがたいです。娘は偏頭痛もかなり頻繁に起こりますし、かなりの激痛の様で最悪気絶に近い痛みで動くことが困難になるときもありますので助かります。」
(学)「お薬とかは処方していただいたりとかは…」
(母)「お薬自体はいただいてはいるのですが、効くまでに最短でも20分から30分ほどかかるみたいです。即効性のあるお薬で、血管の多い鼻の奥に噴射する形のお薬をいただいたのですが相性というのでしょうか、効くまでの時間の間に激痛のピークのほうが先に来てしまい、薬が意味をなさないみたいで…。なので、なってしまったら耐えるか寝るかの二択ですね。もはや寝る場合は気絶している感じです。」
(学)「それはかなりつらいですね。海月さん、体調が悪くなったら早めに言ってもらって、保健室や別室で休んで大丈夫だからね。」
(僕)「…、はい。」
(担)「まあ、自分で言いに行くのが厳しかったら後ろの席の幼馴染とか友人とかに頼んで伝えてもらうのも大丈夫だから。何も情報がないのにいないっていうことがなければ問題はないからな。そこだけ注意してくれれば、自分のこと優先して動いてもらって大丈夫だから。」
(母)「ありがとうございます。少し気持ちが軽くなります。そうそう、海月も自分のこと優先で動いていいんだよ。大丈夫、先生がこう言ってくれてるからね。」
(僕)「(コク)」

そうしてそのあともいくつか話をして約30分ほどの面談を終えた。

かなり疲れた。
もう何もしたくない。
そんな感じで、車窓を眺めていた。
母は、
「よく頑張ったね、何か甘いものコンビニで買っていこうか。お母さん甘いもの食べたい。ちょっと付き合ってー。」
ってそれだけ言って、車の中ではさっきのことは触れないでいてくれた。
まあ、母も終わった後に考えるのをやめたかったのかなとか、僕の都合の良い考え方だけど、なんとなくそんな気がした。

帰宅後に、母は今日あったことを父に話して情報共有をしようと言った。
ので、今から家族会議みたいなことしてくるね。
報告内容はまあ上に書いたこと伝える感じだから特にここで書くことはないとは思う。
とりあえず、来週からまた新学年始まるので始まり次第又報告することにするね。
僕の予想だけどきと何かあると思うから。

じゃあ、またね。

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